【2月8日 東方新報】「你咋个找到的喃?(どうやってここを見つけたの?)」――昼食どきが近づいた頃、中国・四川省(Sichuan)の成都市(Chengdu)成華区の龍潭寺老街(老街=歴史ある街)にある飲食店の店先で、席に着いたばかりの若い客がスマホを構え、笑いながら最近ネットで「本物すぎる成都語」と評されるこの方言フレーズを録音していた。この「方言ネタ」は、30年続くこの老舗の店で生まれたもので、もともとは常連同士の何気ない挨拶にすぎなかった。それが偶然に撮影されて拡散すると、瞬く間に話題となり、この冬の成都で最も注目される「流行のキーワード」となった。このネットでの盛り上がりは、ひっそり営業してきた大衆食堂の客足を倍増させただけでなく、老街全体にも人の流れを呼び込んだ。

「どうして急にこんなに話題になったのか、私にもさっぱり。食べに来た若い人から『ネットで有名になってますよ』と言われて知ったんです」。ちょうど調理場に立とうとしていた店主の范丹(Fan Dan)さんは、驚きを隠さない口ぶりでこう話した。いまでは客数が何倍にも増え、客の大半は若者で、他省からわざわざ訪れる観光客も少なくないという。「みんな来ると動画を撮って、最初に言うのが『どうやってここを見つけたの?』なんです。私は年寄りで、若い人の流行はよく分からないけど、本当に商売を助けてもらって感謝しています」。

30年続く店の強みは、注文ごとに炒める新鮮な食材と、1人20〜30元(約440〜660円)ほどの手頃な価格にある。周辺住民に長年愛されてきた店でもある。范丹さんは、たとえ人気が出ても値上げはせず、品質も落とさないと語る。「老舗が人を引き留めるのは、ネタじゃなく味です」。長年守ってきた看板にようやく知名度が付いたことも嬉しいという。「いまは成華区の龍潭寺、うちの通りまで、たくさんの人が知ってくれるようになりました。お客さんには北湖公園や龍潭水郷にも行ってみてくださいと勧めています。龍潭寺は本当にいいところです」

店内のさまざまな客の姿は、この「ネットの波」が生み出した広がりを映し出す。地元の葉(Ye)さんは昔からの常連で、近所の食堂だった店が「撮影スポット」のようになったことに複雑な思いもあるという。「ここの味はずっと庶民的で、周りの人はみんな好きでした。人気が出てからは昼は何組も待つし、隣の市場まで賑やかになって、買い物する人も増えました」。このフレーズの流行は、彼女の記憶も呼び起こした。「おじいちゃんや父が酒を飲みながら口にしていた、あの感じの言葉を思い出しました。成都語への印象も前より強くなりました」

ネットで評判を聞きつけて来た劉(Liu)さんは、地元の客家文化への興味と、鍋ひとつでさっと仕上げる小炒(炒め物)への期待を口にした。「本場の四川料理は魅力的だし、若い人がこんなに来るのは、四川料理の魅力がずっと生きている証拠です」。車で20キロ以上かけて訪れた謝(Xie)さんは「話題に乗りたくて来た」と率直に話す。「一口食べた瞬間、期待を裏切らなかった。本当においしい。成都の『大衆食堂』には隠れた名店が多いけど、この店はこの流れをうまくつかみましたね」。広東から来た符(Fu)さんも、箸を置くなり周囲に勧めた。「ネットでかなり話題だったので来てみました。折耳根(ドクダミ)も粉蒸肥腸(豚の大腸を米粉と香辛料で蒸した、スパイシーで柔らかい四川料理)もおいしかった。来てよかったです」。古くからの客である蘭(Lan)さんは、客層の変化を実感しているという。「昔は地元の客家の人や年配が多かったけど、いまは外地からの客と若者が3分の2くらいになった。町全体の活気もずいぶん増えました」

方言が引き起こしたこの盛り上がりは、すでに一軒の店を超え、都市文化が広がっていく過程を示す事例にもなっている。四川大学(Sichuan University)文化産業研究センター主任の蔡尚偉(Cai Shangwei)氏は、「どうやってここを見つけたの?」が広まった理由について、リアルさ、親しみ、共感、仲間意識、そして面白さが合わさって生まれる感情的価値にあると分析する。「『咋(Za)』は成都らしさの出る言い方で、『喃(Nan)』の語尾のやわらかな響きは、成都の文化的な気質をよく表しています。急がない口調には庶民的な温かさがあり、語尾のゆるさには、この街の『のんびり感』や肩の力の抜けた雰囲気がにじむ。方言が成都らしさを運ぶ器になっているのです」。

蔡氏はまた、この言葉が老街の食堂で自然に交わされてきた実際のやり取りから生まれ、作為的な宣伝ではない素朴さが人の心を打ったと指摘する。親しみのある響きが人との距離を縮め、仲間内で共有する感覚や遊び心が、ネット上での「真似して楽しむ」動きを生み、拡散力をさらに押し上げた。その結果、軽やかで温かみのある形で成都文化の魅力が伝わり、文化の発信と消費の活性化が同時に進む形になったという。

午後の龍潭寺老街でも、「どうやってここを見つけたの?」と冗談めかして言い合う声は続いていた。突然の人気について范丹さんは淡々としている。「ネットのものは風みたいなもの。過ぎたら終わりです」。鍋ベラを拭きながら穏やかな口調でこう続けた。「うちは30年やってきたけど、頼ってきたのは賑わいじゃない。みんなが安心して食べられる家庭の味です。流行っても流行らなくても、料理をちゃんと作って、常連さんにまた来てもらえれば、それで十分です」。(c)東方新報/AFPBB News