ソウル市城東区にあるナノフォージAI(c)news1
ソウル市城東区にあるナノフォージAI(c)news1

【12月28日 KOREA WAVE】人工知能(AI)とロボットを活用し、電池用正極材などの新素材を探索する「自律実験室」の取り組みが韓国国内でも始まっている。技術が成熟すれば24時間体制での素材探索も可能になるが、現時点では投資対効果(ROI)が十分ではないとの見方が支配的だ。韓国政府が長期的視点で分析装置などの公共インフラ整備、データの標準化と開放、ロボット・AI・化学分野の学際的交流を支援すべきだとの声が上がっている。

ナノフォージAI(ソウル市城東区)を12月24日訪問した科学技術情報通信省のク・ヒョクチェ第1次官との現場懇談会で、こうした課題が共有された。ナノフォージAIはAI基盤の素材探索に特化した企業で、「無機素材自動化実験室」を運営している。AIが素材設計や物性を予測すると、ロボットが原料計量から合成、工程最適化まで研究開発の全工程を人の介入なしで自動実行する仕組みだ。

同社はロボット基盤の自動合成システムとAIを組み合わせ、年間約3万件の新素材を探索している。特に電池用正極材の合成に関する問い合わせが多い。現在主流のリン酸鉄リチウム(LFP)正極材に続く次世代素材を求める企業需要が高まっているためだ。限られた人員の中で素材探索向けオープンソースモデルを改良し、試料分析を自動化するロボットアーム設備も整備している。AIモデルで合成された試料の安定性などの物性を、シミュレーションで測定する試みも進めている。

一方で、合成後の物質を最終分析するインフラへのアクセスが大きな課題となっている。X線回折(XRD)などの非破壊分析装置が必要だが、中小企業には費用負担が重く、迅速な導入も難しい。近隣大学の設備を借りることは可能でも、予約などの手続きが煩雑だという。現在の産業エコシステムでは、真の意味での完全自動化は難しく、資本力のある大企業でさえROIに懐疑的との指摘がある。

サムスン総合技術院マスターのチェ・ユンソン氏は「AIの進展で物理空間の自動化と効率化が進む以上、自律実験室は最終的な解決策にならざるを得ない。しかし企業としては投入資源に見合う成果を考えざるを得ない」と述べ、「自律実験室の中核となるAI基盤モデルやデータプラットフォームは、個別企業が単独で確保するには負担が大きい。政府が初期費用と技術的障壁を下げる必要がある」と訴えた。

また、韓国科学技術院(KAIST)のウ・ソンイル名誉教授は、政府主導の素材開発AI研究センターが代案になり得ると指摘した。公共インフラを通じ、分散している素材データを一カ所で分析できれば、施設整備などの初期費用を抑えられるという。こうした分析基盤は、国内研究者や政府出捐研究機関が進める国家研究課題の原始データを共有する「オープンラボ」構想に近い。洪益大学のファン・ジンハ教授は、実現にはデータ標準化と、データ提供に対する十分な補償策が不可欠だと指摘した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News