【2月19日  People’s Daily】潮風が滑走路を吹き抜け、翼が林のように立ち並び、尾翼がそびえ立つ。レンチを締める「カチッ」という音があちこちで響く。海南自由貿易港の「ワンストップ式航空機整備産業基地」では、国境を越えた航空機の点検・整備が行われている。

「この機はヨルダンから、あちらの2機はベトナムから、整備スケジュールは2026年の年末まで全部埋まっている」、海航航空技術(HNA Technic)の系列企業・大新華飛維(Grand China Aviation Maintenance)の空港整備基地の古志林(Gu Zhilin)ディレクターはこう話す。22年の操業開始以来「ワンストップ航空機整備産業基地」は延べ2400機以上の航空機整備を完了し、国内外の約50社の航空会社にサービスを提供してきたという。

 
「海南自由貿易港建設総体方案」は「西部陸海新回廊」の国際海運ハブおよび航空ハブの建設を明記している。自由貿易港建設の重点プロジェクトの一つとして「ワンストップ航空機整備産業基地」は稼働を開始した。古氏は「ここ数年、まさに自由貿易港の対外開放政策という追い風に乗って、ワンストップ航空機整備産業基地が設立された」と説明する。

古氏によれば、海外の航空会社の中には「海南に大型機を整備する能力はあるのか」と疑問を持つところがあり、開業当初は顧客獲得のため市場開拓に奔走したという。そして22年10月、初の国際案件:外国航空会社のエアバスA320機の整備を獲得した。

「チーム全員が緊張し、ボルト一本一本のトルク、配線一本一本の接続を何度も確認した」と古氏は振り返る。整備中に必要となった重要な航空機部品は、海外から調達すると少なくとも半月はかかる。「自由貿易港の保税政策のおかげで、航空機部品の在庫を十分に貯えることができ、整備の各工程がスムーズにつながった。チームの高い効率に顧客の担当者はその場で親指を立てて称賛してくれた」と古氏は満足げにそう語る。

自由貿易港の政策支援はどれほど強力なのか?

古氏が試算した総合的なメリットは次の通りだ。

まず「コスト低減」の面では、入境整備に際して保証金が免除されるため、企業は多額の資金を拘束されず、総合的な整備コストが10から15%ほど削減される。次に効率向上の面では、保税扱いの「航空機部品のスーパーマーケット」の構築で関連部品が一式そろい、保税のまま直接「引き出し」が可能で、整備期間が短縮される。またサービス向上の面では、税関など関連部門が航空機整備関税免除サービスの新モデルを整備し、航空機や部品に対してグリーンチャンネルを提供しすることで整備のために入境する航空機の迅速な通関が確保されている。

制度の革新により、海外の航空会社が「初回の客」から「リピーター」へと変わってきている。ベトナムのベトジェット航空(vietjet air)は、最初は「1機試してみる」という程度だったが、今では約20機を送り込んでいる。カタール航空(Qatar Airway)は、サービスを体験した後に3年間で約1億元(約22億7800万円)近い塗装オーダーを契約した。「以前は我々が航空機の整備依頼を待ち望んでいたが、今では航空機が順番待ちをしている」と古氏は笑顔でそう語った。

「ワンストップ式航空機整備産業基地」の傍らでは、海口美蘭空港(Haikou Meilan International Airport)にあるボーイング787などの主要な機種に搭載されているゼネラル・エレクトリック GEnx (General Electric Next-generation)の「GEnx-1Bエンジン」のメンテナンス専門企業「吉耐斯航空發動機維修工程」も同様に活気に満ちている。

昨年、国内最大の推力を持つ15万ポンド級大型エンジンの試運転がここで成功し、世界の主流の航空エンジンモデルのテスト需要を満たせること、航空機の「心臓部」であるエンジンの修復能力が大幅に向上したことを証明した。
同社の呉棟陽(Wu Dongyang)総裁は「我々はサプライチェーンの重要な弱点を補完しつつある。技術開発に本腰を入れられたのは、自由貿易港の『自社使用生産設備の関税免除政策』の支援があってこそだ。21年の政策実施以来、生産設備の輸入に関税がかからず、実質1億元(約22億7800万円)の節約になった。このおかげで、資金を本当に必要な部分に集中投入できた」と話している。

産業チェーンの充実と高度化について、古氏は強く実感している。「当初は機体整備しかできず、顧客がそれ以外のサービスを必要とする場合は、他の地域に移動しなければならなかった。今では、産業エコシステムが徐々に整い、近隣で様々なサービスを提供できるようになった」と話す。

海口税関の統計によると、25年1月から10月までの間、海口空港総合保税区で保税整備された貨物価値は478億6000万元(約1兆903億円)に達し、前年同期比71.8%増加した。「関税ゼロ」の整備用機材輸入から、「関税ゼロ」の生産設備購入、そして「関税ゼロ」の航空機本体の輸入まで「部品—生産設備—機体全体」をカバーする航空産業チェーンが、海南で徐々に形成されつつある。

2025年12月18日、海南自由貿易港の「全島封関運用(島全体を保税区域として運営)」を正式に開始した。国際的な往来がより活発になり、海南の上空はより一層賑わっている。「我々にとって、これはより大きな舞台を意味する」、格納庫の外にまた別の国際便1機が着陸し、古氏は新たな忙しさの中へと身を翻していった。(c)People’s Daily /AFPBB News