【2月13日  People’s Daily】朝7時を過ぎたばかり、徐燕春(Xu Yanchun)さんは車椅子に電動走行アタッチメントを取り付け、急いで家を出た。

午前中は北京市豊台区の100人余りのバリアフリー監督員に研修講義を行い、午後は「国家バリアフリー環境展示館」で外国からの賓客に解説を行うなど、1日に50キロ以上を駆け回り、帰宅したのは夕方5時を過ぎていた。

多少の疲れはあったが、彼女の表情は晴れやかで「今の生活は、以前では考えられなかった。自立して生計を立てられるし、少しでも社会の役に立つので!」と語った。
 
1974年生まれの徐さんは、先天性二分脊椎症と脊椎側弯症を患っている。幼い頃から、自分が他の人と違うと感じていた。両脚の長さが異なり、歩くたびに足を引きずっていた。

19歳の時、彼女は首都経済貿易大学(Capital University of Economics and Business)の会計学専攻科に合格した。しかし、学期の半分が過ぎた頃、下半身が次第に重くなっていくのを感じた。まず始めは足、次に下腿、そして太ももと、左足から右足へも広がり、次第に歩行能力を失っていった。彼女は車椅子を使わざるを得なくなり、学業も中断を余儀なくされた。

試練に直面し、これからどうしていこうか?徐さんは、車椅子生活を始めた最初の数年間、心のわだかまりを解くことができず、終日家に閉じこもり、人との接触や交流を恐れていた。

そんな状況を変えたのが、偶然雑誌で目にした一言:「変えられないものを受け入れ、変えられるものを変えよう」という言葉だった。彼女は奮起し、生き方を変えることを決意した。

彼女はパソコン操作を学び始め、インターネット上でオンラインショップを開き、カスタマーサービスと店長を務めた。15年、彼女は「北京新生命高齢者・障害者支援サービスセンター」の生活再建プログラムに参加し、多くの生活スキルを習得し、多くの志を同じくする友人たちと出会った。

18年、彼女は「第一回全国バリアフリー・ユニバーサルデザイン研修キャンプ」に参加した。「多くの外国のバリアフリー専門家がオリンピック選手村のバリアフリー設計を指導するのを何度も見た。「彼らにできることなら、私にもできる」と思い、研修キャンプで上海市、大連市(Dalian)、深セン市(Shenzhen)、香港など複数の都市のバリアフリー環境を実地調査し、バリアフリー技術基準を体系的に学び、念願の「プロフェッショナルバリアフリー監督員」となった。

19年、北京市は「バリアフリー環境整備特別行動」を開始した。徐さんは専門講師として、全市16区の研修業務に参加し、車椅子に乗って都市の多くの場所を移動した。都市計画道路から行政サービスホール、病院、商業施設から居住区まで、バリアフリー施設の改造と建設の実地指導に参加した。

「緊急呼出しボタンは便器の斜め前方に設置し、バリアフリートイレには車椅子が一回転できる1.5メートルのスペースを確保し、低い位置のカウンターの下にはひざを入れる十分なスペースを・・・」、徐さんは改造の要点をこのように説明する。「バリアフリー環境の整備は細かい仕事で、少しも手を抜くことはできない」と言う。
  
点字案内図、低位置呼出しボタン、電動昇降式洗面台、点字図書コーナーなど、西城区三井胡同にある仏教経典にある空想の樹木の名を冠した「那伽樹バリアフリーカフェ」に入ると、様々なバリアフリー設備が整っている。徐さんは設計段階だけでも10回以上この店を訪れ、設計者といっしょにプランを練り上げた。施工時にはヘルメットをかぶり、改装現場で一つひとつの細部に目を光らせた。

開店後このカフェは多くの障害者から親しまれている。「この店の設計はとても精巧で、私たちに快適な温かい空間を提供してくれている」、ある障害者はこのように語った。

「身体の不自由さは仕事上の強みに変えられる。ある空間のバリアフリー施設が使いやすいかどうかは、私のような実際に使う者の方が、より繊細に感じ取ることができる」、徐さんはこう強調する。

より高度な仕事をするために、彼女は独学で複雑な設計図の読み方を習得し、英語力を向上させ、海外のバリアフリー関連資料を自在に参照できるようになった。23年8月、その卓越した専門能力を評価され、彼女は「中国障害者支援ボランティア協会標準化作業専門委員会」の副秘書長に任命された。
 
道路が平坦になり、交通は便利になり、手続きも簡単になった。首都のバリアフリー施設がますます充実するにつれ、徐さんはよく車椅子で公園や商業施設を訪れるようになった。彼女のスケジュールはぎっしりで、週に少なくとも3日は外出し、あちこちを駆け回っている。「私はこれからも努力を続けて、バリアフリー環境の整備がより多くの人たちに恩恵をもたらすようにしたい」と抱負を語っている。(c)People’s Daily /AFPBB News