謎に包まれた「父親の代理人」 イラン新最高指導者モジタバ師
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【3月9日 AFP】イランの新最高指導者に選出されたモジタバ・ハメネイ師(56)は、父アリ・ハメネイ師の強硬路線を継承する、これまで表舞台にあまり姿を現さなかった謎多き人物だ。
モジタバ師は、ハメネイ師の下では表立った公職には就いていなかったが、権力の中枢で黒幕として糸を引いていると目されてきた。
同氏は保守派に近いと見なされており、特に強力な権限を持つイスラム革命防衛隊(IRGC)との関係性が強い。革命防衛隊は、新指導者に対して即座に忠誠を誓った。
イランの第3代最高指導者となった同師に対し、指名から数時間以内には、マスード・ペゼシュキアン大統領や軍、司法府も支持を表明した。
これまで、公式行事やメディアへの露出を控えてきたため、同師の真の影響力については、イラン国民や外交筋の間で長年、様々な憶測を呼んできた。
モジタバ師は、イラン最高位の聖職者会議である「専門家会議」によって最高指導者に選出された。声明は9日午前0時過ぎ(日本時間9日午前5時30分)に発表された。
イスラム革命は、数世紀にわたった国王(シャー)による王朝支配に終止符を打ったが、専門家会議が選んだのは、かつてアリ・ハメネイ師が2024年に原則として拒絶していた「世襲による移行」だった。
1969年9月8日、イラン東部の聖地マシュハドで生まれたモジタバ師は、故ハメネイ師の6人の子どもの中で唯一、公の立場にある。
■ 治安機関とのつながり
白髪交じりのひげを蓄え、預言者ムハンマドの末裔(まつえい)であることを示す黒いターバンを巻いたモジタバ師は、1980年代のイラン・イラク戦争に従軍した経験を持つ。
米国はドナルド・トランプ政権下の2019年、「父の事務所での業務を除き、政府の役職に選出・任命されたことがないにもかかわらず、実質的に父の代理(代行)を務めている」として同氏に制裁を科した。
当時の米財務省は、故ハメネイ師が「指導者としての責任の一部」を息子に委譲しているとし、モジタバ師がイランの治安機関と緊密に連携して「地域の安定を揺るがす父の覇権的な野心や、国内での抑圧的な目的を推し進めていた」と指摘した。
反対派は、2009年の超保守派マフムード・アフマディネジャド大統領の再選後に発生した大規模な抗議運動に対し、モジタバ師が激しい弾圧に関与したと非難している。