トランプ氏のクリスマス・ゴスペル:空爆、祝福 罵倒
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【12月27日 AFP】ドナルド・トランプ米政権下のクリスマスは、国外に空爆、国内には政治的脅威をもたらした。側近たちはキリスト教の信仰に積極的に取り組んだにもかかわらず、トランプ氏はクリスマスを、平和よりも不満に根ざした権力のビジョンを体現するために利用した。
トランプ氏は23日と24日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、楽しげなクリスマスムードを捨て去った内容を大量に投稿。すべての人々に善意を送るどころか、ナイジェリアのイスラム過激派に対する軍事行動を発表し、政敵を罵倒した。
トランプ大統領は26日、前日に実施した空爆でナイジェリア北部のイスラム過激派拠点を「壊滅」させたと述べ、この空爆をサプライズの「クリスマスプレゼント」と表現した。
トランプ氏はニュースサイト、ポリティコのインタビューで、イスラム過激派の不意を突き、すべての拠点を空爆するために25日まで延期させたと説明した。
トランプ氏は、この空爆はナイジェリアにおける「キリスト教徒虐殺」への報復だと述べた。
それから矛先を政敵に転じ、民主党員を「極左のくず」と罵倒した。
トランプ氏は25日、民主党員に向けて「最後になるかもしれないメリークリスマスを楽しむといい」と述べた。この不可解な警告は、少女らへの性的人身取引の罪で起訴され勾留中に自殺した富豪ジェフリー・エプスタイン元被告に関連するファイルがすべて公開されれば、民主党員の関与が露見すると考えていることを示唆している。
対照的に、ホワイトハウスは25日、トランプ氏と妻のメラニア大統領夫人の署名入りで、聖書からの引用文を多用した伝統的なメッセージを発表した。
このメッセージは、神に7回祈り、「私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの降誕」を祝い、「神の変わらぬ愛、神の慈悲、そして永遠の平和」を祈るものだった。
トランプ氏は長年、「メリークリスマス」を公の場に復活させたのは自身の功績だと主張し、バラク・オバマ元大統領がより多様な宗教を包摂すると見なされるあいさつ「ハッピーホリデー」を推進したと非難してきた。だが実際には、オバマ氏は「メリークリスマス」と頻繁に口にしていた。
トランプ氏は今年、正式なクリスマス礼拝に一度も出席しなかった。公式スケジュールによると、教会には行かずにフロリダ州の私邸「マールアラーゴ」でクリスマスを過ごした。
トランプ政権全体として、クリスマスのメッセージはキリスト教色を強く帯びていた。
国土安全保障省は米国民に「キリスト降誕の奇跡を忘れない」よう呼び掛け、マルコ・ルビオ国務長官はキリスト降誕の場面を投稿し、「キリストを通して永遠の命を得る希望」について語った。
国防総省も12月17日、史上初のクリスマスミサを開催した。
「神の下の一つの国」を自称する米国の政治において、宗教的な発言は目新しいものではないが、合衆国憲法修正第1条は国教の樹立を禁止している。(c)AFP