気象用語のAI活用、コーパス研究で気象サービスを個別化・中国
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【3月17日 People’s Daily】このほど、中国気象局のAI気象サービスシステム「風和(Fenghe)」が正式に稼働を開始した。これは中国初の「生成AI気象サービス言語モデル」だ。システムを起動し、質問を入力すると「風和」が回答を生成し、レポートを出力する。明日の風速は?どんな服装が適している?雪景色を見るのにおすすめの場所は?……、気象に関する質問に対し、「風和」は専門的に回答する。
「風和」は、5000万トークンの高品質な気象サービスのための「コーパス(言語分析のための言語資料の集成)」と気象に関する49万件のシナリオ別の質疑応答指示セットを有している。8大カテゴリー、60余りの小カテゴリーにおよぶ「気象サービスデータインターフェイスツール」と「パーソナライズツール」を設置し、「風和気象サービス基盤モデル」が知能化調整を行う。
「気象サービスAIプラットフォーム」は、ツール呼び出し、データ接続、AI開発など開発者向けの支援を提供し、エネルギー・電力、交通運輸、旅行・観光などに対して、スマートで誰もが手軽に利用できる普遍的な気象サービスを提供する。
現在、「風和」は多くの地域の気象部門で実用化されている。「第15回全国運動会」の時に、「風和」は広州気象部門の運動会専用ミニプログラム「穂小天(Suixiaotian)」に接続され、競技会場の気象サービスを実施した。
現在、人工知能は人びとの生産生活様式を徐々に変えつつあり、人びとは単に天気予報情報を調べるだけでなく、より個別化され、カスタマイズされたスマートサービスの提供を期待している。2024年、中国気象局公共気象サービスセンターと河北省(Hebei)の「雄安気象人工知能イノベーション研究院」は「清華大学(Tsinghua University)計算機科学技術系」などと共同で研究開発チームを結成し、「生成AI気象サービス言語モデル」を独自開発した。
関係者の話によると、気象サービスに対するユーザーのニーズを正確かつ専門的に、そして深く理解するため、チームは4つの核心技術のブレークスルーを果たしたという。すなわち「コーパス構築技術」「知識追加訓練とシナリオ微調整技術」「深層推論技術」「マルチ知能体協調技術」である。
「コーパス構築技術」とは、中国気象局の膨大で高品質な気象資料を特定の形式とデータに変換し「風和」モデルに学習させることで、その専門性を高める技術だ。「追加訓練とシナリオ微調整技術」とは、モデルの気象基礎能力や業務意思決定能力を向上させ、ユーザーのニーズをより良く理解させ、複雑な気象サービス任務の自律的な計画と実行能力を強化するのに役立つ技術だ。
「深層推論技術」とは、モデルの推論能力を高め、モデルがまるで気象専門家のように推論し意思決定を行うことを可能にする技術だ。観光、交通、エネルギーなど異なるシナリオに向けて、研究開発チームは多様な気象サービス知能体を構築した。「マルチ知能体協調技術」とは、複雑な任務の自動分解、計画、能力の相互補完を実現し、各知能体が協調して迅速に専門的な報告書を作成することを可能にする技術だ。
公共気象サービスセンターの王慕華(Wang Muhua)チーフシニアエンジニアは「技術開発の過程は困難を極め、チームが行き詰まることもあったが、決して諦めなかった。何度も変更と試行を重ねた結果、研究開発の各段階でイノベーションがあったと言える」と話している。
今日、人工知能技術の気象分野への応用はますます広がり、新たな応用やシナリオが増え続け、多くのAIモデルが生まれ、気象業界の発展が継続的に進んでいる。「風和」以前にも、中国気象局は「風雷(Fenglei)」「風清(Fengqing)」「風順(Fengshun)」「風宇(Fengyu)」などのAIモデルを発表している。これらのモデルと「風和」との違いは、「風和」が統合型・マルチタスク型であるのに対し、以前のモデルは全て特定の気象予報分野に応用される単一タスク型である点だ。「風雷」は、発生間近の雷雨や大雨などの激しい気象現象を対象とし、「風清」は全球短期中期予報システム、「風順」は全球季節予報システム、「風宇」は宇宙天気のチェーン予報モデルである。
AI技術の導入で、従来の気象予報技術や予報官の豊富な経験と相まって、気象予報はより正確になっている。さらに、極端な降水の予測、激しい対流性気象警報、気象データ同化解析、気象観測とデータ処理、気象サービスと意思決定支援などの分野でも、数多くのAIモデルが登場している。これらは気象業務のデジタル化、情報化、知能化の発展を力強く推進し、気象サービスが生産や生活をより良く支援するための重要な支えとなっている。(c)People’s Daily /AFPBB News