イスラエル、ソマリランドを国家承認 周辺国は批判
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【12月27日 AFP】イスラエルは26日、アフリカ東部ソマリランドを「独立した主権国家」として正式に承認し、外交関係樹立協定に署名した。ソマリランドの国家承認は初めて。
ソマリランドは1991年にソマリアから一方的に独立を宣言したが、国際的には国家として承認されておらず、数十年にわたり国際的な承認を求めてきた。国際的な国家承認は、昨年就任したアブディラフマン・モハメド・アブドゥラヒ大統領の最重要課題でもある。
イスラエル首相府によると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「ソマリランド共和国を独立した主権国家として正式に承認する」と発表した。
イスラエル首相府はさらに、ドナルド・トランプ米大統領が第1次政権時代にイスラエルとアラブの関係正常化を仲介した「アブラハム合意」に言及し、ソマリランドの国家承認は「アブラハム合意の精神に基づくものだ」と述べた。
ネタニヤフ氏はアブドゥラヒ氏のイスラエル訪問を招請したという。
アブドゥラヒ氏はイスラエルによる国家承認を歓迎し、「戦略的パートナーシップ」の始まりだと述べた。
X(旧ツイッター)への投稿で、「これは歴史的な瞬間だ。イスラエルの承認を心から歓迎し、ソマリランドがアブラハム合意に参加する用意があることを確認する」と述べた。
これに対しソマリアの緊密な同盟国であるトルコは、「イスラエルのこの行動は、同国の拡張主義政策と合致しており、ソマリアへの明白な内政干渉に当たる」と批判した。
エジプト外務省も、外相がトルコ、ソマリア、ジブチの外相と会談し、全員がこの行動を非難するとともに、「ソマリアの統一、主権、領土保全への全面的な支持」を強調したと発表した。
エジプト外務省の声明によると、4か国の外相は、「ソマリアの主権を危うくし、同国の安定の基盤を損なうようないかなる一方的行動」、および「ソマリア国家の統一と矛盾する並行体制を押し付けようとするいかなる試み」も拒否した。
アナリストらは、イスラエルがソマリランドを国家承認した背景には戦略的な問題があると指摘している。
イスラエルの独立系シンクタンク「国家安全保障研究所」は先月発表した論文の中で、「イスラエルは、イエメンのる親イラン武装組織フーシ派に対する将来の軍事作戦の可能性など、多くの戦略的理由から紅海地域に同盟国を必要としている」と指摘。
紅海を挟んでイエメンの対岸に位置するソマリランドは対フーシ派軍事作戦の前線基地として「理想的な候補地」だと付け加えた。経済的な動機もあるという。
フーシ派は、2023年10月にパレスチナ自治区ガザ地区での紛争が勃発(ぼっぱつ)した後、パレスチナ人への連帯と称してイスラエルを攻撃。イスラエルはこれに反撃し、イエメンの標的を繰り返し攻撃している。(c)AFP