【02月27日 KOREA WAVE】
25日、ソウル市鍾路区での記者会見を終え、会場を後にするミン・ヒジン氏(c)NEWSIS
25日、ソウル市鍾路区での記者会見を終え、会場を後にするミン・ヒジン氏(c)NEWSIS

韓国の芸能事務所ADOR(アドア)の元代表で、ガールズグループ「NewJeans(ニュージーンズ)」の総括プロデューサーを務めたミン・ヒジン氏が、大手事務所HYBE(ハイブ)との一審訴訟で勝ち取った約256億ウォン(約27億1360万円)のプットオプション代金を放棄すると宣言した。業界では、その背景を巡りさまざまな分析が出ている。

一見すると、K-POP業界の和合や道義的価値を前面に押し出した大きな決断のようにも映る。しかし業界内では、実利を踏まえた戦略的判断であり、自己ブランドに対する強い自信の表れだとの見方が広がる。

ミン・ヒジン氏はこれまでも「名分」を重視すると語ってきた。256億ウォンは個人としては巨額だが、これを手放すことで得られる法的自由やイメージ向上の効果は小さくない。訴訟リスクから距離を置けば、自身の創作活動に専念できる環境が整うとの判断があった可能性がある。

また、これは単なる無欲の表明ではないとの指摘もある。NewJeansのプロデュースとブランディングを通じて築いた市場価値への確信があるからこそ可能な決断だという分析だ。「ooak records」設立後、投資の問い合わせが相次いでいるとの観測もあり、256億ウォンを受け取らなくても、自身のブランド力でそれ以上の資本を呼び込めるとの計算が働いたとも解釈できる。HYBE資金に依存せず独自路線で展開できることを示すメッセージとの受け止めもある。

今回の提案の特徴は、HYBEが受け入れても拒否しても、ミン・ヒジン氏に大きな不利益が生じにくい構図にある。

仮にHYBEが応じれば、ミン・ヒジン氏は同社との訴訟に絡むNewJeansのメンバーや関係者、ファンに関する法的リスクを一挙に整理できる。「自らの利益を手放して仲間を守った」という物語を確立し、新たな出発を切ることが可能になる。

一方、HYBEが拒めば、ミン・ヒジン氏は一審で優位に立っている状況だ。和解案を退けたのがHYBEであるとの構図が強まり、「K-POPの未来のために巨額を放棄しようとしたが受け入れられなかった」という立場を確保できる。世論に対し大胆な決断をした人物という印象を残す効果も見込まれる。

また、質疑応答を設けず約6分間の声明のみを発表した会見形式も、リスク管理の一環とみられている。過去には感情的な発言が賛否を呼んだ経緯があったが、今回は不用意な発言や解釈の余地を極力排した。記者の質問に答える過程で一審勝訴の意味が薄れたり、不利な発言が飛び出したりする可能性を避けた形だ。

その代わり、「新たなアーティスト育成」や「創作での競争」といった未来志向のメッセージを簡潔に打ち出し、「ooak records」という新ブランドの存在感を印象づけた。256億ウォン放棄宣言は、HYBEとの関係を清算し、「オーケーレコーズ代表」として再出発するための強力な戦略とも位置づけられる。

もっとも、疑惑や課題が残る中で自ら会見を開きながら、一方的な立場表明にとどめた点には批判もある。今後の控訴審を含む裁判の行方が、必ずしも有利に進むとは限らない。

HYBEは一審敗訴後、プットオプション代金の強制執行停止を申し立て、裁判所はこれを認めた。控訴審判決まで強制執行は停止されている。HYBE側が新たな材料を提示すれば、情勢が変化する可能性も残る。

(c)NEWSIS/KOREA WAVE/AFPBB News