中国・大湾区大学、その「新しさ」はどこにあるのか
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【1月11日 People’s Daily】中国教育部は広東省(Guangdong)に対し、2025年6月19日に「大湾区大学(Great Bay University)」の設立を正式承認した。
「粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)」という広州(Guangzhou)湾岸地域を指す耳慣れた言葉は、当初は単なる地理的な概念だったが、次第に経済繁栄、科学技術先進性、イノベーション活性化などを統合した発展の代名詞となった。今やその影響力は教育分野にも波及し、一つの大学の名称となった。この大学は「新型の研究型大学」と言われているが、その「新しさ」はどこにあるのだろうか?
まず立地を見てみよう。深セン市(Shenzhen)から北へ車で数十分、東莞市(Dongguan)松山湖に到着する。ここにある「高新技術産業開発区」が、大湾区の「最強の頭脳」が集結する場所だ。
中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ、Huawei)、中国初の「核破砕中性子源」施設、「松山湖材料実験室」など先端的な施設が集結し、嫦娥5号(Chang'e-5)が持ち帰った月の土壌サンプルも、ここに運ばれて研究されている。
中国科学院院士で大湾区大学の創設責任者・田剛(Tian Gang)氏は「松山湖にキャンパスを置くことで、近隣の実験室、大型科学施設、先端技術企業との連携がより便利になる。ここは交通の便も良く、北は広州に、南は深圳につながっている」と説明する。
大学は二つのキャンパスを計画しており、現在松山湖キャンパスはすでに使用を開始し、濱海湾キャンパスは建設中である。
大学の位置づけから見ると、この大学は理工系の分野に特化した、少数精鋭の新型の研究型大学である。大学は第一期の段階で、数学・応用数学、物理学、材料科学・工学、コンピュータ科学・技術、工業工学などの専攻科を設置した。7月19日、大学は第一期生の学部入学選抜を完了し、広東省の物理系の受験生から募集定員上限の80名の入学を許可した。
小数精鋭の学生募集規模に比べ、教員陣は充実している。約300名の教職員のうち、70%が海外のトップ大学や研究機関で研究歴を有し、その中には10名の「院士(科学技術系の最高学術称号)」と78名の国家級リーダー人材が含まれている。
同大学物質科学学院の趙金(Zhao Jinkui)執行院長は「私たちは学部生が異なる指導教員を選び、実験室で実習することを奨励しており、授業内容も国家のニーズ、社会のニーズ、産業のニーズ、そして世界の最先端技術に対応させる」と説明する。
広東省は、「大学+大学」「大学+研究機関」「大学+業界先端企業」などの連携で、大湾区の発展のニーズと産業空間の配置に適合させるため、高い次元での総合調整を行い、大学の配置を最適化することで、大湾区の特色を備えた世界一流の大学クラスターの形成を加速している。
大湾区大学、南方科技大学(Southern University of Science and Technology)、深セン理工大学(Shenzhen University of Advanced Technology)などの新型研究型大学は、発展の位置づけを明確にし、教育モデルを革新し、新興学問分野や学際分野の研究体制の構築を推進して、卓越したイノベーション人材を積極的に育成している。
また、北京師範大学・香港浸会大学(Beijing Normal-Hong Kong Baptist University)、香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)・深セン校、香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology)・広州校、香港城市大学(City University of Hong Kong)・東莞校などの協力大学は、多元的な連携、持続可能で内実を重視した発展の教育モデルを模索し、教育の高いレベルの対外開放を推進している。
さらに、深セン職業技術大学(Shenzhen Polytechnic University)、広東軽工職業技術大学(Guangdong Industry Polytechnic University)などの職業教育系本科大学は、職業教育が短期大学(専科)で止まるという「天井」を打ち破り、大湾区の経済構造転換と高度化のため、確かな理論的知識と実践的スキルを備えた高度技能人材を、より多く育成している。
広東省教育庁の林如鵬(Lin Rupeng)庁長は「高等教育において『一流を目指す、弱点を補強する、特色を強化する』という向上計画を実施し、大学の内実ある発展を支援している」と話す。
広東省では毎年、「双一流(世界一流大学・一流学科)建設」に指定された大学を対象に、専用の補助金を計上し、人材導入、科学研究プロジェクトの採択、科学研究プラットフォームの構築、学科・専攻の設置などの面で対象大学を支援し、大学により多くの運営自主権を与えている。(c)People’s Daily /AFPBB News