【3月19日  People’s Daily】打球音が響くオフィスビル、古い石炭庫を改装したスポーツ施設、採石場跡地のスマート歩道整備、こうした「空間マジック」が中国各地で展開され、都市周辺の遊休スペースが国民の健康増進の場所として再生されている。資源の有効活用と民生ニーズへの対応を両立させる、都市開発におけるこれらの創意工夫は高く評価されるべきだ。

■浙江省(Zhejing)杭州市(Hangzhou):オフィスビル屋上の多機能スポーツ施設

杭州市の会社員、盧健(Lu Jian)さんは昼休みになるとラケットを背負い「近江時代大厦」へ向かう。エレベーターで5階の多機能運動広場に直行すると、すでに多くの人びとがトレーニングに励んでいる。この多機能運動広場には、カーリング施設1面、テニスコート3面、さらに滑り止めマットを備えたピックルボールコート2面が備えられている。

このビルが位置する望江街道は、大規模な再開発住宅区域だが、長い間公共施設が不足していた。住民の生活圏・職場圏・余暇活動圏の中に専門的なスポーツ施設がなく、さまざまなスポーツ需要に応えられない状況が続いていた。

社会資源の活用と「政府・企業連携モデル」の導入により、この区域に居を構えるスポーツイベントサービス企業「杭州月亮島(Yuelaingdao)体育」が、事業者として約500万元(約1億1210万円)を投資し、配管などビル用設備で占められていた5階のフロアをスポーツ施設に改修した。

望江街道では、このような施設改修が増加傾向にある。秋石高架道路の下の空間に組み込まれた小規模スポーツ公園、「濱江家園(電信)居住区」の地下駐車場の屋根の上のバドミントンコートと卓球台の設置など、近年、この街道では「都市空間のスポーツ施設化」が進められ、住民のための「10分間フィットネス圏」の形成を実現している。

■山東省(Shandong)青島市(Qingdao):遊休石炭庫の文化スポーツ商業複合施設への転換

青島市市北区浮山新区街道の「青島能源・中聯運動広場」の施設内は活気に満ちあふれている。

「新しい施設で雰囲気も良く、汗を流せば心身ともに爽快だ」、近くに勤務する周淼(Zhou Miao)さん(40)は、ほぼ毎日昼休みに同僚とここでバドミントンを楽しんでいる。

総建築面積約1万1000平方メートルのこの運動広場は、元々「青島能源集団」傘下の「金沢熱力」の石炭貯蔵庫だった。近年、青島市は「石炭から天然ガスへの転換」によるクリーンエネルギー暖房プロジェクトを推進しており、新型エネルギーの導入に伴い、同貯蔵庫は遊休化していた。

「サビついた工業施設」から1日平均利用者数延べ2500人以上の現代的なスポーツ施設への転換はどのように実現したのか。それは「都市再生」が転機となった。2023年、青島能源集団と中聯建業集団は提携し、中聯建業集団の投資計画に基づく石炭庫の全面的な改修と運営管理が開始された。

中聯建業集団の周華(Zhou Hua)董事長は「調査の結果、周辺住民の文化・スポーツ活動への需要は非常に高いが、施設の建設に適した新たな用地がの確保が困難であることが判明した。そこで青島能源の石炭庫を活用するプロジェクトを立ち上げ、ここを2階建ての施設に改修し、開放的な複合型文化・商業エリアとして整備した」と説明する。

23年11月、中聯運動広場は正式に開業した。約30の多目的スペースを備え、20以上の商業ブランドを擁する、コンパクトで魅力的なスポーツテーマの近郊商業エリアとして生まれ変わった。

現在、バドミントン、バスケットボール、卓球、ビリヤードなどの施設の使用率は80%を超え、年間利用者数は延べ100万人以上に達し、コミュニティ機能の充実に大きく貢献している。

■寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)銀川市(Yinchuan):廃鉱跡地のスポーツ公園

高台から見下ろすと、銀川市の「賀蘭山スポーツレジャー体育公園」は、まるで庭園の中にはめ込まれたかのような景観を呈し、湖や滝、東屋や楼閣と、フィットネスコース、バスケットボールコートなどの施設が調和して輝きを放っている。

この総面積1200ムー(約80ヘクタール)の公園は、10年前まで砂利採取場が残した陥没坑だった。「子供の頃によく来た場所で、当時は1本の木も生えておらず、風が吹き荒れるだけだった」、地元のワイナリー「寧夏志輝源石葡萄酒庄」の賈進財(Jia Jincai)宣伝部長は昔をこう振り返る。
 
16年、ワイナリーは砂利採掘跡地の生態系回復に着手した。「採掘跡地での植樹は極めて困難で、水不足のため植えた木が枯れることも頻繁にあった。しかし、どんなに困難でも決して諦めなかった」と賈氏は語る。試行錯誤の末、耐乾性・耐風砂性のある防風林を先行植栽して土壌保全と保水を図り、植生が定着し生態系が改善された段階で景観樹種を導入し生物多様性を高める科学的な生態回復手法を確立した。現在、この地には100種を超える樹木が生育している。

賈氏「生態系の改善後、採石跡地の起伏ある地形を活かし、生態・運動・レジャーを融合した現代的なスポーツ公園を整備した」と話す。23年には「スマートフィットネスコース」が完成し、大会運営管理センター1か所と全シーン対応スマートデータ収集ポイント9か所が設置された。賈氏の話では、昨年開催されたハーフマラソン大会では、参加ランナーの60%以上が市外からの参加者だったという。ランナーは大会参加のついでにワイナリーを見学するなど「競技による観光促進、観光による産業発展」の好循環が生まれているという。

賈氏は「公園の整備は、採石跡地の生態系回復、市民への運動・レジャー空間の提供、ワイナリーへの経済効果創出という一石三鳥の効果を上げている」と強調した。(c)People’s Daily /AFPBB News