新疆:麦畑から立ち上がった「億元長者村」・中国
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【1月25日 People’s Daily】新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)昌吉回族自治州(Changji Hui Autonomous Prefecture)奇台県の腰站子村、初秋の陽光が広大な農地に降り注ぐ。青空と白い雲を背景に、トラクターが行き来している。
腰站子村では小麦の収穫が終わったばかりで、今は次期作の準備に追われている。あと数日もすれば、ここで冬小麦が根を張り、来年の豊作を待つことになる。
「この1万ムー(約667ヘクタール)を超す農地は、全部私が管理している」、目の前の広大な土地を指さして、小麦栽培管理を担当する「大区画長」で村の栽培の達人・高琦(Gao Qi)さんはこう言った。
十数年前、村の耕作地は分散され、小麦の収量は低く、村民の収入はわずかしかなかった。2009年、村は「奇台県豊裕農業サービス專業合作社」を設立し、村全体の土地を「一枚の土地」に集約して統一栽培を行い、村の443世帯の村民が全て合作社の社員となった。村民は土地の賃貸収入を得られるだけでなく、年末には配当も受け取れるようになった。
土地の集約と同時に、現代農業技術も絶えず導入・応用されていった。「北斗衛星測位システム」を利用した播種、ドローンによる農薬散布などの技術により、腰站子村は種まきから収穫まで全工程の機械化を実現した。16万ムー(約1万667ヘクタール)の小麦などの農作物のグリーン栽培を実現し、今年の小麦の単位収穫量は1ムー(約667平方メートル)あたり680キロに達した。
大規模化、集約化、科学化栽培の推進で、新疆の食糧生産は人力から機械化、そしてスマート化へと進化を遂げた。24年、新疆の1ムーあたりの穀物年間収穫量は524.8キロとなり、全国1位に躍り出た。22年から24年にかけて、新疆の穀物の「純移出量」(自給分を超えて外部へ搬出した数量)は累計1417万トンに達し、全国7つの食糧純移出省(区)の一つとなった。
小麦の大規模栽培を基盤に、いかにして質と効率を高めるか。この課題に対し、腰站子村は17年、「新疆豊驛農業発展」という企業組織を設立し、「畑から食卓まで」の完全な産業チェーンの構築に着手した。特色ある農産物の「深加工」(高い加工程度)を通じて、小麦の付加価値を高め、「腰站子シリーズ」の農産物の4大カテゴリー、40種類以上の商品に生まれ変わらせた。
製粉工場に入ると、濃厚な小麦の香りが漂ってくる。原料となる小麦自体の品質が優れているので、生産される小麦粉の品質も安定し、多くの消費者に愛されている。現在、小麦粉の1日当たりの加工量は36トンに達する。
グリーン産業チェーンが農民の収入増加の連鎖を生み出している。「昨年、私の家は土地賃貸収入として8万元(約179万4400円)を受け取り、それに給与を加えると年収は20万元(約448万6000円)を超えた」と高琦は語る。
天山のふもと、江布拉克景観区(Jiangbulake Scenic Area)に隣接する腰站子村は、四季折々の風景と豊かな農耕文化を有している。微風が広大な黄金色の小麦畑を吹き抜け、麦の穂波が潮のようになびく様子は、訪れる観光客を魅了してやまない。村の小道は緑の樹木に覆われ、家の前も裏も清潔で整然としている。生態環境の優位性を活かし、腰站子村は積極的に文化観光産業に取り組んでいる。
小麦粉の生地を薄く伸ばして皮を作り、包子(饅頭)のように丸く包み、口の部分にストローを差し込んで空気を吹き込むと、バスケットボールほどの大きさの「風船」が徐々に膨らんでいく、これは小麦博物館が観光客向けに見せている「生地風船」のパフォーマンスだ。博物館のスタッフは「当館の有機小麦粉は非常にコシが強いので、ここまで膨らませることができる」と説明する。
520平方メートルの館内では、実物、写真、ジオラマ、そして現代的な映像、音響、照明技術により、小麦が種から小麦粉へと変わる過程や手打ち麺の製造工程が展示されている。観光客は麦畑の風景を楽しむだけでなく、伝統的な農耕文化も体験できるようになっている。
特色ある民宿、ふれあい動物園、「案山子(かかし)がいる花海」など、それぞれ特色のある観光スポットは、数十戸の村民が自宅の空き部屋を改造・アップグレードし、観光客の受け入れを支援した。週末になると民宿は満室になる。今では村の3分の1以上の村民が農村観光で生計を立てている。今年の1月から7月までの間に、村は15万3900人もの観光客を受け入れたという。
一粒の小麦が民を豊かにし、村を強くする「大いなる事業」へと成長した。24年、腰站子村の総生産額は5億1千万元(約114億3930万円)、村の集団経済収入は504万元(約1億1305万円)に達した。腰站子村の発展の歩みは、まさに新疆農業が大きく強くなっていく過程の一つの縮図だと言える。
近年、新疆は「全国的な優良農牧産品の重要な供給基地」の構築という目標に焦点を合わせ、農村の全面的な振興を強力に推進し、現代農業産業システムの構築を加速させ、農業と農村の発展において顕著な成果を上げている。
小麦、トウモロコシで9項目の全国広面積単位あたり収穫記録を樹立した。全国初の100万ムー(約6万6700ヘクタール)規模のトウモロコシの「トン単位収穫量農地」を建設した。また、水産物生産量は陝西省(Shaanxi)、甘粛省(Gansu)、青海省(Qinghai)、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)、新疆ウイグル自治区の5つの北西省区で首位を堅持した。農村住民一人当たり可処分所得の伸び率は全国第2位となっている。(c)People’s Daily /AFPBB News