韓国で進まぬ暗号資産法制整備…慎重姿勢が招く「機会損失」
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【02月24日 KOREA WAVE】「今月中に法案が提出されるだけでも御の字だ」。韓国で暗号資産(仮想通貨)関連の第2段階立法を待つ業界からは、あきらめに近い声が漏れている。旧正月前の法案提出は見送られ、来月以降にずれ込むとの懸念も広がる。待機期間は長期化し、不確実性は固定化しつつある。
政界は「追加の議論が必要だ」との姿勢を繰り返す。与党幹部は今月中の提出を目標に掲げたが、取引所ビッサムのビットコイン誤送金事故などが重なり、審議がさらに延びる可能性も取り沙汰されている。
問題は、こうした遅れが初めてではない点だ。2024年7月に施行された暗号資産利用者保護法は、相場操縦の禁止や預託金保護など最低限の安全装置を盛り込んだ。一方で、発行・流通・開示、ステーブルコインといった産業の骨格を定める内容は第2段階に先送りされ、「半分の法案」とも評された。
第2段階立法は単なる補完ではない。利用者保護法が事故防止のための「ガードレール」だとすれば、第2段階法は産業全体の「設計図」に当たる。制度の空白は、そのまま産業の方向性や国際競争力に直結する。
かつて韓国のOTT産業がたどった道は示唆的だ。規制整備が遅れる間に、グローバル企業のNetflixが市場を急速に掌握した。韓国は高いコンテンツ制作力を持ちながら、プラットフォームの主導権は海外勢に握られた。収益と市場支配力が国外へ流れる構図は、今も続いている。
暗号資産分野も同様の懸念を抱える。制度的不確実性の下で、技術や資本、人材が海外へ流出しつつある。国内取引所は事業拡大や提携を模索するが、法的枠組みが定まらないなかでは投資や実証実験にも限界がある。金融と暗号資産を厳格に分ける「金産分離」原則も、国際潮流との距離を広げている。
海外はすでに次の段階に進んでいる。米国では暗号資産ETF承認を契機に機関投資家の参加が拡大し、取引所は決済やカストディ、デリバティブまで担う金融インフラへと進化している。欧州はMiCA体制で規制を明確化し、シンガポールや日本も金融との融合を模索中だ。規制の強度は異なるものの、進む方向ははっきりしている。
対照的に韓国は、いまだスタートラインに立ったままだ。第2段階立法が遅れるほど市場は「待機状態」に縛られ、その隙間は海外事業者の競争力拡大につながりかねない。規制の「慎重さ」が産業の停滞を招くなら、それは慎重さではなく機会損失にほかならない。
立法は先送りするほど精緻になるわけではない。不確実性が長引くだけだ。1年7カ月に及ぶ遅延は、すでに産業保護の域を超え、成長の足かせとなっている。プラットフォーム主導権を失った過去を繰り返さないために必要なのは、さらなる検討ではなく、明確な選択である。業界は、すでに十分待っている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News