【1月23日 CNS】2026年の米国・世界最大級の先端技術の見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(International Consumer Electronics ShowCES)」で、中国のドローン製品「影翎 Antigravity A1」が「最優秀イノベーション賞」を受賞した。関係者は、国際的に権威ある賞で革新的な製品が評価されたことは、中国のドローン産業が、技術を総合的に磨き上げることと、多様な用途で実際に使える形へ落とし込むことを成長の軸に据えつつある表れだとみている。

Antigravity A1の特徴は、航撮(空撮)に360度の没入型視点を取り入れた点にある。利用者はゴーグルを装着することで、一人称視点でドローンの飛行状況をリアルタイムに確認でき、体感型コントローラーと組み合わせれば、従来のスティック操作や画面操作に縛られず、没入感のある操縦が可能になるという。

Antigravity A1は、近年の中国における民生用ドローン技術の複数の進歩を象徴する例ともいえる。作業範囲に直結する航続時間は、2015年の平均20分程度から、現在主流の40〜46分へと伸びた。測位は、従来の民生用GPSのメートル級精度に比べ、センチメートル級のリアルタイム測位が実用段階に入っている。通信面でも、主流機の最大伝送距離は20キロを超え、1080pのHD映像伝送に対応する。AIとの融合では、「飛ぶカメラ」から「空の知能ロボット」へと進化し、経路の自動計画、精密な障害物回避、複雑なタスクの実行能力を備えつつある。積載能力でも、無人輸送機「天馬-1000」が最近初飛行に成功し、最大積載1トン(一般的な乗用車1台分に相当)として、一度に大量の物資を運べるとされる。

こうした性能向上は、商業的な価値にも直結している。中国国家税務総局の統計によると、2025年10月のドローン製造・販売の売上高は前年同月比38.4%増となった。性能の底上げは、産業の境界や用途の広がり方も変えつつあり、とりわけ物流分野での変化が目立つ。

雲南省(Yunnan)怒江リス族自治州(Nujiang Lisu Autonomous Prefecture)では、ドローンによって松茸を山から運び出す時間が9時間から約20分へ短縮されたという。粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)では、順豊エクスプレス(SF Holding)の「豊翼」ドローンが1日平均2万件超を運び、深セン市(Shenzhen)郵政局の取り扱いも1日平均2万件に達しており、事業として成立しうることを示している。さらに、送電線の点検、農業の防除、緊急救援、測量・3Dモデリングなどでも、ドローン活用は日常的になっている。こうした状況は、ドローンが「趣味の機器」ではなく、効率を高め、サービスの空白を埋め、新しい価値を生む実用ツールとして定着しつつあることを物語っている。

中国のドローン産業は、米国やイスラエル、英国など軍事技術の強い国々に比べて出遅れたとされるが、この十数年で急成長し、民生用市場は大きく拡大した。空撮ドローン分野では、大疆創新科技(DJI)、零度智控(ZEROTECH)、億航(EHang)など複数企業が存在し、競争は寡占的な構図になっている。

中国では「低空経済」が国家の戦略的新興産業として位置づけられており、それを背景にドローン産業の変化は空域全体に広がっている。2026年を展望すると、中国の「第15次五か年計画」計画のスタート地点にあたることもあり、投資と政策支援の両面から、ドローンは「大規模な実装」と「難度の高い課題への取り組み」が同時進行する重要局面に入ると見込まれている。

一方で、外部環境は簡単ではない。米連邦通信委員会(FCC)は2025年12月、大疆創新科技や道通智能(Autel)など、海外ドローン企業を「規制対象リスト」に追加した。ロイター通信(Reuter)は最近、米商務省が中国ドローン企業の米国内販売に関する制限を見直す可能性があると報じたものの、全体として世界市場の競争は今後も激しさを増すとみられる。こうした中で、中国のドローン産業は、国際的なパートナーと基盤設備や運用ネットワーク、規制・標準づくりを進めながら、地域ごとの低空経済の枠組みに組み込まれていく可能性がある。(c)CNS/JCM/AFPBB News