【1月15日 CNS】近ごろ、中国の武侠ゲーム『燕雲十六声』(英語名:Where Winds Meet)が世界配信され、各国のプレイヤーの間で大きな話題となっている。海外版は配信初月で世界のプレイヤー数が1500万人を突破したという。先日リリースされたモバイル版も反響を呼び、正式配信後に60の国・地域で米アップル(Apple)のアップストア(App Store)の無料ゲーム総合ランキング1位を獲得した。欧米、日本・韓国、東南アジア、中東など主要地域で広くプレイされている。

一方、海外配信前には世界的ゲームメディアIGNが国際版に6点を付け、「多くの要素を詰め込みすぎた結果、それぞれが十分に生きていない」と評していた。しかし正式配信後、人気ゲームプラットフォーム「Steam」では7万人以上が評価を付け、好評率は89%に達している。

配信者やクリエイターも、ライブ配信やSNSでプレイ感想を次々に発信している。フォロワー700万人を超える米国の人気ゲーム配信者アスモンゴールド(Asmongold)さんは「少なくとも8〜9点の価値がある」と述べ、「自分で遊んで判断してほしい」と呼びかけた。こうした発言はコミュニティで素早く拡散し、コメント欄にはゲームを支持する声も多く寄せられた。

注目すべきは、本作がオープンワールドのアクションRPGでありながら、海外で馴染みのある中国神話やファンタジーではなく、中国史の「五代十国」時代を舞台にしている点だ。ゲーム内では、点穴で相手を動けなくしたり、太極拳を修練したり、離れた場所の物を引き寄せたりできるなど、遊びの要素が高密度に盛り込まれている。こうした体験を通じて、中国的な「武侠」や「江湖」の世界観を具体的に味わえる設計になっている。中国の時代劇でよく見る「見せしめとして街を引き回す」「卵を投げつけて鬱憤を晴らす」といった場面も、海外プレイヤーにとってはほとんど見たことのない「新鮮さ」として受け止められている。

「レディット(Reddit)」など海外のオンラインコミュニティでは、「次の瞬間に何が起きるかわからない」「最初は戸惑うが、次第にゲームの筋が見えてくる」といった声が上がった。また、中国のプレイヤーがユーチューブ(YouTube)などで丁寧に制作した解説動画を公開し、作品の背景にある歴史的逸話や文化的記号を分かりやすく紹介しており、海外プレイヤーから感謝のコメントも多い。

報道によると、本作の海外版では「武侠」や「江湖」を翻訳せず、「Wuxia」「Jianghu」としてそのまま用いているという。配信責任者は、『燕雲十六声』の最大の魅力は伝統文化と武侠文化に根差した独自性にあり、それを弱めることはないとしている。

これに先立ち、アップルのCEティム・クック(Tim Cook)氏が中国のゲーム会社「網易(NetEase)」を訪問した際、アイパッド(iPad)で動作する『燕雲十六声』のハードウェア・レイトレーシングを体験した。水面反射の描写を見たクック氏は、実機での光線追跡表現を高く評価したという。

プレイヤーの反応の中には、制作技術や映像表現の再現度を評価する声も多い。「Digital Museum(デジタル博物館)」という言葉は、本作を評する際によく使われる表現になった。歴史の風景をリアルに再現するため、開発チームは中国各地で現地調査と考証を重ね、『清明上河図』『韓熙載夜宴図』などの絵画も参照して市井の暮らしを再現し、インタラクティブに体験できる「中国文化の博物館」のような世界を作り上げたという。

「2025年中国ゲーム産業報告」によれば、2025年の中国産自社開発ゲームの海外市場における実売上高は204億5500万ドル(約3兆1883億円)となり、前年比10.23%増だった。近年の海外市場での動きを見ると、『燕雲十六声』のヒットは特別な例ではない。上海米哈遊網絡科技(miHoYo)の『原神(Genshin Impact)』や、ゲームサイエンス(Game Science)の『黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)』など、国際的なプレイヤーコミュニティで注目を集める中国ゲームは増えている。題材はそれぞれ異なるが、中国の伝統文化、歴史的想像力、古典文学などを重要な素材としている点は共通している。

報道によると、2025年の中国ゲーム産業年会では、複数企業の実例から、中国ゲームが海外市場で評価を得る鍵は、無形文化遺産の要素や東洋的な美意識といった文化資源を、ゲームIPの感情的な核と競争力へと体系的に落とし込み、世界に通用する「文化的シンボル」へ磨き上げることにあると示された。分析では、近年海外で注目される中国ゲームは、遊びの仕組みやビジネスモデルだけで勝負するのではなく、完成度の高い世界観と文化的な文脈を携えて市場に入っている傾向があるという。中国ゲームの海外展開は題材の多様化が進んでおり、今後こうした作品が海外市場で長期的にどのような評価を得るかは、時間をかけて見極める必要がある。(c)CNS/JCM/AFPBB News