【2月24日 CNS】「新年は家族そろって、一人も欠けずに」。中国の春節(旧正月、Lunar New Year)連休を迎えた中、この伝統的な祝福の言葉に新たな意味が加わっている。

かわいらしい形のペット用ギョーザや団子から、人間の年越し料理を模した前菜、主食、スープ、デザートまで、ペットを飼う家庭の間で、愛犬や愛猫のための「専用年越し料理」を用意する動きが広がっている。

北京の盒馬鮮生(Hema Xiansheng)スーパーのペット食品売り場では、「犬用ワンダフル」「猫用ミャオジーリー」と名付けられた新年向けスナックギフトが目を引く。店員によると、最近はペット年越し料理ギフトの問い合わせが明らかに増えており、店頭で確認した後にアプリで注文し、自宅配送を選ぶ客も多いという。今後さらに売り上げが伸びると見込まれている。

「犬用ワンダフル」は49.9元(約1105円)で、丸ごとのカットタラ、乾燥牛リブ、鴨肉と梨のドライフードに加え、元宝(金の延べ棒)や福袋を模したフリーズドライ食品が入っている。「猫用ミャオジーリー」は59.9元(約1326円)で、猫の食習慣に合わせて12缶の缶詰を組み合わせた。なかでも濃厚スープは、鶏ささみ、エビ、ホタテ、タラの卵、ナマコ、シイタケなどを使った「猫版ごちそう」といえる一品で、さらにフォアグラのムースやヤマイモ入り若鳩料理で栄養を補い、デザートにはベリー入りスフレを添える。現在、同商品はフーマーのペット人気商品ランキングでトップとなっている。

南京市の陳(Chen)さん(仮名)は「新年はうちの子にも縁起を担がせたい。うれしそうに食べる姿を見ると、年越し気分が一層高まる」と話す。愛犬が気に入ったことから、友人の犬にも贈ろうと考えているという。

オンライン市場ではさらに多彩な商品が並ぶ。特製のギョーザや団子のほか、ペット向け安全食材で見た目や風味を再現した「ウェリントンステーキ」や「アミガサタケご飯」など、高級感のあるメニューも人気だ。

ペット版ウェリントンステーキは、グルテンフリーの専用パイ生地で包み、鹿肉や和牛、フォアグラ、キノコペーストなどを詰め、見た目も本格的に仕上げている。主食、サイド、デザートを組み合わせた「中西融合豪華セット」もあり、炙りウナギのチーズ焼きご飯や馬肉のシェパーズパイ、和牛チーズステーキなどの主食に、ワッフルや紅色のケーキ、バスク風チーズケーキや金元宝型ビスケットなどが並ぶ。価格は100元(約2215円)から500元(約1万1076円)程度、高いものでは1000元(約2万2152円)近いものもあるが、購入者は少なくない。

地域色を打ち出した商品も登場している。遼寧省(Liaoning)大連市(Dalian)では、ナマコやサワラ団子のスープなど海鮮メニューが並び、福建省(Fujian)アモイ市ではタケノコ入り鴨スープや沙茶麺などの「閩南風」料理、広東省(Guangdong)では伝統的な正月料理「盆菜」を模した「犬用盆菜」が販売されている。

さらに高齢のペットや病気療養中のペット、体格やアレルギーの違いに合わせた専用レシピも増えている。こうした細分化された商品は、単なる話題作りではなく、栄養面を考慮した本格的な祝祭用食事へと進化している。

北京でペット向けベーカリー教室を営む王夢晞(Wang Mengxi)さんは、ここ数年で需要の変化を実感している。年越し料理に限らず、誕生日ケーキや季節限定おやつなどの注文も増えているという。飼い主は単なる給餌ではなく、儀式を通じて愛情を示したいと考えるようになっている。

「2026年抖音(Douyin)電商年貨消費トレンド報告」によると、1月16日から29日の年貨(年越し用品)フェア期間中、ペット関連商品の取引額は前年同期比83%増加した。春節期間にはペット写真撮影や新年用衣装、特別フードの需要も高まり、「ペット新年チェックリスト」はますます充実している。これはペット関連市場の拡大と若年層の消費観の変化を映している。

食品産業アナリストの朱丹蓬(Zhu Danpeng)氏は、ペットと共に新年を祝う行為は、飼い主の感情の投影が深まった表れだと指摘する。企業が売っているのは単なるフードではなく、「春節のペットケア一式」であり、ペットと祝祭の喜びを分かち合い、その関係性をSNSで共有したいという複合的な需要に応えているという。今後も多くのブランドが参入し、商品革新や市場の細分化が進むとみられている。(c)CNS/JCM/AFPBB News