【12月28日 AFP】ミャンマーで28日、総選挙が始まった。5年前の選挙で選出された政府をクーデターで追放した軍事政権は、この選挙で民主主義への復帰を前面に押し出している。

国軍は2021年2月のクーデターで、アウンサンスーチー氏が実質的に率いていた文民政府を排除して非常事態を宣言。それにより各地で内戦が勃発し、数千人が死亡した。

スーチー氏は依然として投獄されており、党首を務めた国民民主連盟(NLD)は、2023年に解党処分を命じられた。

活動家は西側諸国の外交官、国連の人権責任者は、軍の影響下にある勢力が有利となるよう仕組まれ、反対意見の厳しい弾圧を理由に、段階的に行われる1か月間の選挙を非難している。

選挙では、親軍派の連邦団結発展党(USDP)が最大の党として浮上することが広く予想されており、批判的な立場からは「軍事支配の再ブランド化」との見方も出ている。

人口約5000万人のミャンマーは内戦に引き裂かれており、反政府勢力が支配する地域では投票が行われない。

NLDは、2020年の選挙で親軍派の対立候補を圧倒したが、ミンアウンフライン国軍総司令官は広範な選挙不正を主張した2021年のクーデターで権力を奪った。

スーチー氏は現在、汚職から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)規制違反に至るまでの罪で27年の刑に服しているが、人権団体はこれらの告発を政治的動機によるものと一蹴している。

今回の選挙では、NLDを含む多くの政党が排除されている。アジア自由選挙ネットワークによると、排除された組織や団体は、前回の選挙で議席の約90%を獲得していたとされる。

今回の選挙で使用される電子投票機では、候補の名前を手書きすることや無効票は認められない。

選挙について、国連人権高等弁務官ボルカー・ターク氏は「選挙は明らかに暴力と弾圧の環境の中で行われている」と指摘した。

2回目の投票は2週間後、3回目は1月25日に行われる。(c)AFP