【2月15日 東方新報】休暇で家を空けるとき、ペットの世話をどうするか。ペット経済の盛り上がりを背景に、飼い主宅を訪ねて餌やりやトイレ掃除などを行う「訪問世話」サービスは、単発のアルバイト的な仕事から、需要の大きい専門サービスへと広がっている。参入者が増える一方で、業界では「訪問世話を教える講座」といった派生ビジネスも生まれ、これから始めたい人に体系的なノウハウを提供する動きも出てきた。ただ、市場拡大の陰で、身の安全や財産、ペットの健康、責任の所在などのリスクも無視できず、従事者・利用者とも備えが求められる。

春節(旧正月、Lunar New Year)を前に、小紅書(Red)などのSNSで「訪問世話」を検索すると、「年末年始は猫の訪問世話を受けます」「○○エリア対応」といった投稿が多数見つかる。対応範囲を自分の所在地から数キロ圏で示し、料金、流れ、サービス内容、引き受けられないケースまで明記して受注する人も多い。

深セン市(Shenzhen)で訪問猫世話を3年続ける小高さん(Xiao Gao、仮名)は、「需要がはっきりあり、副業として人気が出たことで参入したい人が増えた」と話す。2024年の春節ごろは、まだ副業中心で料金や基準も統一されていなかった。小高さんは留学中の保護猫支援やペット病院でのケア経験を生かし、まず副業として始めて業界に入ったという。

小高さんによると、SNSには日々の様子を紹介する投稿は多いが、集客からサービス提供、リスク管理まで一連の流れが整理されておらず、初心者が実務に必要な知識を得にくい。そこで研修で学んだ内容と、1000回を超える訪問経験を基に、体系化した有料講座を立ち上げた。無料ではなく有料にしたのは、「一見低コストに見えても、家財の安全やペットの命、相互の信頼が関わる高リスクなサービス」だからだとして、専門性に対価を払う姿勢がない人は責任ある提供者になりにくい、という考えを示した。

訪問世話はすでに「ちょっとした小遣い稼ぎ」という枠を超え、副収入の柱にする人もいる。小高さんは「昨年は副業収入が年間2万元(約44万5352円)を超えた。繁忙期は春節や国慶節など長期休暇に集中する」と話す。料金は基本パックに追加料金を組み合わせ、5キロ圏内は1回55元(約1224円)で、給餌、給水、トイレ掃除、15分のふれあい、室内の簡単な確認などを含む。猫を1匹追加すると加算し、エレベーターのない建物では別料金を取る。繁忙期は1日に15~18件回ることもあり、予約管理表などを使って訪問ルートを組み、ミスを防ぐという。

参入を考える人は、収入を増やしたい会社員、育児の合間に働きたい人、ペット好きで興味と収入を両立させたい人など幅広い。講座では、信頼を得る自己紹介やリスクの線引きといった基礎に加え、予約管理の効率化、SNSでの集客、値下げ交渉への対応、単発客をリピーターにする工夫なども扱うとしている。

一方で、鍵を預ける以上、利用者側には身の安全や財産面の不安がつきまとう。小高さんは自宅カメラの設置や、訪問前後の連絡などの対策を勧める。従事者側にも、ペットの体調変化(活動量、排泄物、食欲など)を見分ける力が求められるという。現在は個人だけでなく、ペットショップや家政サービス会社も参入し、口コミサイトでは「訪問世話」を掲げる店舗が増えている。価格は1回100元(約2226円)前後が多いが、ばらつきも大きい。

小高さんは、競争は最終的にサービスの質に戻るとみる。安全と専門性が前提になったうえで、散らばった猫砂を片づける、倒れた物を元に戻すといった細部が満足度を左右し、リピートにつながるという。市場が伸びるほど、専門性と責任を守ることが従事者には欠かせず、利用者も資格や評判、契約内容が整った提供者を優先し、安さだけで判断しないことが重要だ。訪問世話の核は信頼と丁寧さであり、双方がそれを支えることで、サービスはより健全に発展していくと結んだ。(c)東方新報/AFPBB News