スウェーデン、公的機関に不法滞在者の通報義務付けへ
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【3月26日 AFP】スウェーデン政府は25日、不法滞在が疑われる移民(1年以上滞在する外国人)について警察に通報することを公的機関に義務付ける法案を提出すると発表した。
スウェーデンのウルフ・クリステション政権は中道右派3党による少数連立政権で、極右政党「スウェーデン民主党」の閣外協力を受けて過半数を確保している。移民と犯罪の取り締まり強化を公約に掲げ、2022年に発足しており、9月の総選挙を前に公約を果たそうと、さまざまな分野での改革を急ピッチで進めている。
政府は10万人以上が正規の在留資格を持たずにスウェーデンに滞在していると推定しており、「影の社会」と呼んでいる。
ヨハン・フォシェル移民相は記者会見で、「この影の社会をしっかり取り締まらなければ、根を張り、定着してしまうだろう」と述べた。
新法案では、スウェーデン公共職業安定所、スウェーデン社会保険庁、スウェーデン税務庁を含む六つの機関に対し、不法滞在が疑われる移民を警察に通報することを義務付ける。
連立政権のパートナーであるキリスト教民主党のインゲマル・キールストロム報道官(移民政策担当)は記者団に対し、「ある機関が強制送還の決定を執行するために必要な情報を保有しているにもかかわらず、現行の秘密保持義務のためにスウェーデン移民庁や警察と共有できない現状は不合理だ」と述べた。
不法滞在者の通報を義務付けるこの法案は物議を醸しており、スウェーデンでは「密告法」と呼ばれている。
複数の労働組合が抗議デモを行い、当初対象とされていた一部の業種は除外された。
「政府とスウェーデン民主党は、医療機関、学校、社会福祉機関、図書館は情報提供義務から免除されるべきであるという点で合意している」とキールストロム氏は述べた。
対象となるすべての機関の職員を代表する労働組合、アカデミカーフォルブンデットSSRは、この法案は逆効果になるとの見解を示した。
同組合のハイケ・エルカース委員長は声明で、「政府は影の社会の撲滅を目指しているが、逆効果となる恐れがある。同法が施行されれば、通報されることを恐れて公的機関との接触を避ける人々(不法移民)が増え、影の社会がさらに拡大するリスクがある」と述べた。
この措置は、移民からの生体情報の収集強化など、強制送還の強化を目的とした他のいくつかの措置と併せて提示された。議会で可決されれば、7月13日に施行される。(c)AFP