【3月29日  People’s Daily】湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)、午前10時、身長1.3メートルの2体のヒト型ロボットが定刻通りに動き出した。リズムに合わせて回転し、跳躍する。ダンスが終わると「ヒト型ロボット7S店」の一日の営業が始まった。自動車の「4S店」が車の販売とアフターサービスを行う店なら、「ヒト型ロボット7S店」とはいったいどのような店舗なのだろうか。

店内に足を踏み入れると、様々な体型や身長のヒト型ロボットが「忙しく」働いている姿が見える。サッカーをするもの、商品を売るもの、楽器を演奏するものもいる。

店長の胡竜丹(Hu Longdan)さんは「この店には17種類のヒト型ロボットがあり、その価格は7999元(約18万1737円)から70万元(約1590万4000円)の間です。工場での製造作業、文化観光ガイド、介護福祉、特殊作業など、10以上のシーンに応用可能です」と説明する。「ヒト型ロボット7S店」は、ロボット本体の販売、スペアパーツ供給、アフターサービス、情報フィードバックの「4S」に、顧客ニーズに合わせたソリューション提供、利用シーン・体験の展示、技能トレーニングの「3S」を加えた7つの機能を備えた総合サービス店舗だ。ヒト型ロボットのパーツから完成機、そしてシーンへの応用に至るまでの完全な産業チェーンをほぼカバーしている。

「7S店」の入り口では、足に車輪がついたヒト型ロボットが多くの来場者の注目を集めていた。胡店長の説明によると、その名は「遠游(Yuanyou)」、身長158センチ、体重72キロで、毎秒1.5メートルの速度で移動できる。この「遠游」は、生まれも育ちも湖北省の「地元民」で、「湖北咸寧市(Xianning)センター医院」ですでに9か月間「勤務」している。主に診療案内、診断説明、艾灸(もぐさ灸)などのサービスを提供する湖北省で初めて病院に導入されたヒト型ロボットだ。

このロボットの開発に携わった「武漢手智創新科技」の袁超(Yuan Chao)総経理は、「『遠游』を開発する前、まず顧客のニーズについて調査・分析を行い、ハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズムなど様々な『器官』や『組織』をそれぞれ個別に製造し、それから完全なヒト型ロボットに組み上げた」と説明する。

武漢大学微電子学院の劉勝(Liu Sheng)院士チームが、センサー、人工知能技術などに関するソリューションを提供し、湖北省内のヒト型ロボット産業チェーンがハードウェアの80%以上を支えた。袁氏は「湖北省にはヒト型ロボットの主要なサプライチェーン企業が20社、関連企業がおよそ1000社あり、『遠游』に必要な『頭脳』『骨格』『電子皮膚』などの重要なパーツの調達が可能だ」と語った。
 
研究開発から生産までわずか半年、25年4月に「遠游」初号機が誕生し、現在は量産段階に入っている。袁氏の話によれば、同社はヒト型ロボット自動生産ラインを4ライン保有し、年間1500台の生産が可能だという。

ヒト型ロボットは、生産できるだけでなく効果的に活用されなければならない。25年6月、湖北省はヒト型ロボットの「学校」の役割を果たす「ヒト型ロボットイノベーションセンター」を設立した。生まれたばかりのヒト型ロボットは、センターのデータ収集員の「指導」の下で、熟練したスキルを習得することができる。

「湖北ヒト型ロボットイノベーションセンター」の劉傳厚(Liu Chuanhou)主席運営官は「わがセンターは、23の高臨場感シーンと10以上の臨機応変なシナリオを提供しており、百体以上のヒト型ロボットを同時にトレーニングすることでき、年間100万件以上の実機データの収集が可能だ。これらのデータは審査、ラベリング、クリーニングを経て大規模モデルのトレーニングに組み込まれ、ヒト型ロボットの絶え間ない進化に貢献する」と説明する。

現在までに「7S店」の体験型消費、販売、見学、ロボットレンタルなど各種の業務による営業収入は60万元(約1363万2000円)を超えた。胡店長は「『7S店』の背景には湖北省で徐々に整備されつつあるヒト型ロボットの産業エコシステムがある。今はまだヒト型ロボットができることは限られているが、将来的には必ず一般家庭に浸透し、様々な産業や業界にサービスを提供し、我々の生活に欠かせない存在になるだろう」と話す。

全世界のヒト型ロボット産業の最も活発なイノベーション拠点の一つとして、近年、中国のヒト型ロボット完成機の性能は急速に向上し、応用シーンは拡大を続けている。自動車製造、3C(コンピューター、通信機器、家電)組み立て、倉庫・物流、スマート介護など、工業やサービス業の応用シーンへと開拓が進んでいる。

「武漢大学・機器人(ロボット)学院」の李淼(Li Seng)教授は、ロボット産業の爆発的発展はさまざまな要素が共鳴した結果だと指摘する。人工知能の大規模モデルがロボットに「脳」を提供し、オープンソースのオペレーティングシステムが開発のハードルを下げ、モーター、センサー、減速機などのコアハードウェアのコストが継続的に低下したことが、高性能な完成機の製造を可能にした。

製造業やサービス業のデジタル化・スマート化への変革が、巨大な市場の原動力となり、国家戦略と政策の強力な支援で資本と人材の急速な集積をもたらした。今後5年で、中国のヒト型ロボット産業は「ブーム」から「成熟」へと発展すると見られている。(c)People’s Daily /AFPBB News