【3月13日 東方新報】中国・浙江省(Zhejiang)は文化強省づくりを進めており、「第15次五か年計画(十五五)」期に、一定規模以上の文化企業の売上高が初めて1兆元(約22兆8000億円)を超える区(県・市)が出てくる可能性がある。浙江省杭州市(Hangzhou)余杭区はこのほど開いた経済の高品質発展大会で、文化産業について「1兆の大台へ突進し、半分以上を安定的に担う」という目標を掲げた。

具体的には、2030年までに規上文化企業の売上高を1兆元超にし、文化産業の規模が杭州市全体に占める比率、そして余杭区GDPに占める比率をいずれも50%超にすることを目指すという。浙江省で先んじて「1兆」目標を打ち出した背景として、余杭は「イノベーション」と「文化」という二つの強みを持つ点が挙げられる。科学技術イノベーションを軸に経済規模を拡大し、昨年のGDPは3568.03億元(約8億1351億円)に達した。加えて、5千年以上の中国文明を実証する良渚古城遺跡の所在地として、文化産業の育成にも力を入れてきた。昨年の規上文化企業売上高は7400億元(約16兆8720億円)超、文化産業の付加価値は2075億元(約4兆7310億円)で、浙江省の「文化産業第1区」とされる。

余杭は近年、北部に良渚遺跡を中心に文化産業を集積させる「良渚文化大回廊」を整備し、良渚文化を核に地域内の文化資源を結び付けて、文化の力で都市発展を後押ししている。回廊周辺では「文化+デジタル」「文化+観光」などの産業集積も進みつつある。また、「私は日差しと雨露を用意する。あなたはすくすく育てばいい」というビジネス環境の理念も浸透し、文化企業や人材、資金の集積につながっているという。

「1兆へ突進」という新たな段階に向け、余杭は複数の施策を打ち出した。良渚デジタル文化産業基金(初期10億元<約228億円>)や、ビリビリ動画(bilibili)のコンテンツ投資ファンド「乾杯基金」(第3期、5億元<約114億円>)、オンライン文学・オンラインドラマ・オンラインゲームなどを指す文化「新三様」産業基金(5億元)の設立を後押しするほか、オンライン文学・オンラインドラマ・オンラインゲームの海外展開を促す施策(文化「新三様」海外進出34項目)を公表し、「文化海外進出サービス券」の導入、省級の文化海外進出総合サービスセンター整備なども掲げた。

余杭区党委員会常務委員で宣伝部部長の倪偉俊(Ni Weijun)氏は、「十五五」期は文化と科学技術の深い融合を主攻方向とし、「133」の現代文化産業体系を構築すると説明する。デジタル文化を基幹産業として固め、アニメ・ゲーム、映像・メディア、クリエーティブデザインを特色産業として伸ばし、文化スマート装備、デジタル文化貿易、デジタル文化観光といった将来分野も先行して布局する方針だ。あわせて国家級プラットフォームの運営強化や、企業の上場・ユニコーン・「小規模から規上へ」の育成支援などを通じ、3年で規上文化企業を100社増やす目標も示された。

この動きは浙江省全体にとっても重要だ。杭州は同省文化産業の中核であり、余杭の文化産業付加価値が杭州全体に占める比率は57.1%とされる。浙江省が重視する「文化+科学技術」「AI活用による新業態の創出」において、デジタル経済が強い余杭は有利な立場にある。余杭はGDP目標を「5000億元(約11兆4000億円)」と掲げており、文化産業が計画通り成長すれば、経済の柱であると同時に都市のソフトパワーを支える重要な要素になるとみられる。(c)東方新報/AFPBB News