かつての韓中対立の象徴、今は協力の記憶に…見えない空気を見せた「スモッグ・フリー・タワー」 [韓国記者コラム]
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【01月13日 KOREA WAVE】かつて韓国と中国の間の外交的火種ともなったPM2.5などの粒子状物質の問題が、現在では両国の協力成果として語られるまでに変化した。2026年1月、韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が中国・北京で習近平国家主席と会談し、中国が煙突産業中心の成長構造から先端産業へと移行したことで、微細粒子の状況が大きく改善された、と評価し合った。
過去には春になると、韓国では「中国発の黄砂・PM2.5によって空気が汚染されている」との声が強まり、科学的な原因究明を超えて政治・外交問題に発展。責任の所在を巡る論争が絶えず、市民の不安感も大きかった。
そうした時期の象徴的な存在が「スモッグ・フリー・タワー(Smog Free Tower)」だ。これはオランダ人デザイナー、ダーン・ローズガールデ氏が設計し、2016年に北京市内へ設置されたもので、高さ7メートルの屋外型空気清浄装置だ。アルミ製の航空機のような外観を持ち、静電気を利用して空中の微粒子を吸着する仕組みで、大気汚染の「可視化」と「共有の問題化」を目的とした。
この装置は、大気中の微粒子を実際に吸い込み清浄化するだけでなく、吸着した微粒子を高温処理し、立方メートルあたり1個の「宝石」に変えるという発想で、汚染の象徴を芸術作品へと昇華させる機能も持っていた。
スモッグ・フリー・タワーはその後、韓国にも設置された。2019年、京畿道安養市は市内の公園にこのタワーを導入。微細粒子対策技術の試行とともに、市民への問題提起の象徴的な装置として注目された。数値で空気質を示す代わりに、視覚的な構造物によって「空気の問題の存在」を体感させた点が評価された。
ただ、実際の大気改善にどれだけ貢献できるのかについては疑問の声もあった。中国では国際デザインフェスティバル終了後、約1カ月で撤去されており、制作側も「この装置は実用的な解決策というより、象徴的な装置」としての意義を強調していた。
その後、中国国内では石炭比率の低下、産業構造の転換、韓中環境協力の拡大などが重なり、PM2.5の濃度は目に見えて改善された。だが、スモッグ・フリー・タワーのような公共芸術的装置には依然として意味がある。
市民の生活においてPM2.5の体感頻度は減少したとはいえ、それが「完全に解決された問題」であるとは言い切れない。都市空間に残されたこうした構造物は、「気候遺産」として、過去の不安と現在の成果の両方を記録する役割を果たしている。
かつての対立が、今では環境協力の成果として語られる時代。安養に残されたこのタワーは、韓中関係の変遷を静かに物語っている。【news1 ファン・ドクヒョン気候環境専門記者】
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News