中国の暖房用小家電、なぜ海外で飛ぶように売れるのか
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【3月31日 People’s Daily】厳しい冬を迎え、中国からの「暖風」が世界を温めている。冷暖風一体機は「冬は暖房、夏は冷房」の機能を持ち、中央アジア諸国からリピート注文が続いている。
多面電熱暖房器は、上部でお茶を保温でき、四方から暖を取ることができ、日本と韓国で大量の注文を獲得した。床暖房級の電気カーペットは、スマートな温度調節が可能で、高温時には自動で電源が切れる機能を持ち、欧州の多くの市場で人気を博している。
こうした目立たない小型家電に中国メーカーが新たな工夫を加え、国際市場を拡大している。データによると、2025年1月から11月までの電気ヒーターや電気毛布などの電気式空間加熱器の輸出は1億615万台に達し、前年同期比6.18%増加した。暖房用小家電はなぜ海外でこれほど売れるのか?記者は浙江省(Zhejiang)の慈渓市(Cixi)と義烏市(Yiwu)から最新の情報を取材した。
宁波市(Ningbo)が行政管理を代行する慈渓市は「中国の小家電の都」と呼ばれている。工場現場では、暖房器の生産ラインがフル稼働し、作業員が素早く組み立て、出荷検査などを行っている。工場の外ではトラックが出荷を待っている・・・、「浙江久友電器科技」の岑逸品(Cen Yipin)総経理によると、25年の生産台数は30万台に達し、前年同期比で約30%の増加となった。
浙江省義烏市(Yiwu)は、世界の「小商品」の都である。元日が過ぎたばかりの国際商貿城第2エリアの小型家電売り場では、中央アジアやヨーロッパなどからの外国人バイヤーがスーツケースを引き、サンプル帳を手に、密集する店舗の間を価格交渉しながら行き来している。「最近は毎日10数組の顧客に対応しているが、その多くが顔なじみで、リピート注文が特に早い。ヒーター市場は小口注文の迅速なリピートが特徴で、あるカザフスタンの常連客は昨年3回もリピート注文をし、直近では2万8000元(約64億)の新規注文を入れてくれた」、地元の家電卸し企業「義烏馳超貿易」の張長軍(Zhang Changjun)氏は取材に応じこう話している。
中国の電子商取引大手・阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)の企業向け越境Eコマースプラットフォームのデータによると、25年の年初から11月末までの電気毛布の累計取引規模は前年の同期間と比べ224%増加した。税関統計によると、25年1月から11月までに、慈渓市の電気暖房器具の輸出額は33億2000万元(約758億9520万円)に達し、そのうちEU向けは12億8000万元(約292億6080万円)で前年同期比8.4%の増加となった。また義烏市の電気暖房器具の輸出額は2億9000万元(約66億2940万円)で、前年同期比32%増加し、主に欧米、中東、中南米などの地域に販売されている。
中国の電気暖房器具がなぜ海外でよく売れているのか?
これについては、市場の声が最も真実を物語っている。義烏で取材したある外国人バイヤーは、中国商人のことを「嗅覚が非常に鋭い」、「市場チャンスがあるところ、すぐに彼らの姿が見える」と形容した。また、慈渓市の暖房器具メーカー「久友電器」のドイツ人代理店は、中国のメーカーは「行動が非常に迅速で」「効率的に行動し、市場性のある製品にすぐにシフトできる」と評している。
「嗅覚が鋭い」とは、中国の貿易業者の市場反応の敏感さを指す。義烏国際商貿城に店を構える曹堃(Cao Kun)氏は店の「ヒット商品」である冷暖風一体機を手に取った。「事前の市場調査で、今の顧客は単に暖を取るだけでなく、雰囲気も求めていることが分かった」と曹氏は言う。この製品は主に欧州と中東の家庭市場をターゲットにしており、暖房と冷房の機能に加え、暖炉の雰囲気をまねたスタイルで、発売後すぐに1万台以上を売り上げたという。
曹氏は「地域によってニーズが大きく異なる。例えば中東や欧米は装飾性の高い製品を好み、ロシアや中央アジアは場所を取らない壁掛けタイプを好み、東南アジアは持ち運びに便利な充電式小型家電を好む」と言う。そして「お客様の要望に応じて作ることが肝要だ」と強調する。
変化に応じて対応する貿易企業こそが、中国の外国貿易の強靭性の鍵を握っている。「義烏小家電行業商会」の駱洪英(Luo Hongying)会長は「世界経済の不確実性が増す中、義烏の商人は迅速、正確、革新の戦略で寒波をチャンスに変え、『中国の暖かさ』を世界に届け続けている」と話す。
「行動が迅速」とは、中国の製造企業の機敏さを指す。慈渓市で新型の電熱器具を生産するのにどれくらいの速さが必要か?地元の電熱器具メーカー「富運電器」の代表者・徐松烈(Xu Songlie)氏は「設計製造から生産ライン完成まで、2か月もかからない」と話す。迅速な反応と素早い行動の背景には、強力な製造能力がある。慈渓市の電熱暖房器具の輸出量は全国の約3分の1を占め、比較的完備された産業クラスターが形成されている。ここでヒーターを生産すれば「地元調達」が可能で、スイッチから放熱板まで、すぐに調達先を見つけることができる。
「中国家用電器協会」の徐東生(Xu Dongsheng)副理事長は「電熱暖房器の販売好調は、中国の完全な産業システムの強みを反映している」と述べた。長期的な市場競争の中で、家電業界は完全で成熟したサプライチェーンシステムを形成してきた。産業チェーンのクラスター効果は企業の「ワンストップのニーズ」を満たし、中国家電企業の海外進出の競争力をさらに高めている。
しかし現在、関連業界の競争は激化の一途をたどっている。そして新たな競争環境に直面した多くの輸出企業が、自ら積極的に動き出している。研究開発を強化して新たなブレークスルーを図り中高級市場に打って出る企業もあれば、不断の改善を重ねコスト削減に注力する企業もある。また海外市場の開拓に活路を求める企業もある。「需要の動きを注視し、トレンドに従って変化すれば、寒波もチャンスに変えることができる」、張長軍氏は感慨深げにこう話している。(c)People’s Daily /AFPBB News