自動化の次は“現場を動かすAI”…韓国・熟練ノウハウ移植で製造業が変わる
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【02月12日 KOREA WAVE】韓国政府が推進する地域製造現場へのフィジカル人工知能(AI)導入が、目に見える成果を上げている。単なる自動化にとどまらず、熟練技術者のノウハウをAIモデルに反映し、AIが工程を直接管理する手法によって、生産性と品質が大きく改善した。
科学技術情報通信省は8日、慶尚南道昌原市のシンソン・デルタ・テックを訪れ、フィジカルAIの事前検証事業の成果を点検し、地域製造企業と意見交換したと明らかにした。
今回の訪問は、フィジカルAIに基づく精密制御技術の適用可能性を確認し、今後推進する「慶南AI転換(AX)」大型研究開発事業との連携方向について、企業や研究者の現場の声を聞くために実施された。
科学技術情報通信省が2026年に着手する慶南AX事業は、従来の工程自動化を超え、現場の物理的特性や熟練者の経験をAIモデルへ直接組み込む点に主眼を置く。AIがロボットや設備を直接制御する「物理情報ニューラルネットワーク(PINN)基盤の大規模行動モデル(LAM)」の技術開発に力を注ぐ。
これは、分析や判断に偏っていた従来型AIから、現場を深く理解し工程を実際に動かすAIへの転換を意味する。
科学技術情報通信省と情報通信産業振興院は、2025年の補正予算を活用して事前検証事業を推進し、慶尚南道の製造企業8社で実証を進めた。その結果、品質予測や生産効率の向上といった具体的成果が確認された。
シンソン・デルタ・テックでは、プラスチック射出・組立工程において、射出成形工程データ49種と、作業者の動き、原材料の状態、不良形状など62種のアクションデータを組み合わせたAI学習用データセットを構築。デジタルツインモデルで工程品質を事前に予測・補正した結果、不良率は約15%低下し、設備稼働率は約20%向上した。
科学技術情報通信省は、これらの検証成果を踏まえ、2026年上半期から慶南AX事業を本格的に始動させる。2030年まで推進し、製造現場データに基づく「物理知能行動モデル」の開発を通じ、超精密制御が可能なフィジカルAIの実装を目指す。
ペ・ギョンフン(裵慶勲)副首相兼科学技術情報通信相は「慶南は機械・部品・装備など精密製造の力が集積した最適な地域だ。その産業競争力にフィジカルAIを結び付けたい。将来、フィジカルAIの基盤モデルが完成すれば、オープンソースとして広げ、多くの企業が容易に活用できる生態系を築く」と語った。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News