米覇権含む世界秩序は「破裂」、中堅国が「服従で安全買える」時代は終了 カナダ首相
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【1月21日 AFP】カナダのマーク・カーニー首相は20日、スイス東部ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、米国主導の世界統治システムは、大国間の競争とルールに基づく秩序の「衰退」を特徴とする「破裂」に直面していると述べた。
カーニー氏は昨年カナダ政界入りして以来、世界は「プレ・トランプ(ドナルド・トランプ政権以前)」の正常な状態には戻らないと繰り返し警告してきた。
カーニー氏は20日の演説でこのメッセージを改めて強調し、トランプ氏の名前こそ挙げなかったが、同氏が世界情勢に及ぼす影響を分析した。
「私たちは移行期ではなく、破裂期にある」と述べた。
カーニー氏は、カナダは「米国の覇権」を含むかつての「ルールに基づく国際秩序」から恩恵を受けてきたと指摘。米国の覇権は「公共財、すなわち開かれたシーレーン(海上交通路)、安定した金融システム、集団安全保障、紛争解決枠組みの支援などの提供」に役立ってきたと説明した。
だが、新たな現実が始まったとして、「これをありのままに呼ぼう。大国間の競争が激化し、最強の国が経済統合を強制手段として自国の利益を追求するシステムだ」と付け加えた。
■「メニューに載る」
さらに、大国の歓心を買おうとする試みに対する警告として、カナダのような中堅国はもはや「服従で安全を買える」とは期待できないと主張。
「カナダのような中堅国にとっての問題は、この新たな現実に適応できるかどうかではない。適応しなければならない。単に壁を高くすること(守りを固めること)で適応するのか、それとももっと野心的なことで適応できるのか、ということだ」と述べた。
さらに、「中堅国は協力して行動しなければならない。なぜなら、私たちはテーブルに着かなければ、メニューに載ってしまう(食い物にされる)からだ」「大国は今のところ、単独で行動する余裕がある。彼らは市場規模、軍事力、そして条件を決める力を持っている。中堅国にはそれがない」と続けた。
トランプ氏は2024年大統領選後と就任後最初の数か月間、カナダを繰り返し「51番目の州」と呼び、併合はカナダにとって有益だと主張していた。
トランプ氏のカナダ併合論はここ数か月で沈静化していたが、19日夜、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、カナダとベネズエラが米国旗で覆われた地図の画像を投稿。両国が米国に完全併合されることを示唆した。
トランプ氏がデンマーク自治領グリーンランドを領有すると脅し、領有計画は不可逆的であると断言したことで、ダボス会議の影が薄くなっている。
カーニー氏は、「カナダはグリーンランドとデンマークをしっかりと支持し、グリーンランドの将来を決定する彼ら固有の権利を全面的に支持する」と述べた。(c)AFP