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【01月20日 KOREA WAVE】人工知能(AI)ブームにより「スーパーサイクル(超好況)」を迎えている韓国のサムスン電子とSKハイニックスに対し、いわゆる「特許怪物」と呼ばれる特許管理専門会社(NPE)が相次いで訴訟を起こしている。両社が世界市場で躍進を遂げる中、特許侵害で勝訴すれば多額の賠償金を得られることから、NPE側にとっては「格好の標的」になっている。

とりわけ、トランプ米政権下で特許権者に有利な政策が進められたこともあり、NPEによる訴訟リスクは一層高まっている。韓国の半導体企業が米国の法廷に立たされる場面が増えている。

業界では、韓国企業が半導体技術で先行していることから、実際の特許侵害は少ないと見ている。だが、訴訟への対応には巨額の費用と時間がかかり、企業活動への悪影響は避けられない。

業界関係者によると、SKハイニックスは2025年1月、中国系NPE「アドバンスト・メモリ・テクノロジー(AMT)」から、ブースター回路などの主要特許4件を侵害したとして、米テキサス州東部の連邦地裁に提訴された。同年11月には、米国系NPE「モノリシック3D」からも別の特許侵害で訴えられている。

サムスン電子も例外ではない。2023年と2024年の2度にわたり、半導体関連のNPE「ネットリスト」から提訴され、総額4億2115万ドルを支払った。ネットリストは2021年にもSKハイニックスと4000万ドル規模で和解しており、最近では次世代メモリ「HBM」を巡る新たな訴訟も進行中だ。

こうしたNPEは自ら技術開発や製品製造を手掛けておらず、過去に取得した曖昧かつ広範な特許を武器に、大手半導体企業を対象に訴訟を仕掛けることを主な事業モデルとしている。「技術を守る」という本来の特許制度の趣旨から逸脱し、「訴訟そのものが収益源になっている」との批判も根強い。

業績の好転や市場シェア拡大が、逆にNPEにとっての訴訟インセンティブを高めるとの見方もある。売上高が大きく、市場への影響力が強い企業ほど、賠償額の算定でも優位に働くためだ。実際、特許情報企業「ユニファイド・ペイテント」によると、サムスン電子は2025年に米国の地裁および特許審判部(PTAB)で合計198件の特許訴訟を提起され、世界の企業の中で最も多く訴えられた企業となった。

訴訟の急増には制度面の変化も大きく関与している。特にトランプ政権以降、特許無効審判(IPR)の申請要件が厳格化され、被告企業が用いる防御手段が制限されるようになった。IPRは、被告側が特許庁傘下の特許審判部に対して特許の有効性を迅速に争うための重要な制度だ。

ところが近年では、同一特許に関する別訴訟の存在や手続きの濫用の恐れなどを理由に、IPRの開始自体が裁量的に拒否される例が急増。かつて30%程度だった申請拒否率は、2025年後半には90%近くに跳ね上がったとされる。これにより、企業側は「特許は無効である」または「侵害していない」といった主張で法廷闘争に臨むしかなく、事実上、有効な対抗手段を一つ失った形となっている。

問題は、こうした特許訴訟が単なる一時的な費用負担にとどまらず、企業の中長期的な競争力をも蝕みかねない点だ。訴訟は通常、数年にわたり継続し、巨額の法務費用や人材が必要となる。これにより、本来であれば研究開発(R&D)や生産能力拡充、サプライチェーンの安定化などに回すべき資源が奪われるという。

さらに、米国の連邦機関が個別訴訟に関与し、特許権者の主張を支持する動きが広がっていることも懸念材料だ。2025年には米国特許庁と司法省が、サムスン電子とネットリストの訴訟に関連して、米国国際貿易委員会(ITC)に「強力な特許の行使は公益にかなう」との意見書を提出した。

こうした状況を受け、韓国の半導体業界では、もはや個別企業による対応には限界があるとして、政府と産業界が連携した包括的な対策の必要性を訴える声が高まっている。法律事務所の選定や特許ポートフォリオの拡充だけでは、根本的な構造問題の解決には至らないという判断からだ。対米特許政策への対応や国際的な連携、制度改正の要請を含む、国家的戦略が求められている。

ある業界関係者は「国家の基幹産業である半導体が、技術競争だけでなく知的財産政策という外部要因によって揺さぶられている。AIスーパーサイクルの成果を守るためにも、“特許怪物”の問題を産業の生存戦略として捉えるべき時が来ている」と語った。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News