文化遺産をコミュニティの中に「活かす」・中国
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【3月14日 People’s Daily】文化遺産は人類文明の重要な担い手である。しかし、その保護と発展の過程には、ある「矛盾」が存在するようだ。すなわち、社会から孤立させた保護では文化遺産と社会発展との断絶を招き、単なる観光開発では文化の真正性や完全性が損なわれる恐れがある。この難題をどう解決するか。
実践が示すところでは、難題解決のためにはコミュニティの力の深いレベルでの参画が鍵となる。住民が「傍観者」から「共創者」へと変容する時、文化遺産保護とコミュニティの発展は相互に力を与え合い、持続可能な発展が実現できる。これは中国各地の実践で明らかに証明されており、その中でも特に浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の「良渚古城遺跡」が、その顕著な事例である。
「良渚古城遺跡」は中国が20世紀に発見した重大な遺跡であり、2019年にユネスコの世界遺産リストに登録された。壮大な規模の古代集落、複雑な機能を持つ水利システム、階層化された墓地(祭壇を含む)など一連の関連遺跡の発見は、5000年前の中国の長江(揚子江、Yangtze River)流域の先史時代の「稲作農業」発展の高度な成果を実証しており、人類文明史の「初期都市文明」の秀逸な事例である。
「良渚遺跡」の核心区域は杭州市余杭区に位置しているが、ここは経済発展の先端地域であると同時に、文化遺産保護のモデル地域でもある。「良渚古城遺跡」は「エコロジー公園+活気ある環境」という発展モデルを構築し、「保護の中で発展し、発展の中で保護を行う」という道を模索している。遺跡を閉鎖的に保存するのではなく、科学技術による保護の強化、文化によるコミュニティの活性化といった方策を通じて、古代文明と現代生活が調和的に共存し、互いに滋養し育成し合うことを実現している。
「良渚古城遺跡」の保護では、文化的アイデンティティと住民の参画意識の醸成が特に重要視されている。2011年「良渚文化村」の3931世帯の住民は共同で「村民公約」を制定した。26条にわたる文明的な取り決めを盛り込み、「互いを知るコミュニティ」を構築することで、住民の精神的連帯感を強化した。そして、これを基盤にして「良渚古城遺跡公園」が住民の「コミュニティ共同創出」への参加を積極的に促し、健全で良性かつ持続可能なコミュニティ文化形成のメカニズムを育んでいる。また「良渚文化村」は討議メカニズムを革新し、「陽光議事団」を通じて「オンラインでの議論とオフラインでの決定」という民主的協議を行い、その問題解決率は95%を超え、コミュニティガバナンスを効果的に推進している。
「良渚古城遺跡」の保護では、遺跡の安全と住民の生活向上を両立させる革新的な制度体系が構築された。「分類・段階別一括申請」メカニズムを打ち出し、郷・鎮が統一的に住宅建設計画を作成し、住民が一括して申請し、政府が建設地の遺跡発掘調査などの費用を補償することで、遺跡の安全確保と住民の安定した居住の両立を保障している。保護区内の14の村落に対しては、区外に「発展ビル」を建設し、不動産経済を発展させることで「区内保護、区外発展」を実現している。
産業の発展において「良渚遺跡管理区」は文化資源を発展の原動力へと転換することに注力している。第一に、文化クリエイティブ産業を活用して文化遺産の価値を高め、「良渚MEI(美)」生活美学プロジェクトを推進している。大学などと連携して生活美学アライアンスを設立、600種類以上の文化クリエイティブ商品を開発し、24年の売上高は2億7000万元(約59億9940万円)に達し、ヒット商品も相次いで生まれている。
第二に、産業集積による文化拠点の構築を進め「良渚文化大回廊」が様々な文化資源を結び付け、1000社以上の「一定規模以上の企業」が集積し、デジタルコンテンツ、アニメ・ゲームなどの分野で顕著な優位性を発揮している。特色ある産業によって農村の全面的な振興を後押しし、村民が故郷で安心して暮らし、働ける環境を整えている。
実践が示すように、文化遺産保護とコミュニティ発展は互いに引き立て合い、共に利益を得ることができる。成功の鍵は、「静的な保存」から「生きた伝承」への転換を実現し、眠っていた遺跡を「活性化」させ、現代生活に溶け込ませ、コミュニティを育む文化的土壌とすることにある。同時に、「保護だけを目的とした保護」から「保護と発展の統合」へと飛躍させ、遺跡保護を経済社会発展の全体計画の中に組み込み、最小限の介入と持続可能な発展を達成することにある。
こうした事例は枚挙にいとまがない。四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)では市街地にあったサッカー場を開放型の遺跡公園に転換し、河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)では20平方キロの遺跡エリアを考古学研究・学習基地として整備し、「蜀道遺産」は住民がガイドとなる道を切り開いている。これらの成功事例の背景には、持続可能な発展へと向かう「中国の道」が存在する。
文化遺産の持続可能な発展とは、本質的に、文化遺産をコミュニティにとって不可欠で、活力に満ちた一部とすることである。コミュニティが文化遺産保護から恩恵を受け、保護に力を与えるようになれば、保護はもはや外からの要請ではなく、内発的な文化的自覚となる。これがまさに、中国が世界の文化遺産保護に提供する知恵にほかならない。(c)People’s Daily /AFPBB News