【3月20日 東方新報】春の気配が濃くなるにつれ、中国各地では春野菜や旬の味覚を楽しむ「春を食べる」風習が広がり、飲食、生鮮、観光・文化など幅広い分野の消費を押し上げている。

湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)内のある大手スーパーの野菜売り場には、クコの若芽、草頭(クローバーの若葉を食用にした中国の春野菜)、地皮菜(雨上がりの地面に生える黒い海藻状の食材)、香椿の芽(中国特有の強い香りを持つ木の若芽)、馬蘭頭(野草の一種で、香りのある春の山菜)など、春の旬野菜が並ぶ。同スーパーで春野菜の仕入れを担当する彭嘉誠(Pan Jiacheng)さんは、「今年、長沙で販売している春野菜は30種類を超え、売り上げは前年同期比で50%増えた。板藍根(中国で風邪予防や解熱に使われる漢方薬の一種)入りの青菜は、ギョーザや包子の具材としても人気だ」と話す。

春野菜を使った即食メニューの展開も進んでいる。ナズナと干し肉を使った「冬去り春来る飯」、香干と馬蘭頭の和え麺、雲南の香椿をあえた米線などのほか、板藍根入り青菜のジュースや野菜パウダー、もち菓子などの新商品も開発中だという。

飲食業界でも春野菜を使った新メニューが相次ぐ。長沙市雨花区でレストランを営む劉箐(Liu Qing)さんは、「今年は低糖・低塩の春野菜スイーツが特によく売れている。上海市や杭州市(Hangzhou)の一部レストランでは、春野菜を使った創作料理を目当てに多くの若者が訪れている」と話す。例年よりも、珍しさや個性、みずみずしさ、柔らかさを備えた春野菜が人気だという。

「春の消費」は食卓にとどまらず、ECや観光、体験型消費にも広がっている。複数の生鮮ECサイトでは春野菜特集が組まれ、自宅にいながら各地の春の味を楽しめるようになった。小売企業の中には、技術を活用して春野菜の柔らかさを細かく管理する取り組みも出てきている。

観光地でも春の新たな消費シーンづくりが進む。3月8日、長沙世界之窓景区では百人規模の春の宴が開かれ、直径1.2メートルの巨大な春餅を味わおうと多くの来園者が列を作った。景区の広報担当者によると、春先に春餅を食べる「咬春」は、春の旬の味を楽しみながら1年の順調と健康を願う風習だという。3月には、中国風の演出と春の味覚を組み合わせた没入型イベントも予定している。

湖南省の(Hunan)旅行会社の営業担当者は、「花を見るだけの春の観光はもはや主流ではなく、体験型や参加型の春レジャーが好まれている」と話す。安徽省(Anhui)黄山市(Huangshan)ではタケノコ料理と竹林での収穫体験、浙江省(Zhejiang)余杭区では春茶(春に摘まれる新茶)を軸にした体験型企画、四川省(Sichuan)金堂県では菜の花畑と火鍋、キャンプを組み合わせた企画が人気を集めている。

こうした「春の消費」をけん引しているのは若者だ。SNSでは「ペットと一緒に春を楽しむ」といった投稿への反応も多く、春のペット撮影の需要も伸びている。春の消費は、より多彩な場面と業態へと広がりつつある。(c)東方新報/AFPBB News