【三里河中国経済観察】ルールの下で共存共栄へ 中欧EV貿易摩擦に前向きな進展
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【2月27日 CNS】中国と欧州連合(EU)の電気自動車(EV)を巡る協議が、重要な局面を迎えている。1月12日、中国商務部は簡潔な発表で中欧EV案件の協議の最新状況を公表し、中欧間のEV貿易摩擦が「ソフトランディング」に向けて実質的な一歩を踏み出したとの認識を示した。双方は相互尊重の姿勢のもとで複数回にわたり協議を実施し、EU向けに純電動車を輸出する中国企業に対して「価格約束(プライス・アンダーテイキング)」に関する共通の指針を示す必要があるとの認識で一致したという。
この貿易紛争は一朝一夕で生じたものではない。2023年10月にEUが中国製EVに対する反補助金調査を開始し、2024年10月末には5年間の反補助金関税を課した。その後、中国はこの措置を世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きに付託するなど、EVは一時、中欧貿易関係の大きな争点となっていた。今回の協議で前向きな進展が見られたことは、緊張していた状況が緩和に向かいつつあることを意味する。
発表によれば、EU側は「価格約束申請に関する指針」を公表し、WTOルールに基づき非差別原則を順守すること、すべての申請に同一の法的基準を適用し、客観かつ公正に審査することを明確にするという。価格約束は反補助金関税の代替措置にあたる柔軟な解決策であり、WTOルールの枠内で双方が受け入れ可能な均衡点を見いだすことが鍵となる。合意に至れば、中国メーカーは反補助金関税を支払う代わりに、価格などでEU側の条件を満たす形で市場に参入できるとされる。
中欧の自動車産業の結び付きは近年さらに深まっている。調査会社Dataforceによると、2025年11月時点で中国ブランドの欧州EV市場シェアは12.8%に達した。ベルギーや英国は中国の新エネルギー車の主要輸出先となっている。中国メーカー各社は欧州での工場建設や現地化を進めており、欧州側も産業転換や脱炭素目標の達成において、中国EVの役割を無視できない状況にある。EUが掲げる2030年までの温室効果ガス55%削減、2035年までの新車排出量90%削減という目標を実現するには、価格競争力のあるEVの導入が不可欠と指摘されている。
今回の協議成果は、中欧双方にとって一定の利益をもたらす可能性がある。中国メーカーは市場機会を維持でき、欧州メーカーも競争や協力の余地を確保できる。相互依存が進むグローバルな産業・供給網の中で、ルールに基づく協議によって妥協点を見いだすことは、関税の応酬よりも理性的な選択と言える。双方の経済協力の余地を広げると同時に、複雑化する国際貿易摩擦をどう処理するかについて一つの参考例を示した形だ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News