ゼロカーボンパーク、脱炭素化の「三部作」・中国
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【1月13日 People’s Daily】「ゼロカーボンパーク(園区)」とは、計画、設計、技術、管理などの手段を通じて、パーク内の生産と生活活動から発生する二酸化炭素排出量を「ほぼゼロ」の水準まで削減し、さらに今後「ネットゼロ」(排出量と吸収量を相殺するとゼロになる状態)を達成する諸条件を備えたパークを指す。
現在、中国は炭素排出量ピークアウト目標達成の重要な時期に入っているが、新エネルギーの有効な活用について周囲のインフラや管理体制が追い付かないなどの問題、高エネルギー消費型産業の大幅な脱炭素化が難しいといった課題に直面している。ゼロカーボンパークの建設は、中国の各地がグリーン転換を推進する重要な手段となっている。
■エネルギー消費削減:地域の実情に合わせたグリーン電力の利用、パークのエネルギー消費構造転換を加速
江蘇省(Jiangsu)塩城市(Yancheng)の「大豊港ゼロカーボン産業パーク」から3キロ離れたところで、13.76メガワットの集中式太陽光発電所が持続的にグリーン電力を生産している。
大豊港パークの責任者・呉慧露(Wu Huilu)氏は「グリーン電力はこの発電所を出発し、110キロボルトの錦城変電所まで送電された後、2つの経路に分かれる。1つは専用線を通じてゼロカーボンパークにとどき、直接企業に供給される。余剰のグリーン電力はもう1つの経路で大規模電力網(broader grid)に送られる。新エネルギー発電が不足する場合は、大規模電力網がパークの電力需要をバックアップすることもできる」と説明する。パーク内の企業の追跡可能なグリーン電力消費比率は、85%以上に達すると見込まれている。
内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)でも、地元のゼロカーボン産業パークはエネルギー消費構造の転換を加速している。「オルドス市蒙蘇経済開発区」のゼロカーボン産業パーク内には、既存の電力網から独立し新設された配電網と1基の220キロボルト変電所が、パークと直結している。また電源側には38万5000キロワットの風力・太陽光・蓄電プロジェクトが併設され、稼働後は年間9億キロワットアワーのグリーン電力をパークに直接供給することができる。
それでは、新たな配電網を構築した後、新エネルギーの変動性をどう平準化するか?
オルドスゼロカーボン産業パークにはもう一つ、目に見えない「網」、すなわち「スマートIoTによる電源と負荷の連携制御システム」がある。
「このシステムは、上流の発電設備に接続してミリ秒単位で発電量を高精度に予測できる。その一方で、企業に接続して工場の電力需要もリアルタイムで把握できる。電源、電力網、負荷、蓄電などの各段階のデータを連携させることで、分散的で変動する発電側の給電状況と需要側の柔軟な稼働状況を、より良くマッチングさせることが可能となる」、エンビジョン・エナジー・オルドス分社の王堯(Wang Yao)総経理はこのように説明する。
■構造調整:パークの産業構造の最適化、「グリーン競争力」の向上
塩城市聯鑫鋼鉄(Yancheng Lianxin Steel)の構内に入ると、容量70トンのアーク電気炉が改造を待っている。同社は、現在の自社生産能力の認可枠内の範囲内でその全体量を利用した「等量置換」により、アーク炉を1基100トン級のグリーン省エネ電気炉へと設備更新する計画である。
「大豊港ゼロカーボン産業パーク」では、鉄鋼、製紙などの業界の企業が伝統的なエネルギー多消費の企業である。
パークの責任者・呉氏の説明によれば、聯鑫鋼鉄の電気炉アップグレードプロジェクトだけでも、年間で6万キロワットアワーのグリーン電力を新たに受け入れて使うことが可能となり、それによって26万トン超の炭素排出量を削減することができるという。
同パークは「グリーン細胞」を構築するために、産業構造の最適化調整をさらに加速するとともに、低エネルギー消費、低汚染、高付加価値の新興産業の育成・配備も進めなければならないとしている。
「オルドスゼロカーボン産業パーク」では、太陽光発電、水素燃料電池およびグリーン水素設備製造などの産業チェーンが急速に発展している。近年、このパークは顕著な発展ポテンシャルを有し、将来の市場需要に合致する新興産業に焦点を当て、上流・下流の協調的な脱炭素化が進めている。パークが提供するグリーンエネルギーを利用して、企業は低炭素のトレンドに合致したグリーン製品を製造でき、「グリーンエネルギーがグリーン産業を呼び込み、グリーン産業がグリーンエネルギーの有効な消費を支える」という好循環を実現している。
■管理強化:人工知能技術の活用、管理のスマート化水準の向上
炭素排出総量、昼間の外部購入電力、重点企業のエネルギー消費など「大豊港ゼロカーボン産業パーク」の「カーボンバレー管理センター」のオフィスに入ると、エネルギー・カーボン知能管理プラットフォームの大画面に、パークの様々なエネルギー・カーボンデータがリアルタイムで表示されているのが目に入る。
パークの責任者・呉氏は「パークは2023年、運営管理を司る会社『江蘇碳智信運営管理』を設立し、エネルギー・カーボン智慧管理プラットフォームを構築した。このプラットフォームを通じて、パークはパーク内の企業の輸出先に応じて、現地化・カスタマイズされたカーボン管理サービスを提供する体制を整えた。これには炭素排出量の検証、グリーン電力・グリーン証明書の取得、カーボンオフセット(相殺)などのワンストップサービスが含まれる」と説明した。パークは将来さらに人工知能技術を使って、炭素排出量のリアルタイム予測と調整を検討し、パークの管理のスマート化のレベルを向上させる予定だ。
「オルドスゼロカーボン産業パーク」は前処理、生物処理、深度処理、膜処理など一連の工程を通じて、汚水のほぼゼロ排出を実現し、汚水の95%を再利用できるようになり、年間約3400万立方メートルの淡水資源を節約している。
エネルギー源の清浄(クリーン)化、産業のグリーン化、管理のスマート化、施設の低炭素化など、ゼロカーボンパークの建設はシステム・エンジニアリングであり、体系的な計画と統合的な推進が必要である。
「ゼロカーボンパークの建設は、炭素排出削減に直接貢献するだけでなく、より重要なことは、パークというレベルでの『ゼロカーボン細胞』の実践を通じて『ゼロカーボン社会』の構築に向けた経験の蓄積、道筋の模索、モデルの構築に役立つことである」、国家発展改革委員会の関係者はパークの価値をこう評価している。(c)People’s Daily /AFPBB News