【03月08日 KOREA WAVE】
プロ囲碁棋士のイ・セドル九段(c)news1
プロ囲碁棋士のイ・セドル九段(c)news1

2016年に人工知能「アルファ碁」と対局した囲碁棋士、イ・セドル九段(蔚山科学技術院特任教授)は5日、AIなしに人間の純粋な能力だけでは、もはや限界があるとしたうえで、限界に直面した人間が前に進むことを可能にするという点で、AIを肯定的に見ていると語った。

ソウル大学科学学科と韓国科学技術学会は同日、ソウル大学で「アルファ碁からアルファフォールドまで:イ・セドル―アルファ碁対局10周年記念特別対談」を開き、イ・セドル九段とともに、AIが人間にとって持つ意味について議論した。

イ・セドル氏は、人類は現在、AIを作るために膨大な資源を投入しているとし、なぜこれを作るのかという本質を考える必要があると指摘した。そのうえで、新薬開発や老化、エネルギー、宇宙など、さまざまな課題を解決するためにAIへ投資しているのではないかと述べた。

また、AIによる生産性向上が今後の主要な競争力になるとの見方も示した。囲碁の世界では、AIの普及によって実力が全体的に底上げされるのではなく、むしろ格差が広がっているとし、AIをうまく活用する上位棋士と、そうでない棋士との間で差が拡大していると説明した。

さらに、AIを活用しない囲碁棋士はすべて消えつつあり、それは避けられない事実だと述べたうえで、これは囲碁界だけの問題ではなく、産業全体でも同様の現象が起きるだろうと警鐘を鳴らした。

一方で、AIは人間を置き換える存在にとどまらず、人間を支援する道具として科学の進歩を促す可能性も指摘された。とりわけ、明確な規則が存在しない自然現象や難題を解く過程で、AIの活用余地は大きいとされた。

ソウル大学化学部のソク・チャオク教授は、アルファ碁対局後に英グーグル傘下ディープマインドの研究チームが、たんぱく質構造予測という難題に挑んだ事例を挙げた。この研究を発展させた「アルファフォールド」は、2024年のノーベル化学賞につながった。

ソク教授は、科学者は時代ごとに蓄積された科学技術文明の上に立って発展していくとし、新しい実験ツールが見つかれば、それによって大きな飛躍が起きると語った。そのうえで、AIもそうした科学的実験ツールの一つであり、特別ではないかもしれないが、その発展の幅は非常に大きいと評価した。

また、AIが人間の理解能力を超えているのかについては、なお疑問が残るとしたうえで、AIを作り訓練する役割は人間が担うことになるとの見通しを示した。そして、未知の領域を探究するにはAIとの協力が重要だと強調した。

イ・セドル九段は2016年3月、アルファ碁と対局し、1勝4敗の成績を残した。イ・セドル氏は3月9日、同じ会場で再び人工知能との囲碁対局に臨む。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News