「6兆円分のビットコイン誤送金」…韓国ビッサムで前代未聞の“幽霊コイン”事件
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【02月09日 KOREA WAVE】韓国の大手仮想通貨取引所「ビッサム(Bithumb)」で、利用者294人にビットコイン計62万個(約60兆ウォン=約6兆6000億円相当)が誤って送付される前代未聞の事故が起きた。保有量が約5万個に過ぎない同社が、どうやって12倍超の仮想通貨を送信できたのかという“幽霊コイン”疑惑まで浮上している。問題の発端は、内部統制システムの総体的な崩壊だった。
6日午後7時頃、ビッサムは新規顧客を狙ったプロモーション「ランダムボックスイベント」で、695人の参加者のうち294人に対し、1人あたり2000ウォン(約220円)相当の報酬を付与する予定だった。ところが、金額設定を誤り、294人に対して2000ウォンではなく「ビットコイン2000個(約1970億ウォン相当)」を支給してしまった。
事故発生後、ビッサムが異常に気づいたのは20分後。この間にビットコイン1786個が一括で売却され、取引所内のビットコイン価格が急落。市場は一時“パニック”に陥った。
ビッサムによると、7日午前4時の時点で誤って送付された62万個のうち99.7%にあたる61万8214個を取引前に回収済み。すでに売却された1786個のうち約93%も回収したが、残る125個は未回収のままだ。
この急落によって、市場では一部の投資家が“パニック売り”し、想定外の損失を被った。ビッサムは「投資家が被った損失額は約10億ウォンに上ると推定される」と明かした。なお、この金額は誤送付分の総額ではなく、価格変動による“純損失”を基に算出されたものだという。
事故の根本的原因は、明らかに異常な数値や取引があっても、それを遮断するシステムが正常に作動していなかった点にある。ビッサムが実際に保有するビットコインは、2025年9月末時点で175個、自社管理以外の委託分を含めても約4万2619個にすぎない。にもかかわらず、イベントの名目で62万個が“正常な資産”としてシステム上に認識され、実際に送付されてしまった。
背景には、仮想通貨取引所が採用している資産管理システムの構造的な問題もある。現行法では、取引所は顧客資産の100%以上を保有することが義務付けられており、その約80%はセキュリティ確保のために「コールドウォレット(オフライン保管)」で管理されている。送金時にはまず内部データベースに反映され、後から実際のウォレットから資産が引き出される仕組みだ。
この運用体制により、実際の送金処理前に内部記録だけで支給が実施された結果、保有量を大幅に超える仮想通貨が支払われてしまった。
また、担当者が当選金の単位を「ウォン」ではなく「ビットコイン」に設定して入力するという「ファットフィンガー(Fat Finger)=入力ミス」が事故の直接原因だったが、それを阻止できるチェック機能も欠如していた。社内の承認プロセスもずさんで、今回のイベントに際しては「2段階以上の承認」がなされていなかったという。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News