【3月24日  People’s Daily】長江(揚子江、Yangtze River)は中国で最も長い河川だ。長江中流域の北岸・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)新洲区に位置する「双柳長江大橋」が長江を跨ぎ、武漢市と鄂州市(Ezhou)をしっかりと結んでいる。「ほら、こちらはアオサギ、あっちはシラサギ・・・」、引き渡しを終えたばかりの橋の上で、橋の設計者である「湖北省交通計画設計院」の彭暁彬(Peng Xiaobin)副技師長は空を飛ぶ鳥を指さしながら、興奮気味に語った。
 
「双柳長江大橋」は武漢市で12番目の長江大橋で、大橋(架橋部の長さは約1.6キロ)とその前後の陸上部と高速道路を含むメインラインの全長は35.043キロある。このラインは「武漢漲渡湖湿地自然保護区」を通過し、スナメリ(長江に生息する絶滅危惧種のクジラの小型の種)が頻繁に出現する水域をまたいでいる。「双柳長江大橋は、中国の工程技術の模範であるだけでなく、生態環境保護の模範でもある」、2025年12月、中国公路学会が主催した学術会議の際、この大橋は専門家や学者から一致した称賛を得た。

大橋の建設に際し、長江の生態系はどのように保護されたのだろうか?

冬の暖かな陽差しの下、双柳長江大橋北岸接続部の現場では、銀色の完全密閉式保護カバーがきらきらと輝いている。彭氏の説明によると、これは漲渡湖湿地の鳥類のために特別に建設された防音壁で、長さ400メートル、高さ6.38メートル、幅34メートルあり、鳥のために「防音壁の橋」を建設するのは、長江の橋梁建設では初めてのことだという。

漲渡湖湿地自然保護区は、東アジア-オーストラリア地域の渡り鳥の飛行経路上に位置している。どのように渡り鳥への影響を軽減しながら大橋の建設を行ったのか?「皆、工事の計画には必ず生態環境を考慮しなければならないという点で一致していた」と彭氏は言う。チームと建設事業者が鳥類保護の専門家に依頼し、湿地における10年間の鳥類活動データを提供してもらい、さらに実際に現地に繰り返し足を運んで調査したという。「チームは橋梁の設計案を何度も修正し、最終的に大橋北岸接続部に新たにカーブを一つ増やすことにした。この新たな設計案で建設コストは大幅に増加した」、彭氏はこのように説明する。

さらに彭氏のチームは、橋の開通後に発生する騒音が湿地の鳥類に影響を及ぼすことを考慮し、渡り鳥の飛行経路に近い橋面上に、完全密閉式の防音壁を建設することにした。
 
防音壁は、渡り鳥が飛来する前に全て設置が完了した。現在、防音壁の外側の騒音は、昼間で50~55デシベル、夜間で40~45デシベルであり、これは湿地の鳥類に「ノイズキャンセリングヘッドホン」を装着させたほどの効果だ。

双柳長江大橋の主橋から見下ろすと、広大な長江の水面がきらきらと輝いている。中交第二航務工程局双柳長江大橋プロジェクトの陳誠(Chen Cheng)技師長は「ここではスナメリが戯れる姿も見ることができる」と話す。主橋の下流約2キロの河川の入り江はスナメリの出現が頻繁な場所だ。スナメリの生息に影響を与えないよう、設計段階から主橋の構造を「一跨過江(川の中に橋脚を立てず、河岸から河岸までひと跨りで渡る)」、即ち「単径間吊橋設計案」が採用された。

陳技師長は「主橋は単径間の鋼箱桁(こうばこげた)吊橋方式で、川の中に一本の鋼杭も打ち込む必要がなかった。また南北両岸のアプローチ橋の部分も全て陸上で施工され、水中での工事を完全に回避した」と説明する。

施工時には、スナメリなどの水生生物の活動のピーク時期を避けるため、桟橋などの仮設構造物は渇水期のうちに架設を完了し、その後、主塔の基礎や基礎の土台部の工事も迅速に終えた。現場の作業に関しては、主橋に使用される鋼箱桁は全て橋梁工場でセクションごとに分割して製造された後、専用の船舶で橋下水域まで運ばれ、ケーブルクレーンで吊り上げて設置された。陳氏は「この方法により、作業員は高所で主桁の継ぎ目を溶接するだけで済み、橋桁を架設する全工程を通じて川の水を攪乱することもなかった」と説明する。

3年余りの工事期間中、双柳長江大橋はスナメリと共に「成長」してきた。中国科学院水生生物研究所の調査によると、大橋の長江区間では、スナメリの個体数が22年の着工当初の5~6頭から、現在では安定的に約20頭が生息するまでに増加している。

双柳長江大橋の主橋を歩くと、橋面の両側には長い排水管が設置されており、その末端は「流量スマート監視装置」に接続されているのが見える。関係者によると、スマート監視装置は、パイプから流れ出る液体を自動識別できる。もし液体が雨水や油分などを含む場合、それは「油分分離型雨水貯留槽」に入り、沈殿した後に排出される。もし液体が漏洩(ろうえい)物や汚染された廃水である場合は、それは「事故対応貯留槽」に入り、運営会社が有害化学物質の処理資格を有する業者に委託して処理することになる。

現在、双柳長江大橋は無事に竣工検査を通過している。開通後は、武漢市新洲区から鄂州市までの所要時間が90分からわずか5分にまで短縮される見込みだ。「大きな生態系保護を共に推進し、大きな開発は行わず、生態保護と経済発展の均衡点を見つけ、経済的利益と生態的な利益のウィンウィンを実現するよう努める」、このプロジェクトへの投資、建設を主導した国営企業「湖北交通投資集団・双柳長江大橋」の党委員会書記・汪西華(Wang Xihua)氏はこのように述べた。(c)People’s Daily /AFPBB News