中国の気象AI「MAZU(媽祖)」の航海記
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【3月4日 People’s Daily】毎日、地球上のいたる所が、様々な異常気象の危険にさらされている。
アフガニスタンでは「強い対流現象」で局地的に雹(ひょう)が降り、ウガンダでは連続する2つの「強い対流現象」で局地的・短時間の豪雨が発生した。これらの「強い対流現象」は、規模が小さく、突発性が強く、寿命が短く、影響が大きいという特徴から、気象予報における「世界的な難題」と言われている。これに対してアフガニスタンとウガンダは、いずれも中国の「気象AI」を活用することで、事前に信号を捕捉し、迅速に警報を発令することができている。中国の「気象AI」は現地の住民の避難や被害の軽減に貢献している。
これら中国の気象AIは、「MAZU(媽祖)」という共通の名称で呼ばれている。これは中国気象局が国連の呼びかけに応じて推進する「全民早期警報プラン」の略称である。「MAZU」は、厳密な科学的意味を持つ——M(Multi-hazard:多種災害)、A(Alert:警報)、Z(Zero-gap:格差ゼロ)、U(Universal:普遍的)の意味を合わせたものだ。因みに、中国の漢字表記では「媽祖(Mazu)」と書く。中国の民間信仰の航海安全と庶民の平安を守る女神の名前の発音が「MAZU」で、まさにピッタリの漢字名である。
「MAZU」は、クラウド型早期警報プラットフォームの構築を通じて、各国の気候変動課題への対応を支援している。プラットフォーム上のそれぞれの気象AIは1つの「ツールボックス」であり、各国のニーズに応じてカスタマイズされた「ツールボックス」を各国に提供し、様々な気象リスクの監視、警報、発表、対応までの全プロセスを「ワンストップ」で解決するものになっている。
パキスタンでは、氷河湖決壊洪水、強烈なモンスーンの発生、豪雨などの気象災害が多発している。中国気象局とパキスタンの関係部門は共同で、パキスタン向けクラウド型早期警報システムを構築し、これら3種類の災害性気象変動に特化した予報・警報を提供している。このカスタマイズされたシステムは2025年10月に現地導入・運用を開始した。
「モンゴルで頻発する気象災害、例えば強風、豪雨、砂塵、雪害などに対して『MAZU』は『風雲2H気象衛星』の積雪データを取り込み、ワークフローとプロンプトを設計し、現地言語で避難指針を生成する実用性が非常に高いシステムである」、モンゴル国家気象環境監視局の予報官はこのように高く評価している。
現在、「MAZU」プラットフォーム上の「ツールボックス」はますます充実している。24年6月に中国気象局が発表したAI気象予報システム「風清(Fengqing)」「風順(Fengshun)」は全て「MAZU」クラウド早期警報プラットフォームに統合されている。サービスの適用シーンもますます広がり、様々な気象災害や、都市、農業など多様な気象リスクのシナリオに対応している。
中国気象局国際協力司の曾沁(Zeng Qin)司長は「現在、『MAZU』はすでにパキスタン、エチオピア、ソロモン諸島、ジブチ、モンゴルの5か国で現地導入とリアルタイム運用が実現し、アジア、アフリカ、オセアニアの43の国と地域でオンライン試験運用が行われている」と説明する。中国気象局は、「MAZU」AIモデルのオープンソース化、プラットフォームの共有、データの開放を堅持している。世界各国は直接クラウド上で人工知能モデルを使用することもでき、また中国の気象部門と協力して各種バージョンを現地導入することもできる。
中国の気象AIの「海外展開」は、ハード技術だけではない。中国は研修班、学者派遣などのソフト面でも各国の専門人材育成を支援し、国際協力による気象AIシステムの共同構築を実現している。
中国気象局は25年から27年にかけて、早期警報、リスク評価、気候変動などの分野で、発展途上国に対して延べ2000人以上の短期研修、関連専門分野における延べ100人分の「学士・修士・博士課程の奨学金」、50名の長期訪問学者への補助金を提供する予定である。
なぜ「MAZU」という中国の気象ソリューションが世界に広がったのか?
それは、中国が気象科学技術能力の現代化を加速させ、気象衛星、気象レーダー、数値予報、気象AIとビッグデータの能力を着実に強化してきたこと、気象観測と予報の各プロセスが「互いにかみ合うような」発展を遂げ、総合的な実力を絶えず向上させてきたことに起因する。
今日、地球上で起こるあらゆる風雨霜雪の気象現象、特に台風や豪雨などの異常気象に対して、中国の気象部門はすべて観測、予報、サービスを提供することができる。
中国が独自開発したAI気象モデルは、欧米の先進国のモデルとともに、AI技術の気象分野への応用を牽引している。
これらのAIの優れた性能を見てみよう:10キロメートルのグリッドの「全地球的予報モデル」を計算する場合、数値予報では結果が出るまでに2時間かかるところ、「風清」予報システムは30分で結果を出し、国際的な主流モデルと同等の水準に達している。
強風、小規模な雹、短時間豪雨を伴う「強い対流現象」は、従来の予報にとって難題だったが、「風雷(Fenglei)」システムは1時間前に信号を捕捉した。また25年の雨季予報では、「風順」システムが1か月前に中国の主要な降雨帯の分布特性を把握した。
これらの先進的な気象AIモデルは、「MAZU」の技術基盤であるクラウドプラットフォーム上で全世界に向けてオープンソース化され、グローバルサービスを提供している。
中国の気象AIは、先進的な技術を世界中が実感し利用できるような、実効性のある防災・減災システムへと転換しつつある。中国のソリューションは山を越え、海を越え、グローバルな早期警報を構築する重要な力となり、世界各国のより良い故郷の建設を支援している。(c)People’s Daily /AFPBB News