短期レンタルが活況、ヒト型ロボットが「アルバイト」・中国
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【3月12日 People’s Daily】年末年始、中国の各種商業イベント、企業の年次総会、文化観光イベントの現場では、多くのヒト型ロボットの姿が見られた。これら「ヒトロボットたち」は、今日はこちらで接客・応対に追われ、明日はまた別の場所でパフォーマンス披露の予定が入っている。「彼ら」は今「アルバイト」で忙しいのだ。
いくつもの「ロボット短期レンタルプラットフォーム」の登場により、ヒト型ロボットの「ギグエコノミー(単発仕事経済)」は、模索段階から大規模応用の新段階へ移行した。業界関係者の見方では、ロボットの短期レンタルモデルは、利用のハードルを下げ、応用シーンを拡大しただけでなく、製品の最適化、サービスの標準化、サプライチェーンの整備を利用サイドからさかのぼるように(フィードバックされながら)進化し、一連の新しい発展トレンドを生み出している。
ヒト型ロボットをレンタルするには、どうすればいいのか?料金はいくらなのか?どんな仕事ができるのか?
上海のロボット企業「智元機器人(AgiBot)」と応用サービスの「飛闊科技(Flycode)」が最近共同で立ち上げたロボットレンタルプラットフォーム「擎天租」では、誕生祝いや年末年始のイベントの会場で接客や歌や踊りを披露させるため、2台のヒト型ロボットと1台のロボット犬を貸し出している。そのレンタル料は1日あたり2500元(約5万5500円)だ。この他にも、企業の年次総会、ショッピングモールでの販促活動、スポーツ競技、企業の展示会、コンサート、文化観光サービスなど、さまざまなシーンに対応している。
「智元機器人」の責任者の話によると、現在、プラットフォーム上のロボットは主に、「情緒的価値」と「インタラクティブな体験」を主としたサービスを提供しており、店舗の集客、商業イベント、テクノロジー体験などのシーンで広く活用されている。またその料金は市場価格に基づいて設定されているが、日常のレンタル価格は機種とサービス時間に応じて変動し、200元(約4440円)から1万元以上(約22万2000円以上)までの幅があるという。「2025年12月22日の正式サービス開始以来、擎天租プラットフォームはあっという間に16万人を超えるユーザー登録を獲得した。現在、プラットフォームの1日の受注数は安定して200件以上あり、春節(旧正月、Lunar New Year)にはまた大幅な増加が見込まれる」、同社の責任者はロボット貸し出しの盛況ぶりをこのように話した。
業界関係者の話によれば、代理店やサービスプロバイダーの数が増加するにつれ、ヒト型ロボットのレンタル価格は、この1年で顕著な値下がりが見られたという。レンタル方式は、業界内では「ロボット+操作エンジニア」というのが一般的で、ロボット1台につき通常、全サービスプロセスに付き添う専門エンジニアが1名配置される。
文化芸術関連サービスプロバイダー「上海竜希文化」の恵建中(Hui Jianzhong)総経理は「実際の業務状況から見ると、現在市場のロボット需要の95%上は短期レンタルだ。多くの顧客はロボットを長期的に所有する必要はなく、重要な節目やイベントにおいて、ロボットを使って現場の効果や情報発信の影響力を高めたいと考えている」と話す。
短期レンタル市場ではどのモデルのロボットが人気なのだろうか?
調査によると、「霊犀X2」のような「感情計算」を前提とした対話エンジンを導入し、人の感情を読み取りながら対応するパフォーマンス・インタラクション能力と未来的デザインを兼ね備えたヒト型ロボットに対する市場需要が顕著だ。市場からのフィードバックで見ると、1日あたり数千元クラス(千元=約2万2714円)のレンタル価格の中高価格帯機種は、機能が充実し、展示効果に優れているため、商業分野の顧客から高い支持を得ている。
予測では、今年のヒト型ロボットのレンタル市場規模は100億元(約2220億円)を下回らないとされている。「智元機器人」の関係者は「ロボットの『ギグエコノミー』は、具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)の大規模な商業分野での応用の実現のための重要な経路の一つだ。それは、高価格の固定資産を柔軟に利用可能なサービスへと転換し、企業、特に中小事業者の利用のハードルを引き下げることになる。市場のロボットに対する需要は実在し、その応用シーンは急速に拡大しており、市場の潜在力は非常に大きい」と語る。
エンターテインメント分野では、この新しい方式が真っ先に実用化されている。「復旦大学(Fudan University)智元機器人与先進製造創新学院」の張立華(Zhang Lihua)副学院長は「ロボットのダンスやパフォーマンスは本質的に、高い鑑賞性と強い拡散性を備えており、コンサート、映像撮影、テーマパーク、商業イベント、文化観光活動などのシーンにおいて広範かつ持続的な市場需要が存在する」と指摘する。
そして「これにより、エンターテインメント分野は現在、ヒト型ロボットの応用の中で最も商業的に『閉ループ(フィードバック)』(制御装置の出力信号により制御された機械などの動きのデータを、制御装置にフィードバックし、入力値と出力値を比較して全体の操作量を調整する制御)を形成しやすい応用方向となっている」との分析を示している。
ヒト型ロボットの「ギグエコノミー」は、ロボット産業にいったいどのような影響を与えるのだろうか?
これについて張氏は「一方では、ロボットのギグ化(単発仕事化)やプロジェクト単位での利用が常態化するにつれ、市場はロボットの調達、運用、納入を専門に担う専門会社の一群を生み出しつつある。他方では、市場からのレンタル需要が、逆にロボットメーカーの製品の形態を形作っている。汎用ヒト型ロボットを追求する技術路線と比較して、メーカーは具体的な『応用シーンに沿った能力定義』とシステム最適化をより重視し始めている」と述べた。
全体として見ると、レンタル方式自体も持続的にアップグレードしている。初期の「単一機器の貸し出し」から、「ロボット本体、動作スキルパッケージ、コンテンツ演出、運用保守保証、安全管理を含む全体的なソリューション」へと徐々に進化しており、ロボットサービスを単発の納品から持続可能な運営へと発展させている。
「ロボット技術と製品の成熟・安定化、および本体コストの継続的な低下に伴い、ヒト型ロボットはより多くの分野で『ギグワーク』に従事し、徐々に『臨時雇用』から『従業員』へと変貌していくだろう」、張氏はこのように見ている。(c)People’s Daily /AFPBB News