【3月11日 CNS】2026年の中央一号文件が2月3日に公表された。

今年の文書も引き続き「三農」(農業・農村・農民)分野に焦点を当て、農業・農村の現代化という重要テーマに目標を定めた。文書は冒頭で、農業・農村の現代化が「中国式現代化」の全体像と完成度に関わると位置づけ、「第15次五か年計画(十五五)」期は社会主義現代化の基本的実現に向けた基礎固めと全面的な取り組みを進める重要な時期だと強調した。その上で、農業・農村分野の目立つ弱点を早急に補い、農業強国の建設を加速する必要があるとしている。

これは、「第14次五か年計画(十四五)」期に着実な成果を上げた後、新たな段階の「三農」政策が発展上の弱点の解消を加速し、農業・農村の現代化という目標へ引き続き近づいていくことを意味する。

中国社会科学院農村発展研究所の李国祥(Li Guoxiang)研究員は三里河中国経済観察の取材に対し、国家の現代化建設という全体から見れば、現在の農業・農村の現代化水準は都市に比べて明らかに遅れており、そこが大きな弱点になっていると指摘した。したがって国全体の現代化を進めることは、ある程度、農業・農村の発展における突出した課題を解決していく過程でもあるという。弱点を補うには、まず弱点を正確に見極める必要がある。

李国祥氏は、農業生産については食糧の豊作が続いているものの、農業の質と効率はなお向上の余地があり、質の向上と効率化が求められると述べた。農村建設では、生活環境、インフラ、公共サービスなどの面で、都市と比べて依然として小さくない格差がある。農民の発展という点では、農民の所得を継続的に増やし生活水準を高めることが最重要課題だとしている。

こうした認識を踏まえ、2026年の中央一号文件は重要なポイントに的を絞って手を打った。第一に、農業生産は「提升(引き上げる)」を軸に貫く。文書は「農業の総合生産能力と質・効率の向上」を最優先任務に据え、穀物・食用油作物の単収向上を大規模に推進すること、「菜籠子」(生鮮食品供給)産業の質と効率を高めること、耕地保護と地力の向上、農業の科学技術イノベーション能力の強化などを通じて、「向上」を具体化する方針を示した。

こうした向上を支えるのが、農業分野の「新たな質の生産力」だ。

文書は「AIと農業発展の結び付きを促し、ドローン、IoT、ロボットなどの応用シーンを拡大する」と打ち出した。ドローンとロボットが中央一号文件に盛り込まれたのは今回が初めてで、スマート農業機器の普及と活用を加速させる狙いがうかがえる。

第二に、農村建設は「因地制宜(地域の実情を踏まえて進める)」を基本方針とする。

文書は、地域の実情に合わせて「住みやすく働きやすい美しい農村」の建設を進めるとした。これまで一部地域では、都市の発展モデルをそのまま当てはめたり、むやみに大規模な取り壊し・建設を進めたりする例があり、農民の実際のニーズから外れた「見せかけの事業」が出たことで、資源の浪費につながり、生活改善も十分に進まなかったとされる。

李国祥氏は、「因地制宜」とは、中央が定めた目標と任務を実行する際に、一律のやり方や形式主義、見栄えだけの事業を断固として避けなければならないという意味だと述べた。

文書も「地域の実情に応じて農村建設の実施メカニズムを整え、分類して秩序立てて、エリア単位で農村振興を進める。農村インフラの充実度、公共サービスの利便性、住環境の快適性を段階的に高め、農村の現代的な生活条件の不足を早急に補い、質の高い暮らしの空間をつくる」と明記した。今後の農村建設は、見た目の「きれいさ」だけでなく、中身の充実も重視する方向へ進むことを示している。

第三に、「増収」を軸に、農民の暮らしをより豊かにする。

産業の活性化も、住みよい農村づくりも、結局は人の発展と幸福のためだ。貧困対策の成果を固め、農村振興へ円滑につなぐための5年間の移行期間が終了した後、文書は初めて、常態化した精密支援(対象を絞った支援)の実施を体系的に打ち出した。同時に、農民の安定的な増収を積極的に促す方針も示した。

李国祥氏によれば、両者の核心は、多方面からの取り組みを通じて農民の所得を実質的に増やすことにある。具体的には、産業・就業支援の実効性を高め、県域の「富民産業」(住民所得を増やす産業)を育成・拡大し、出稼ぎ労働者の雇用安定を促すなどを通じて、農民自身の自立的な収入創出力を強めることが重視されるという。

農民の財布が潤い暮らしが豊かになれば、実感としての満足感や幸福感も高まるはずだ。「農は国の根本、根本が固まれば国は安定する」。新しい段階の「三農」の動きに注目が集まりそうだ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News