【1月8日 東方新報】スーパー各社が再び「店内飲食」に力を入れ始めている。近ごろ、盒馬鮮生(Hema Xiansheng)や永輝超市(Yonghui Superstores)の一部店舗で火鍋の店内飲食サービスが導入され、「胖東来(Pandonglai)なども同様のモデルを展開しつつある。生鮮の強い調達・供給網を持つスーパーが、肉や海鮮、野菜、練り物など火鍋食材を幅広く提供するのは、ECやコミュニティ型生鮮販売の伸長を受け、従来型スーパーが進める転換の一環でもある。

店内飲食の取り組み自体は以前からあったが、大きな潮流にはなりきらなかった。ただ、今回は「体験」を軸に、業態の融合によって消費者と接点を作り直そうとする動きが強い。SNSでも「スーパーで火鍋」という体験が「新しい」「面白い」「安心できる」「片づけ不要で便利」といった言葉で語られ、気分や体験を重視する消費の空気が見える。

北京市の記者がSNSで確認したところ、盒馬は全国各地の店舗で火鍋セットを提供しており、価格は主に78〜88元(約1733〜1955円)。永輝超市も一部地域でセルフ式火鍋を導入し、食材は皿単位で3元(約66円)、10元(約222円)、15元(約333円)などの価格帯で販売している。胖東来も一部店舗でミニ火鍋のセルフ形式を始めた。永輝超市によると、セルフ式ミニ火鍋は店舗の条件が厳しく、現時点では福州の複数店舗に限って提供しており、北京の店舗にはまだ導入していない。一方で北京地区の永輝では、惣菜やベーカリー、点心、店内で茹でる包子や餃子・ワンタン、つみれ、店内で焼くステーキ、蒸して提供する海鮮、軽食など即食商品のために、飲食スペースや使い捨て食器、無料のお茶を用意しているという。

店内飲食は「集客の入口」として機能しやすい。昨年は物美(WU MART)、永輝、大潤発(RT-Mart)などが平日の昼夕食需要に向けて「社員食堂型ビュッフェ」を打ち出し、会社員や近隣住民の注目を集めた。手ごろな食事で来店を促し、その流れで日用品の購買につなげる狙いがある。盒馬が注目された要因の一つも海鮮の「その場で調理」で、単なる購入を「選ぶ—調理—食べる」という体験へ引き上げ、付加価値を高めてきた。

火鍋も同様に、単体の利益は大きくなくても、店内回遊や「ついで買い」を促す効果が見込まれる。飲食と物販が連動し、売上全体を押し上げる可能性があるという。浙江(Zhejiang)城市学院の林先平(Lin Xianping)副教授は、消費者の側で「コスパと体験」を同時に求める傾向が強まり、スーパーはデジタル化によってサプライチェーンの反応速度を高め、食材の回転や配送の柔軟性を上げられるようになった点が重要だと指摘する。買い物空間を「生活の解決策を提供する場」へと転換し、新しい消費心理を捉える動きだという。

もっとも、課題もある。林氏は、飲食の強化を進めるスーパーはまず試験導入を優先し、客数の多い店舗で小規模にテストし、火鍋のような単一カテゴリーでモデルを磨くべきだとする。飲食事業には専門チームも欠かせず、小売の発想をそのまま当てはめるだけでは運営が難しい。また、火鍋のにおいが売り場に広がらないか、ピーク時の混雑や騒音が買い物体験に影響しないかなど、動線設計と空間管理の巧拙も成否を左右する。スーパー各社が長期的に向き合うべきテーマになりそうだ。(c)東方新報/AFPBB News