中国・瀋陽:古い工業都市が新たな発展の道を模索
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【3月13日 People’s Daily】「外壁に断熱材を施し、配管網を再敷設、階段には手すりを付け、廃棄されたボイラー室はコミュニティセンターに改造して・・・」、遼寧省(Liaoning)瀋陽市(Shengyang)大東区(の「長安住民区」に住む孫佳宝(Sun Jiabao)さんは、身の回りに起きた数々の新しい変化を細かく列挙した。
長安住民区は建設から30年以上が経過し、一時は「汚く、乱雑で、劣悪」の代名詞となっていた。2023年、老朽住宅地区改修プロジェクトの実施により、「古くて狭くて劣悪な」住宅群は、新たな顔を持つ居住区になった。
公共施設の老朽化、機能的な付帯施設の不足、都市緑化の質の低さなど、これらは多くの古い工業都市が発展過程で直面する共通の課題だ。中国で最も早く都市化が進み、都市化率が高い老朽工業都市として、瀋陽市は近年、都市更新(アーバン・リニューアル)をテコにして、規模の拡大に頼らず質の向上を重視した新たな発展の道を切り拓いている。
瀋陽には旧市街地が多く、6500以上ある住宅団地のうち、老朽住宅地区の割合は半数以上を占める。都市再生という難題の攻略において、老朽住宅地区の改修は重要な一環である。関係者によれば、過去5年間で瀋陽市は累計1823の老朽住宅地区を改修し、80万3000世帯の住民がその恩恵を受けた。累計1600基以上のエレベーターが増設または更新され、11万人以上の住民が利益を得ている。
老朽化したパイプライン網の改修・更新も同様に重要だ。瀋陽市都市建設局の郭正学(Guo Zhengxue)副局長は「全市のガスパイプライン網の総延長は1万キロ以上におよぶが、その一部は稼働年数が長く、一定の安全リスクが存在する」と話す。
郭氏によると、過去5年間で瀋陽市は老朽化したガスパイプライン網を延べ1350キロ以上改修し、25年のガス安全事故件数は21年比で70%以上減少し、安全な都市ガス使用の水準が大幅に向上した。また、水道管網1933キロ、排水管網393キロ、暖房用熱湯管網844キロの改修を完了し、都市の安全のレジリエンスレベル(強靭性、対応力)が大きく向上した。
ハード面のアップグレードに伴い、サービス面も追いついている。長安住民区党委員会の曹雪(Cao Xue)書記は「我々は質の高い高齢者ケアのための『三つのリスト』(ニーズリスト、リソースリスト、サービスリスト)制度を導入し、食事支援、入浴支援、リハビリ訓練など25項目の無償または低額な専門的サービスを提供している」と話す。
快適な生活を送るには、住みやすい環境が欠かせない。瀋陽市和平区(Heping)の文体西路南側では、長年放置されていた空き地が「ポケットパーク(街角の小さな公園)」に生まれ変わった。園内を散策すると、小道が曲がりくねり、バーカウンターやベンチなども設置されている。現在、3198ものコンパクトで機能的な「ポケットパーク」が瀋陽の街中に点在している。統計によれば、過去5年間で瀋陽市は市街地に16.9平方キロの緑地を新たに増やし、市の都市緑化率は40.74%に達した。
「緑を増やす」から「常に緑を保つ」へ、それは都市の精緻な管理レベルの試金石だ。瀋陽市都市精緻化管理「一網統管」(1つのネットワークで統括管理)指揮センターでは、巨大な電子画面に各地区の公園や緑地の維持管理データ情報がリアルタイムで更新され、公園の位置や植生の生育状況などが一目瞭然となっている。
「瀋陽方城歴史文化街区」には、瀋陽故宮(Mukden Palace)をはじめとする一連の文化財や歴史的建造物が立ち並び、また1万6千世帯以上の住民がここに住んでいる。ここは景観区、商業街区、居住区の機能が一体となったエリアだ。
このような歴史文化の残るエリアは、どうやって「有機的再生」(保存と活用を両立させた歴史街区の段階的・調和的な再整備)を実現したのか?
建物外観359棟の美化・修繕を実施し、不要となった電線・ケーブル約135万メートルを撤去し、小規模な景観・公共施設を1100か所以上新設した。こうして歴史ある67本の胡同(路地)が、特色ある文化体験エリアへと生まれ変わった。保護を主とし、旧態を修復して保存する方針を堅持しながら、瀋陽は「歴史的な文脈」を最大限に継承している。
街の形態が繭から蝶になるような変貌を遂げる中で、文化・観光分野の業態もアップグレードしている。現在までに「方城歴史文化街区」では、ブランドの初出店54店舗、ブランド旗艦店・体験店170店舗以上が進出し、民俗文化テーマパークなど3つの夜間経済(ナイト・エコノミー)シーンが創出された。体験型の新たな文化・観光業態の割合は従来の3%から46%にまで増加した。
瀋陽は工業文化の蓄積が豊かであり、工業遺産に新たな活力を与えることは都市再生が直面するもう一つの重要な課題である。
鉄西区興華北街には、鋸歯状の屋根を持つ鉄骨造りの古い工場建物がそびえ立っている。ここは旧瀋陽重型機器廠の第二機械加工工場で、現在は文化クリエイティブパークに様変わりし、人びとは展覧会や公演を観たりして芸術的な
雰囲気を味わいに訪れる。
「老朽化工場は古く固まった歴史であり、また都市の有機的再生を促進する貴重な資源でもある。適切に改造・運営さえすれば、『さびついた工業地帯』も『華やかな生活の舞台』に生まれ変わることができる」、瀋陽市の劉克斌(Liu Kebin)副市長はこう語る。瀋陽市は現在までに、累計70万平方メートルの工業遺産保護区域を設定し、多くの古い工場や作業場が改造を通じて、新たな活力を生み出している。(c)People’s Daily /AFPBB News