【3月6日  People’s Daily】朝もやの中、甘粛省(Gansu)の「興隆山国家級自然保護区」の鳥のさえずりが森を目覚めさせる。木々の間にそっと置かれた声紋収集装置もそれに応じて起動し、一つひとつのさえずりを正確に見分け、記録していく。これは蘭州大学(Lanzhou University)野生動物モニタリング・保護研究チームの日常的な研究活動風景であり、進歩を続ける中国の生態環境モニタリング技術を象徴するシーンでもある。

このチームの責任者で蘭州大学の生態学院の張立勛(Zhang Lixun)教授級シニアエンジニアは「90年代、我々は重いテープレコーダーを背負って山に登り、テープがなくなれば下山しなければならなかった」と昔を振り返る。テープやMP3音声圧縮ファイルから専門的な録音ペンを経て、2022年に国産の「次世代スマート声紋収集装置」を全面的に導入したことで、このチームは野生動物のAIスマートモニタリングと保護の新たな段階に踏み出した。

 
技術の飛躍的な進歩で、より広範囲で深い観測が可能になった。チームは蘭州とその周辺地域に、3つの異なる傾斜度をカバーする60のモニタリング地点を設置した。自然のままの興隆山、連城国家級保護区から、人為的影響が軽度な県区域、そして公園や住宅地が密集する蘭州市街地までを網羅している。「収集した膨大なデータが、最近の好ましい傾向を表している。10年前は市街地にいる鳥の多くが単なる『通りすがり』だったが、今では多くの鳥が『蘭州市民』になっている」、張氏はユーモアを交えてこう語った。

蘭州で記録された鳥類は100種余りから339種に増加した。クロウタドリやカササギが頻繫に見られるようになっただけでなく、以前は珍しかったキレンジャクも省内の楡中県で越冬するようになった。これは、キレンジャクが植物の種子を餌とし、都市の緑地帯に豊富に植えられたバラ科植物やコノテガシワが、彼らにとって豊かな「食料庫」となっているためだという。
 
記録装置に鳥の鳴き声を「聞き分け」させるのは容易なことではない。音声認識は画像認識よりもはるかに複雑だ。張氏のチームメンバーは初期には「映画を撮る時のように」録音を1フレームずつ聴き、鳥の種類を特定しなければならなかった。現在ではAIシステムが迅速に一次スクリーニングを行うが、正確性を高めるには、豊富な野外経験を持つ研究者による人的な検証が依然として必要で、これがAIの反復的なアップグレードを支えている。

収集した声紋データは、蘭州大学野生動物音声・映像動態モニタリング・知覚プラットフォームにアップロードされる。張氏は「現地の鳥の類種の声紋データが多ければ多いほど、ビッグデータで訓練されたAIの種識別モデルはより正確になる」と説明する。現在、現地の装置による鳥の声紋の識別率は85%を超えているという。

従来の調査に比べ、声紋モニタリングは24時間稼働できるという優位性がある。張氏は「現在、かなりのデータを蓄積しているが、サンプル量はまだ不十分だ」と率直に認めている。そして「より多くのデータを掌握して初めて、気候変動や生態系修復がもたらす長期的な影響をより正確に分析できる。声紋モニタリング技術が将来の科学研究に、より広範な展望と豊富なデータ蓄積を提供できると確信している」と話す。

チームが24年に発表した論文では、大量の音響モニタリングデータを活用して、鳥類の活動の「ピーク時間帯」における生物多様性が迅速に評価できるとしている。この論文は「元の森林が失われた後に自然の遷移や人為的な植林で再生した森林『二次林』と『原生林』とは、鳥類の多様性保護において代替が不可能な保全価値を持っている」と指摘している。この研究は「完全な原生林の保護」と「乾燥地域の生態系回復戦略の最適化」に対する「科学的な根拠」を提供するものとなった。

夕暮れ時、シラサギが黄河の水面を滑るように飛び、岸辺のシダレヤナギの間から鳥のさえずりが聞こえる。この音は都市の鼓動と交わり、声紋収集装置によって忠実に記録され、最終的にデータベースに集積され、生態系の変遷を解読する記号となる。張氏は「近年の蘭州の生態環境の持続的な改善が、鳥たちにより良い生息条件を提供している」と指摘する。

研究室のスクリーンの地図上にリアルタイムで点滅する光点は、その一つひとつが科学技術と、人類が自然の声に耳を傾けようとしてきた努力を、静かに物語っている。

未来に向けて、チームは確かな自信に満ちている。「我々は必ず、より優れた最新設備を使うようにする。そして、より多くの『羽を持つ生き物たち』が、この黄河のほとりに飛来することを確信している」、張氏は自身の思いをこのように語った。 (c)People’s Daily /AFPBB News