【1月25日 東方新報】消費者が「ブロックを買う」と言うとき、頭に浮かぶのはたいていレゴ(Lego)だ。ブロック玩具の代名詞としての地位を築いたレゴは、いまや「ブランド名=商品カテゴリー」として認識されている。一方で、中国のブロック玩具メーカーは、価格競争に巻き込まれ、利益率の低さから原材料や金型といった基礎的な部分への投資を進めにくいという構造的な課題を抱えている。

森宝ブロック(Sembo Block)の共同創業者、丁浩(Ding Hao)氏は、国産ブロックが直面する最大の問題は「安さを武器に市場を広げてきた結果、成長に必要な投資余力を失っている点」だと指摘する。国産ブロックの主力価格帯は9.9元(約224円)から数百元(100元=約2270円)程度で、レゴ製品の5分の1以下に抑えられているケースも多い。こうした価格設定は消費者の裾野を広げる一方で、原材料のグレード向上や金型精度の引き上げといった「ハード面」への継続的な投資を難しくしている。

そのため、多くの国産メーカーは、価格以外の価値をどう打ち出すかに活路を求めている。森宝は映画や博物館とのコラボに加え、空母や戦闘機などの「大国重器」を題材にしたブロックを展開し、愛国心や文化的共感に訴える戦略を取ってきた。こうしたテーマ性のある商品は、単なる玩具を超え、感情的な価値やストーリーを伴う存在として支持を集めている。

一方、レゴはマーベル(Marvel)やスター・ウォーズ(Star Wars)といった世界的IPを武器に、国境を越えて共通の世界観を提供してきた。中国メーカーも海外IPの活用を進めているが、ライセンス取得だけでは十分ではなく、遊びやすさや構造面での独自工夫、いわゆる「二次創作」が不可欠だという。近年では、中国のブロックメーカーもレゴの設計基準に縛られず、中国市場の嗜好に合ったデザイン表現を模索し始めている。

技術面では、射出成形機などの設備水準はすでに国際的に見ても遜色ないレベルに達している。差が出やすいのは、原材料の選定や金型の精度といった細部だ。丁浩氏によれば、国産でも投資さえできれば品質面でレゴに並ぶ、あるいは上回ることは可能だという。ただし、その前提となる利益構造が整っていないことが、最大の壁になっている。

さらに市場環境も変化している。玩具は子ども向けの商品にとどまらず、デザイナーズトイやブラインドボックスの流行を背景に、若者や大人にとっての「感情の受け皿」や「自己表現の道具」へと役割を広げている。ブロック玩具も、組み立てる楽しさだけでなく、世界観への没入やコレクション性が重視されるようになった。

こうした流れの中で、中国の玩具メーカーに求められているのは、単に「レゴのようになる」ことではない。価格や仕様で追いかけるだけではなく、文化的背景や独自の物語性を備えたブランドとしての存在感をどう築くかが問われている。丁浩さんは、「製造の強み」を土台にしながら、「ブランド価値」へと転換できるかどうかが、国内市場での定着だけでなく、海外展開の成否を左右すると見ている。

中国のブロック玩具業界は、いま成長の踊り場に差し掛かっている。だが、設計力や開発力は着実に蓄積されており、可能性が失われたわけではない。レゴになることを目標にする時代を越え、中国独自の価値をどう示せるか。そこに次の成長の鍵がある。(c)東方新報/AFPBB News