【3月30日  People’s Daily】近年、中国のショートドラマ(スマートフォン向けを想定した短尺ドラマ)が、ストリーミングプラットフォームを活用し、海外市場、特に東南アジア地域で目覚ましい活躍を見せている。統計によると、各種ストリーミングチャンネルで配信される中国ショートドラマの海外向けアプリはすでに300を突破し、2025年の世界累計ダウンロード数は12億1000万回、海外市場の総収入は23億8000万米ドル(約3748億2620万円)に達する見込みであり、力強い成長の勢いを示している。

「画面が美しくて、まるで絵画のよう!」「タイ語字幕を付けて欲しい。両親と一緒に見たい!」・・・・、ティックトック(TikTok)プラットフォーム上では、蘇州市(Suzhou)を舞台に伝統文化の保護と男女のロマンスを描くショートドラマ「一夢枕星河(日本語訳:星河を枕に見る儚く美しき夢)」が話題となり、タイ、インドネシア、マレーシアなどのネットユーザーがそれぞれの言語で視聴後の感想を共有している。

近年、中国のショートドラマ産業は海外展開を加速しているが、東南アジアがその重点拡大地域となっている。このタイプのショートドラマは縦画面で表示され、テンポが良くテーマが明確で、1話あたりの長さは3分以内、全話数は50話から90話程度で構成される。都市の恋愛、家庭の倫理、ファンタジー、サスペンスなど多様なジャンルをカバーしている。

強烈なストーリー展開とポジティブな感情表現が多くの東南アジアの視聴者を物語に没没入させ、継続的な視聴を習慣付けている。また、ドラマの中で描かれる中国の自然風景、伝統衣装、都市の様子は、多くの東南アジア視聴者に中国への強い関心を抱かせ、中国ショートドラマの海外アプリのダウンロード数を急増させる直接的な要因となっている。

コンテンツはより豊かになり、伝播チャンネルも日増しに多様化している。2025年以降、インドネシア最大の通信事業者であるテレコム・インドネシア(Telkom Indonesia)は、中国のショートドラマプラットフォーム「FlexTV」と提携し、インドネシアのユーザーがより便利でお得に中国のショートドラマを視聴できるようにする専用のパッケージ料金を導入した。

「北京点衆科技(Dianzhong Technology)傘下の「DramaBox」プラットフォームは、東南アジアの現地通信事業者と連携し、「データ通信+コンテンツ」のバンドルサービス(セット販売)を開始し、ユーザーの視聴のハードルをさらに引き下げている。

「広西大学(Guangxi University)・中国-ASEAN研究院」の羅伝傳鈺(Luo Chuanyu)副院長は「ショートドラマは生き生きとした物語と豊かな生活感で言語と文化の壁を打ち破っている」と指摘した。そして「ショートドラマは現代中国の都市生活やテクノロジーの応用シーンを多く描き、東南アジアの視聴者に、現実味あふれる現代中国の姿を示し、双方向の文化交流と現地化された創作をさらに促進している」と述べている。
 
「暇な時はいつも中国のショートドラマを見ている。わざわざいくつかのショートドラマアプリをダウンロードした」と言うインドネアの大学生ファレルさんは記者に対し「中国の若者の生活を描いた作品に最も注目している。中国の同世代の日常生活が見られ、とても親しみやすく感じる。東南アジアと中国には似ているところが多く、ドラマを見ているとしばしば共感できることがある」と話した。

インドネシアのセベラス・マレット大学(Universitas Sebelas Maret)の社会学者ドラジャット・カルトノ(Drajat Tri Kartono)氏は「中国のショートドラマのストーリー設定は、公平さ、希望、より良い生活への東南アジアの人びとの憧れに合致しており、感情的な共感を呼び起こしやすい。このような現実に寄り添い、大衆の心理的期待に合致したコンテンツは、しばしば文化の違いを乗り越え、幅広い共感を得ることができる」と指摘する。

文化的な共感は、中国のショートドラマが東南アジアで受け入れられる核心的な理由の一つである。シンガポールの中国語新聞「聯合早報(Lianhe Zaobank)」は「東南アジアの膨大な華人コミュニティが重要な架け橋となっている。家庭倫理、恋愛結婚観、職場の理念などにおいて、東南アジアの人たちと中国の人びとには多くの共通点がある」と指摘し、「かつて『包青天』、『射鵰英雄伝』、『西遊記』といった中国の古典ドラマが現地の華人コミュニティに多くのファンを獲得しており、これがショートドラマの伝播に対する深い文化的アイデンティティの基盤を築いている」と分析している。

東南アジア市場の消費特性も、ショートドラマの海外展開に有利な土壌を提供している。東南アジア地域は年齢構成が若く、若年人口の割合が高く、消費観念は開放的で柔軟で、新しい文化・娯楽コンテンツに対する受容度が高く、強力な市場成長ポテンシャルを備えている。同時に、膨大なインターネット利用者数、上昇を続けるネット普及率、そしてオンライン接続の時間が比較的長く、デジタル決済の習慣を徐々に身につけており、ショートドラマの伝播とビジネス展開に良好な条件を提供している。
データによると、25年の東南アジア地域のショートドラマの有料ユーザー数は前年比28%増加し、商業的価値とユーザー基盤を兼ね備えた中核市場となっている。

現在、多くの中国ショートドラマ企業が海外の産業チェーンを拡張し、タイやフィリピンなどに制作拠点を設立し、「現地化創作+現地化普及」という新たな道を模索している。 「嘉興九州文化伝媒(Jiaxing Jiuzhou Culture Media)」は、東南アジアの現地ショートドラマ制作チームと深く協力し、現地にコンテンツ制作センターを建設し、東南アジアの視聴者に向けた専用のショートドラマプラットフォームを立ち上げた。同社はこれまでに、海外市場向けに600を超えるショートドラマを創作し、その約20%が海外チームによるオリジナル作品で、海外の視聴者総数は1000万人を突破した。

著作権の輸出と制作モデルの提供も、現地化を模索する上での重要な方向性となっている。インドネシアのデジタルメディア運営会社「IDN Times」は、中国のショートドラマの著作権を導入するとともに、現地の制作部門を設立し、中国のショートドラマの物語のテンポや創作スタイルを参考に、現地の視聴者の審美眼に合った現地コンテンツを制作している。

「ショートドラマは、現代の若い視聴者の視聴習慣に非常に合致しており、異なる国の若者をつなぐ効果的な文化的架け橋となっている。この伝播スタイルの潜在力は全く侮れない」、インドネシアの著名な映画監督ガリン・ヌグロ氏はこのように話している。(c)People’s Daily /AFPBB News