小さな工業の町の「新」への道程・中国
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【3月7日 People’s Daily】最近、米国の民間宇宙輸送関連企業「スペースX(SpaceX)」の創業者イーロン・マスク(Elon Reeve Musk)氏が、中国の宇宙輸送システム開発企業「藍箭航天(LandSpace)」が独自開発した「朱雀三号(ZQ-3)」再利用可能ロケットについて、ソーシャルメディア上で何度も言及し、世界の宇宙関連分野で注目を集めた。
一方、江蘇省(Jiangsu)無錫市(Wuxi)の「恵山高新技術産業開発区(恵山ハイテク区)」では、将来の「朱雀三号」ロケットの主要生産拠点となる「藍箭航天無錫プロジェクト」が建設の最終段階に入っている。
「藍箭航天」の生産基地はなぜこの開発区を選んだのか。これについて、同社は「複数の都市を比較調査した結果、この開発区では半径50キロ圏内に必要な原材料や部品の供給企業を見つけることができた。特に航空エンジンの重要部品と材料の現地調達率は90%に達することが分かった」と説明する。
「恵山ハイテク区」は、工業基盤が強固で産業分野の幅が広い郊外の町・恵山区洛社鎮を基盤として生まれた。2021年、洛社鎮は「恵山ハイテク区」の設立準備を認可された。そして新しい分野に目を向けた「無錫航空航天(宇宙)産業園」の設立を発表した。
ここで「星空を見上げている」のは「藍箭航天」社だけではない。「鈞天航宇(Beijing JTSPACE Technology)」は、「SAR衛星:合成開口レーダー衛星」の主要部品の生産基地を構築した。同社は、統合化、標準化、モジュール化の設計思想に基づき、衛星製造を家電生産のように効率的で簡便なものにし、商業衛星を「実験室での特注生産」から「流れ作業生産」の新段階へと押し上げている。
また、宇宙軌道上では「雲遥宇航(Yunyao Aerospace)」社の商業気象衛星が1時間半で地球を一周する速度で、世界の気象状況をスキャンしている。同社の李峰輝(Li Fenghui)董事長は、気象衛星の研究開発・製造ならびにデータ応用プロジェクトを恵山に立地した理由について「現地の事務処理効率と高水準の研究開発・製造環境に惹かれたからだ。1か月足らずで、気象分野の専門人材を20名ほど採用できた」と話す。
航空宇宙産業が「空と宇宙へ進出」する一方、「低空経済」は着実に日常生活に溶け込みつつある。「恵山ハイテク区」に居を構える「マグナス・エアクラフト(Magnus Aerocraft)」のアジア太平洋地域本部の展示場では、同社の軽飛行機「Fusion 212」が注目を集めている。これは2人乗りの軽量スポーツ機で、機体は薄く軽い炭素繊維で作られ、最高速度は時速256キロに達する。今後、Fusion 212機を含むより多くの機種がここで生産される予定だという。
恵山ハイテク区では、低空経済の応用シナリオが日増しに豊富になっている。ドローンによる血液配送ルートが、無錫市中心血液センターと恵山区人民医院を結んでいる。このルートは人工知能とドローン技術を採用し、血液用低温物流管理システムと血液配送プラットフォームを融合させることで、従来の地上輸送における効率の低さや交通渋滞の影響を受けやすいといった課題を解決した。医療用血液の供給能力を大幅に向上させ、救急用血液の応答時間を約1時間から10数分に短縮し、患者にとって貴重な「ゴールデン救命時間」を生み出している。
「新」への道程の中で、伝統的製造業の「スマート製造」への高度化が加速している。「江蘇天奇物流系統工程(Jiangsu Miracle Logistics System Engineering)」は、かつては小さな町の郷鎮企業(金型メーカー)だったが、今では国際的に知られる自動車向けスマート製造装置メーカーへと成長した。
近年、同社は「エンボディドAI」を重要な戦略的方向性として位置づけ、複数の主要新エネルギー車メーカーとの間で「エンボディドAI」の応用に関する協力意向書を取り交わしている。
先ごろ、同社が建設し運営する「無錫市エンボディドAI工業データ収集実践訓練センター」が稼働を開始した。同センターは約7000平方メートルの専門的な訓練スペースを提供し、実際の応用シナリオでの訓練、シミュレーション環境での訓練、データ収集、マルチモーダル大規模言語モデル(LLM)訓練など多機能を一体化した施設だ。初期段階でも、すでに100台以上のエンボディドAI(人型ロボットなど)の同時訓練がサポートできる体制を整えている。 (c)People’s Daily /AFPBB News