【2月9日 CNS】2025年末、中央農村工作会議が予定通り開かれ、2026年の「三農」(農業・農村・農民)政策の基本方針が示された。

今回の会議で、例年と比べて特に強調されたのが、「因地制宜(地域の実情を踏まえて進める)」という考え方だ。この表現は、住みやすく働きやすい農村づくりの推進、農業における新たな生産力の育成、農村建設を進める仕組みづくりという三つの分野で、繰り返し使われた。

これに先立ち、「第15次五か年計画(十五五)」の計画案でも、農村振興は一律の方法ではなく、地域ごとの条件に応じて段階的かつ秩序立てて進めるべきだと明記されていた。今回の会議で同じ考え方が改めて打ち出されたことで、政策の方向性はよりはっきりしたと言える。中国の三農政策は、全国一律ではなく、地域差を前提にしたきめ細かな施策へと踏み込んでいる。

中国社会科学院農村発展研究所の研究員・李国祥(Li Guoxiang)氏は取材に対し、「中国は国土が広く、自然条件や発展段階、直面する課題が地域ごとに大きく異なる。これまでは三農政策を全国一律に進める色合いが強かったが、今後は国の共通目標を踏まえつつ、地域の条件に応じて、類型別・段階的に進める必要がある」と語った。

李氏はさらに、「住民自身が納得し、暮らしの中で効果を実感できることが何より重要だ。そのためには、地方政府が実施方法を工夫し、他地域の成功例をそのまま真似するようなやり方は避けなければならない」と強調する。

実際、これまで一部の地域では、都市型の開発モデルを農村にそのまま当てはめ、大規模な建て替えや再開発を進めた結果、どの村も似たような景観になる現象が起きた。こうした画一化は、農民の実際の生活ニーズとかけ離れた「見た目重視」の事業を生む原因にもなった。

今回、当局が「因地制宜」を前提条件として打ち出した背景には、こうした過去の反省がある。

では、地域の実情に即すとは、具体的にどういうことなのか。

李氏は、農村建設を一つの型にはめて進めるべきではないという意味だと説明する。例えば、伝統的な集落や歴史ある村落では、開発よりも保護を優先し、文化的価値を守りながらどう発展させるかを考える必要がある。一方、空き家が多く人口が減少している村では、統合や再編といった選択肢も現実的だ。人口が多く、現状が安定している村であれば、無理に手を加えず、当面は現状維持とする判断もあり得る。

農業の質を高め、生産効率を向上させるうえでも、こうした考え方は欠かせない。

2025年、中国の食糧総生産量は過去最高となる14298億斤(約7.15億トン)に達し、1人当たりの食糧保有量は500キロを超えた。これは、食糧生産の土台を耕地の確保に置きつつ、増産の鍵を技術革新に求めるという方針を着実に進めてきた成果だとされている。

特に、農業技術による生産力向上を進めるには、画一的な技術を全国に当てはめるのではなく、地域ごとに適した方法を選ぶことが重要だ。黄土高原に水郷地帯の農業モデルをそのまま導入しても効果は上がらない。それぞれの土地に合った技術を見極めてこそ、現場に根付き、実際の成果につながる。

「美しい農村」づくりも同様で、全国どこでも同じ姿を目指すのではなく、それぞれの地域が持つ自然や文化を生かした形であるべきだ。

中国は東部・中部・西部で発展段階が異なり、資源条件にも大きな差がある。単一の基準で全国を測ることはできない。

今回の会議が地域差を重視する姿勢を明確にしたのは、各地が伝統や資源条件に合った発展モデルを模索し、調和と美しさを備えた、それぞれ独自の農村像を築くことを後押しするためだ。

それは、最先端技術を取り入れた未来型農村かもしれないし、豊かな自然を守りながら暮らす農村の姿かもしれない。

李氏は、各地が地域の実情に即して三農の課題に取り組んでいけば、農業と農村の現代化は着実に進み、2035年までに農業の現代化を基本的に実現し、農村が現代的な生活条件をおおむね備えるという目標の達成につながるとみている。

それぞれの土地が持ち味を生かし、各地の農村が強みを伸ばしていく。農業が強く、農村が美しく、農民が豊かになるという構想は、広大な農村の現場で、少しずつ現実のものとなっていくだろう。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News