韓国政府、北朝鮮メディアの一般公開を本格化…「国民の知る権利を」
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【12月30日 KOREA WAVE】韓国政府が、これまで制限してきた北朝鮮の公式メディアへの一般公開に本格的に乗り出す見通しとなった。イ・ジェミョン(李在明)大統領が「変化した時代状況に見合った政策の転換」を強く求めたことを受けたものだ。
北朝鮮研究者らが長年求めてきたこの措置に、学界からは「国民の知る権利の拡大」という期待の声が上がる一方、保守系や一部の国民からは「時期尚早」とする慎重論も聞かれる。
12月19日の統一省による業務報告で、イ・ジェミョン大統領は「なぜ国民に労働新聞を読ませないのか。国民が扇動されて共産主義者になるとでも思っているのか」と発言。さらに「国民を主体的な存在と見なすべきだ。北朝鮮の資料は開放し、誰でもアクセスできるようにすべきだ」と述べ、事実上、全面開放の方針を明言した。
現在、韓国では国家保安法に基づき、「労働新聞」や「朝鮮中央通信」など約60の北朝鮮系サイトへのアクセスが遮断されている。北朝鮮体制の宣伝に利用されるとされるこれらは、いわゆる「利敵表現物」に分類されている。
しかし、学術界や言論界ではすでに長年にわたり、「北朝鮮メディアの閲覧=体制支持という考えは時代遅れ」との声が根強くあった。
現在も国立中央図書館や国会図書館などでは、身分確認と研究目的の提示により、限定的に北朝鮮資料の閲覧が可能となっている。しかし、一般人によるインターネット接続は禁止されている。
ただ、現実的にはVPNなどを用いれば遮断を回避できる状況にあり、当局も単なる閲覧だけでは国家保安法を適用しないのが実情だ。
統一省は「2026年の重点推進課題」の一つとして、「北朝鮮資料の国民向け公開拡大」を掲げており、今回の方針はその一環とされる。今後は国会とも協議し、インターネット上での自由な閲覧の実現に向けて具体的な制度設計を進める考えだ。
12月12日には、共に民主党のハン・ミンス議員が情報通信網法改正案を代表発議した。北朝鮮関連サイトへのアクセスと閲覧を可能にする内容で、国民の表現と知る権利の保障を主張している。
これまではアクセス、閲覧、流通のすべてが禁止されていたが、改正により個人が自宅からでも北朝鮮メディアを閲覧可能になることを目指している。
イ・ジェミョン大統領の発言に対し、保守系からは「国家安全保障に対する脅威」との批判も出ているが、実はこうした政策は保守政権下でも議論が進んでいた。
ユン・ソンニョル(尹錫悦)前政権も国政課題として、南北間のメディア・出版・放送の段階的開放を掲げ、労働新聞の試験的公開を検討していた。
北朝鮮研究の第一人者であるキム・ヨンヒ東国大学研究員は「北朝鮮メディアは内部政策や対外戦略を読み解くための重要な一次資料」として開放に大きな期待を示す。一方、西江大学のチョン・イルヨン研究教授は「学術界やメディアにとっては利便性が向上するが、一般国民の間では心理的抵抗感もあるだろう。まずは専門家中心に段階的な開放が望ましい」と指摘している。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News