リチウム電池企業の年間輸出額が3.8倍に増加した理由・中国
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【3月21日 People’s Daily】中国・青海省(Qinghai)西寧市(Xining)の「南川工業園区」に居を構える「青海弗迪電池(Fudi Battery)」のバッテリーセル生産工場では、ロボットアームが規則正しく動き、わずか4秒に1枚のペースでリチウム電池のブレードセル(薄く延ばした刃片状のセル)が生産されている。
2025年、青海省の輸出成長率は41.9%に達し、リチウム電池は省の輸出総額の約半分を占めた。中国の大手EV車メーカー「比亜迪汽車(BYD)」傘下のリチウム電池企業「弗迪」社は、29億9000万元(約681億7200万円)の輸出を実現し、前年同期比3.8倍の増加となった。その製品はハンガリー、ウズベキスタン、マレーシア、ベトナムなどの「一帯一路(Belt and Road)」共同建設国やASEAN市場に向けて販売されている。
豊富な塩湖資源を有する青海省では、塩湖化工企業が生産する炭酸リチウムがリチウム電池の重要な原料となっており、多くのリチウム電池関連企業の投資や工場建設を惹きつけている。「弗迪」社は23年に生産を開始し、同じ年にフル生産体制に達した。25年に輸出が急増した背景には、技術革新による製品のアップデートを行った企業努力と、各方面が連携して製品の海外展開を後押ししたことがある。
緑色のランプが点滅し、ゴーカートほどの大きさの自動搬送機が、製造されたばかりのセルを載せてバッテリーパック工場へと運搬している。バッテリー生産ラインでは、ロボットアームがバッテリー管理システム、密閉ケース、絶縁ボルトを取り付け、リチウムバッテリーパックが完成する。
「弗迪」社の郭波(Guo Bo)総経理は「電極材料のスラリーの調合から最終検査にいたるまで全自動のスマート生産となっている。当社の電池は、従来の角形セルを薄く長く引き伸ばし『ブレードセル(刃片状のセル)』に加工し、それらを『スタッキング(積層)』するプロセスで製造している」と説明する。このプロセスを採用することで、エネルギー密度が高く、航続距離が長い電池となり、同社は「低価格競争」の市場からの脱却に成功した。
海外市場を開拓するには、現地市場の多様なニーズに応える必要がある。タイなどの東南アジア諸国連合(ASEAN)市場を例にとると、高温環境で電池容量が劣化しやすいという課題があった。「弗迪」社は、数千回におよぶ充放電サイクル試験を経て、高温安定型の電解液配合を開発し、電池の電解液が耐えられる熱安定性温度の上限を引き上げた。25年には同社の電池を搭載した一部の車種が、タイで170%を超える販売増を達成した。
一部の欧州市場にとって、カーボンフットプリントはリチウム電池輸出に影響を与える重要な要素である。青海省のグリーン電力追跡プラットフォームの画面には「弗迪」社の当日の水力、風力、太陽光発電などの使用量の割合が表示される。また過去の累積のクリーンエネルギー使用割合を90%以上と表示されている。青海省はグリーン電力の設備容量比率が高く、リチウム電池の輸出に豊富で低コストのグリーン電力を供給している。
リチウム電池の生産体制は整い、残るは海外に輸送する問題だけだ。これについて「弗迪」社は「国際市場のリチウム電池への需要はますます高まり、特に『一帯一路』共同建設国への輸出注文が増えている。納品量が多く、納期が厳しい上、複数の輸送手段が関わるため、従来の輸出輸送方法では期日通りの納入が困難だ。納期に遅れた場合には多額の違約金や保管料が発生する」と説明する。これについて多方面から対策が講じられた。西寧税関は監督管理の方法を最適化した。リチウム電池を輸出する前には、いわゆる「危険物包装証明書」を取得する必要がある。「事前申告、予約検査により、税関は商品検査の頻度を上げてくれる。現場検査が終われば、当日中に『証明書』を受け取ることができ、迅速な通関が確保される」と郭氏は言う。
鉄道部門もリチウム電池の「鉄道輸出」を推進している。これまでリチウム電池の大部分は、陸路から海路への積み替え、あるいは航空輸送に頼っていた。
23年末、「弗迪」社は「中国鉄路・チベット鉄道集団」に働きかけ、鉄道による貨物輸送を要望した。この要望を受け、顧客サービス部の責任者・曾強(Zeng Qiang)氏は頭を悩ませた。曾氏はコンテナを指さしながら「リチウム電池は危険物に該当するため、鉄道で輸送するには、専用の輸送ターミナルと専用の動力用リチウム電池コンテナが必要だ。それで我々はリチウム電池輸送専用のコンテナを特注で開発した」と語った。
このコンテナは、標準コンテナと同じ外観ながら、煙感知器や排気・減圧装置などを内蔵して輸送の安全性を確保した専用コンテナだ。さらに、鉄道集団は西寧市の長寧堡ステーションを、危険物取り扱い施設の改造・グレードアップによって輸送ターミナルとしての要件を満たすものにした。
25年、青海省が運行した国際貨物列車は187本に上り、前年同期比38.5%の増加となった。その行き先は東南アジア、中央アジア、ヨーロッパなどの地域の10か国16都市にまおよぶ。リチウム電池の輸出ルートはますます広がりつつある。(c)People’s Daily /AFPBB News