【1月12日  People’s Daily】「チベット自治区(Tibet Autonomous Region)山南市(Shannan)曲松県加娃村の峠道沿いにある太陽光発電・蓄電ステーションでは、幾列にも並んだ白い蓄電装置が、時折低い唸り音を発している。中国華能集団・雅江新能源分公司の崔光沢(Cui Guangze)総経理は「これは太陽光発電との組み合わせで建設したエネルギー貯蔵施設だ。発電所が日中に発電した電力を一時的にここに『貯蔵』し、夜間の電力需要が高まる時に払い出し、電力の浪費を防いでいる」と説明する。

電力需要のピーク時に放電し、需要が少ない谷間に蓄電する。このような「ポータブル充電器」のようなエネルギー貯蔵システムの適用範囲は、拡大を続けている。

国家エネルギー局がこのほど発表した「中国新型エネルギー貯蔵発展報告(2025)」によると、2024年末の時点で、全国で運転を開始した新型エネルギー貯蔵設備は7376万キロワット/1億6800万キロワットアワーに達し、その設備容量は世界の総設備容量の40%を超え、中国の新型エネルギー貯蔵規模は世界一となった。

エネルギー貯蔵設備を建設し、「グリーン電力」を貯蔵することは、中国が再生可能エネルギーを強力に発展させ、新型電力システムの構築に力を注ぐ大きな流れの中での積極的な選択である。

自然から得る風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、供給が不安定なところが弱点だが、このような蓄電設備は、あたかも「モバイルバッテリー」や「調整ステーション」を持つようなもので、太陽が照りつけ風力発電がフル稼働する時に使い切れないグリーン電力を「貯蔵」し、風もなく日も照らない時や電力需要のピーク時に、タイミング良く「放電」して電力不足を補い、家々の明かりを消さず、工場の機械を止めずに稼働させ続けることができる。

データによると、24年末時点で、全国の新型エネルギー貯蔵設備容量は、前述の通り7376万キロワットに達し、世界の総設備容量の40%以上を占めたが、この年平均成長率は130%を超え、「第14次五か年計画」開始以来、その規模は20倍に拡大した。

また、2025年6月末時点で、全国の新型エネルギー貯蔵設備規模は9491万キロワット/2億2200万キロワットアワーに達し、24年末と比べて約29%増加した。

「現在、新型エネルギー貯蔵の応用効果が徐々に現れており、24年通年の新型エネルギー貯蔵の活用状況は23年と比べて大幅に向上した。浙江省(Zhejiang)、江蘇省(Jiangsu)、重慶市(Chongqing)、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)など多くの省・自治区・直轄市では、年平均等価利用時間(システム出力電力量を定格出力で除した数値)が1000時間以上に達し、新エネルギーの開発と収納の促進の重要な手段となっている」、国家エネルギー局エネルギー節約・科学技術装備司の辺広琦(Bian Guangqi)副司長はこう説明する。

25年の夏に入って以来、全国の最大電力負荷は記録を塗り替え続け、16の省級電力網の過去最高記録を36回も更新した。国家電力分配制御センターが実施した新型エネルギー貯蔵の「夏季集中運用試験」は、新型エネルギー貯蔵のピーク時供給能力の有効性を検証し、その能力を発揮させた。

7月末時点で、国家電網の営業区域内にある新型エネルギー貯蔵の調整可能最大電力は64.23ギガワットに達し、リアルタイム最大放電電力は44.53ギガワットで、前年同期のピーク値と比べて55.7%増加した。

試験期間中、新型エネルギー貯蔵が示したピーク供給能力は、三峡水力発電所の約3基分に相当し、夏季の夕刻のピーク時間帯における平均ピーク供給時間は約2.4時間に達し、電力需要ピーク時の供給を力強く支えた。

安徽省(Anhui)宿州市(Suzhou)では、全国最大の「石炭火力発電・溶融塩蓄熱システム」のエネルギー貯蔵プロジェクトが、このほど168時間の試運転を完了し、正式に稼働を開始した。これは中国初のギガワットアワー級の石炭火力発電と溶融塩蓄熱の熱交換システム及び制御システムである。

国家能源集団・安徽公司宿州発電所の責任者は「溶融塩蓄熱技術の導入は、従来の熱電併給ユニットに『蓄熱器』を外付けしたようなものだ。ユニットの負荷が小さい時に蒸気の力で溶融塩を加熱し、その熱を『蓄熱器』に貯蔵し、必要な時にそれを発電の熱源に使用する。オフピーク時に蓄熱し、ピーク時に供熱することで、ユニットの供給調整の柔軟性を高め、石炭火力発電ユニットにおける供熱と発電を両立させる難題を解決した」と説明する。

現在、中国のエネルギー貯蔵業界では技術イノベーションが次々に進み、多様な技術ルートが迅速に導入されている。辺副司長の話によると、昨年、国家能源局から十数種類の技術ルートを網羅する56の「新型エネルギー貯蔵実証プロジェクト」が発表され、新型エネルギー貯蔵のキーテクノロジーと設備のブレークスルーが強力に進んだ。

「中国南方電網」の饒宏(Rao Hong)チーフサイエンティストは「現在、中国の新型エネルギー貯蔵の技術革新は、単一のブレークスルーから体系の構築へと進化している。例えば、リチウム電池の主流技術は世代的躍進を実現し、電池本体、熱管理、系統連系技術などで急速な進化を遂げている。また圧縮空気エネルギー貯蔵、レドックスフロー(電解液循環)電池、フライホイール蓄電などは工学的なブレークスルーを実現し、高比率の新エネルギー電力システムが必要とする長時間調整能力などの技術基盤を築いている。半固体電池、全固体電池、水素エネルギー貯蔵技術など、一連の先端的で革命的な技術が加速的に発展し、将来の新型電力システムが求める「多時間スケール調整(瞬時の調整から日々のピーク/オフピーク時調整、さらに季節間での長期的調整まで含むマルチ調整)」、高い安全性能を備えた貯蔵、極限環境への適応性などのニーズに応えようとしている」と具体例をあげて詳細に説明した。(c)People’s Daily /AFPBB News