【3月12日 東方新報】三脚にスマートフォン2台、照明を並べ、北京市平谷区の農業用ハウスで採れたてのブルーベリーをライブ配信で売る。中国ではスマートフォンが「新しい農具」となり、配信販売が農村の新たな稼ぎ方として広がり、各地の特産品が全国の消費者に届くようになっている。地域の無形文化遺産や郷土料理などを織り込み、商品だけでなく「地域の物語」も一緒に発信できる点は強みだ。

その一方で、規格の統一が不十分で品質にばらつきがある、アフターサービスが追いつかない、誇張・虚偽の宣伝がある、といった問題も顕在化している。2026年の中国政府の「中央一号文書」は、農村ECの高品質発展を進める方針を示し、農産物のライブ配信販売を「規範化(ルール整備)」することを明記した。無秩序な拡大から、信頼を軸にした持続的な発展へ移れるかが焦点になっている。

現場の代表である岳巧雲氏は、配信販売で販路が広がった一方、「配信はにぎわっているのに、購入が思ったほど伸びない。品質保証が弱いことが原因の一つだ」と指摘する。宣伝と実物が違う、品質がまちまちといったトラブルが相次ぎ、人気配信者や「農業支援」を掲げる配信枠が批判を浴びる事例も出ている。浙江省(Zhejiang)の農村幹部の劉建明(Liu Jianming)氏も、農業系の配信者の中には法律や取引手順の理解が浅い人が多く、短期で終わりやすいと課題を挙げた。

食品の安全に関わるため、検察機関も新たな販売形態への監督を強めている。最高人民検察院は、ネット販売や配信販売などに関連する食品安全問題を重点監督の対象にしてきた。実際に山東省(Shandong)では、「農業支援」を装って山間部の農家から買い付けたように見せる動画を撮影し、農産物を配信で売って不当利益を得た事案が発生。検察は虚偽の宣伝に当たるとして起訴し、裁判で刑罰が科された。

制度面でも整備が進む。今年2月にはライブコマースの監督管理に関する規則が施行され、責任の線引きや守るべき基準が示された。代表らは、さらに踏み込んで、農産物の販売基準・品質基準を具体的に定めること、価格を配信者任せにしない仕組みづくり、鮮度を支えるコールドチェーン物流の強化、産地から販売先まで追跡できる品質・安全管理体制の構築が必要だと提案している。監督強化だけでなく、配信・農業・法律を理解する人材を育て、消費者と農家の信頼を積み上げていくことが、持続的な成長のカギになるという。(c)東方新報/AFPBB News