【2月7日  People’s Daily】中国・青海省(Qinghai)南部に位置する三江源地区は「中華の水塔(取水塔)」と呼ばれ、氷河がその重要な水源である。青海省ゴロク・チベット族自治州(Golog Tibetan Autonomous Prefecture)に横たわるアムニェマチェン(阿尼瑪卿)山脈には120平方キロメートルを超える氷河が広がり、中国第二の大河である黄河上流に約35%の水源を供給し、三江源の重要な生態的な障壁となっている。

近年、「中華の水塔」の水源涵養量(森林などの保水量)は持続的に向上しており、アムニェマチェン山脈の生態管理はその生きた縮図と言える。

  
車でアムニェマチェン山脈の南麓を走ると、連なる氷河が圧倒的な迫力を放つ。当地では、氷河の融解と凍結には主に二つの時期がある。毎年5月と11月前後だ。これはまた、同州マチェン県雪山郷の遊牧民モニタリング隊が集中的に雪山を観測する時期でもある。

車を降り、フェルト帽をかぶり、遊牧民モニタリング隊と共に雪の中を進む。地元の遊牧民は2008年から自発的に隊を組織し、氷河の万年雪線(万年積雪境界線)の測定を行ってきた。
標高4500メートル以上の移動では、一歩一歩が困難を極める。尾根の深い霧を抜けると、「千頂帳篷(千頂テント)」測定点に到着する。赤いペンキで昨年のデータが目立つように記録されている。数人が協力して腰をかがめ、巻尺を覗き込み、氷河の端と前年にマークした点との距離を測定する。

地元の関係部門と住民が力を合わせてこの雪山を守っている。マチェン県自然資源・林業草原局の雪山保護ステーションは09年にアムニェマチェン雪山観測に加わり、中国科学院西北生態環境資源研究院の何暁波(He Xiaobo)チームなども次々と参加した。

現在では、衛星リモートセンシング、ドローンの傾斜写真測量によるモデル構築、およびモニタリング標柱の設置、巻尺測量などの措置により、氷河モニタリングはより立体的になっている。

人工的な増水・補氷作業は、アムニェマチェン山脈保護の重要な措置だ。近年、現地の気象部門は、気象条件に応じ、触媒を用いて雲の凝結と降雪を促進している。保護ステーションは上流と下流で同時に氷河の温度、湿度、積雪厚などのデータをモニタリングし、増水効果を評価している。実践を通じて、アムニェマチェン山脈の一部地域では積雪期間が延長され、氷河の融解速度が効果的に緩和された。

「あちらがデルニ銅山です!」、アムニェマチェンの山中を歩きながら、同行のマチェン県林業草原ステーションのゲンツァン所長がそう紹介した。アムニェマチェンの山の中腹に、片側が鉱山で反対側が排土で築いた堤(盛り土)の場所がある。かつて、露天掘りと土捨て場の建設が原生の高山草原を損傷し、アムニェマチェンの山肌が浸食され、周辺の牧草地を劣化させた。

デルニ銅山の関係者・張明(Zhang Ming)さんは「06年の銅山の操業開始時には、生態破壊を引き起こすとは認識していなかった」と話した。さらに「現在は生態を修復するため、我々は海抜4430メートルの位置まで草を植えた」と付け加えた。

水源の涵養(保水)において、草は重要な役割を担う。デルニ銅山の修復では、まず植生が最優先課題だった。土壌が不足していたため、現地で入手可能な軟質の蛇紋岩を加工して複合土壌を作り、牧草の生育条件を整えた。保水性が低いという問題には、棚田や「草方格」(地面に稲わらなどを格子状に埋め込み、土砂の散逸を防ぎ、保水性を高める荒地や砂漠の緑化技術)などを参考に、あらゆる有効な方法を駆使して水を留めた。こうした一連の努力で、デルニ銅山は24年、基本的な生態修復を完了した。
 
近年、ゴロク・チベット族自治州は516万6400ムー(約34万4430ヘクタール)の「黒土灘」(土壌劣化が進み荒地化した高地の草原)など「退化した草原」の修復を完了した。「黒土灘」を緑化するのは容易なことではない。

「ここでは、草は繰り返し播種しなければ生き延びられない」と更蔵所長は言う。同州の平均海抜は4200メートルを超え、気候は寒冷で生育期が短い。このため、地元では何度も試行を重ね、エゾムギ(Elymus nutans)や冷地型スズメノカタビラ属草種などの耐寒性草種を選定した。聞くところでは、現地は囲い込みと人工播種管理モデルを使って、高原植物の炭素吸収機能を、自然生育に比べ30%向上させているという。

さらに西へ進むと、マド県(Maduo County)が前方に広がる。マド県は「千湖の県」とも呼ばれ、黄河源流域にある二つの主要な湖:ザリン湖とオーリン湖がここに位置している。以前この地は、草地と家畜のバランスが崩れ、多くの湿地が退化し、4000を超える湖沼の半分が干上がっていた。持続的な生態管理の努力を経て、「千湖の県」の風景は再現され、湖沼の数は5800以上に増加した。

ゴロク・チベット族自治州は「草原—流域—湿地・湖沼」の協調的修復を推進している。昨年マド県と周辺県は湿地連結工事を展開し、1200ヘクタールの湿地を回復、黄河支流への流入水量を15%増加させる見込みだ。過去5年間で、同州は10万ムー(約6667ヘクタール)の湿地を保護・回復させた。三江源国立公園の水源涵養量は年平均6%以上増加し、同州における黄河流出断面(地点)の水質はⅠ類を維持している。

同州には1万人を超す生態管理員が配置され、各湖沼・湿地を巡回監視している。遊牧民のドルジェ・ギャルツェンさんはアムニェマチェン氷河の近くに暮らし、氷河周辺の泉の状態をモニタリングしている。彼はかつてそれらが干上がるのも見、そして再びあふれ出すのも見てきた。かつて完全に枯渇した氷河周辺20キロメートル圏内にあった27か所の湧水源のうち、現在14か所が復活し、黄河の源流を潤している。(c)People’s Daily /AFPBB News