【2月16日 CNS】中国・四川省(Sichuan)自貢市(Zigong)の「中華彩灯大世界」を訪れると、高さ35メートル、中国結びを発想源にした灯組(大型のランタン作品)「華結映門」が来場者を迎える。古代と現代をつなぐ「門」のような演出で、光と影が移り変わる幻想的な空間へと誘う。

会場には、中国古典『荘子・逍遥遊』に由来する神鳥「鯤鵬(こんほう)」を題材にした作品もある。高さ32メートル、全長210メートルに及ぶ巨大な光の造形が翼を広げ、星と海が手の届くところにあるかのような光景を作り出す。

巾幗(きんかく、髪飾り)の英雄・花木蘭(Hua Mulan)を描いた「木蘭伝奇」も見どころだ。機織りの場面から始まり、鎧をまとって戦う姿、そして故郷へ戻るまで、花木蘭の生涯を華やかな灯りでたどる構成になっている。家国への思い、女性としての成長、春節(旧正月、Lunar New Year)の団らんといった要素を一つの物語としてまとめ上げている。

高さ22メートルの愛嬌ある「年獣」のランタンは、最新のAI対話システムを搭載する。周囲が騒がしい環境でも子どもの指示を聞き取り、自然なやり取りができるという。

自貢は中国西部の小都市で、古くは塩業で知られた。昔、塩業に携わる人びとが余暇に灯した明かりが、唐・宋代を経て発展し、明・清代に形を整え、近現代に入って大きく花開いた。「天下第一灯(天下一の灯り)」と称されるゆえんである。

自貢灯会は1964年に第1回の迎春灯会を開催して以来、国内外で名を知られるようになり、ランタンは中国を超えて世界へ広がった。これまでに80以上の国・地域、500を超える都市で展示され、世界市場シェアは92%に達するとされる。2025年だけでも、米国、フランス、オランダなど19か国の85都市で112件のランタンプロジェクトが実施されたという。

30年以上連続開催となる今年の灯会が打ち出す新しさは、千年受け継がれてきた無形文化遺産の技術と、現代テクノロジーを創意工夫で組み合わせた点にある。

巨大な「鯤鵬」の内部には、LEDの星空ドーム、高精細スクリーン、精密な機械装置などで構成された「機械仕掛けの神話宇宙」が設けられ、神鳥の腹の中を歩きながら中華文化の世界観に浸る没入体験を提供する。

高さ30メートルの「吉祥のひょうたん」をテーマにした空間では、音・光・電気を組み合わせた投影システムにより、来場者が手を伸ばすと、空から降ってくる「福」「禄」などの動く光の文字を「受け止める」ように体験できる。

古代の五音を題材にした体験型の台では、叩く、拍手する、弾くといった動作に応じて音が鳴り、灯りが変化し、動きのある反応が返ってくる。光と音が連動する演出に、来場者が五感で参加できる仕掛けだ。

企画担当者によると、「木蘭伝奇」ランタンは特殊素材と骨組みの設計により、ランタンで馬の毛並みを表現する難題を克服し、花木蘭の長い髪や馬のたてがみの「なびき」まで再現した。さらに3Dモーションキャプチャ技術で表情の動きを精緻にし、人物に「生命感」を与え、美しさ、感情、技術の各面で新たな水準に到達したという。

「万物皆可成灯(あらゆるものが灯りになる)」という発想も、自貢灯会の伝統的な特徴の一つだ。今年は中国最古の地理書『山海経』を下敷きにした神獣の作品が存在感を放つ。稲わらで作った金毛犼(きんもうこう)、モールのような素材を巻き付けて作った貔貅(ひきゅう、中国神話に登場する伝説的な生き物)、赤唐辛子1万5000本を組み合わせた火の鳳凰、回収した薬瓶4万6000個で形作った水麒麟など、素材の枠を広げる試みが並ぶ。こうした工夫は、無形文化遺産の技と、環境配慮の発想が交わる形にもなっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News