【1月7日 東方新報】中国医学では「治未病(未病を治す)」、すなわち病気の発生や進行を防ぐために、適切な措置を講じることが重視される。中国の主要コーヒー産地である雲南省(Yunnan)では、裁判所がコーヒー産業の将来性に着目し、「前段階をつかみ、未然に防ぐ」取り組みとして、対立や紛争の予防・解決を強化し、「雲南コーヒー」産業の質の向上と効率化を後押ししている。

雲南のコーヒー栽培面積は126万ムー(約840平方キロ)を超え、年間生産量は中国全体の98%以上を占める。近年、国内外の消費者の間で雲南産コーヒー豆の需要が旺盛となり、地元のコーヒー産業は急成長期に入った。それに伴い、関連する対立や紛争、訴訟も増加傾向にある。

普洱市(Pu’er)孟連県では、コーヒー栽培の歴史が30年以上あり、昨年はコーヒー価格が上昇したことをきっかけに、100戸を超えるコーヒー農家と請負業者との間で土地をめぐる紛争が発生した。担当裁判官は、単に「判決を出して終わり」とするのではなかった。

「土地紛争は、現在コーヒー関連で最も多い紛争の一つだ。最初の一件を適切に処理できれば、判例としての示範効果が生まれる」。孟連県人民法院勐馬法廷の庭長(法廷長)である張琳(Zhang Lin)氏は取材に対しこう語った。法廷の職員らはノートを持って村々を歩き、各世帯の実情を記録したという。100戸余りの土地貸主の異なるニーズに応じて対策を分類し、それぞれに合わせた調停案を作成したことで、目の前の紛争を解決しただけでなく、コーヒー農家と企業が発展の成果を共有する長期的な協力関係の構築にもつながった。

この事例は地元のモデルとなり、複数のコーヒー関連の土地紛争が、同様の方法で迅速に解決されている。

孟連県は国境に位置する少数民族地域で、住民の法意識が十分ではない。「以前は、コーヒーの生産や取引の多くが口約束だけで行われ、いったん紛争が起きると証拠を集めるのが難しかった」と張琳氏は言う。コーヒー農家や企業に対し、労務、契約、知的財産権などの法律知識を普及させることは、紛争の予防と解決における最重要課題だという。

「以前、コーヒー買い取り業者との取引はすべて口約束で、さまざまな理由をつけて何度も受け取りを拒否されたが、どうすることもできなかった」。孟連県新寨二組のラフ族コーヒー農家、扎珠氏はこう話す。裁判所の職員が村に入り、契約の重要性を説明し、契約書の作成まで指導してくれたことで、取引トラブルが大幅に減ったという。

近年、雲南では「コーヒー+」による農業・文化・観光の融合発展を進めている。新寨二組から約200キロ離れた普洱市思茅区には、愛伲精品咖啡庄園、小凹子咖啡庄園、故山・野鴨塘河谷咖啡庄園、Bean Great北帰庄園、大開河梅子咖啡庄園など、多くのコーヒー農園が深い山々の中に点在している。

「私たちの農園の近くにはよくゾウが出没するため、全国各地から観光客が長期滞在に訪れる」。大象精品咖啡庄園のマネージャーである唐静(Tang Jing)氏は取材にこう語った。裁判所が出向いて法律支援を提供した際、職員から「観光客向けの保険加入を意識して準備しておくべきだ」と助言を受けたという。

現在、雲南には60万人を超えるコーヒー農家と、約3万社のコーヒー企業がある。小さな一粒のコーヒー豆が、多方面の利害を左右しており、あらゆる段階で法治の支えが必要とされている。

雲南省普洱市中級人民法院の院長である張宇(Zhang Yu)氏は、「前段階をつかみ、未然に防ぐ」ことの目的は、より多くの対立や紛争を訴訟に至る前に、発生源や萌芽段階で非訴の方法によって解決することにあると説明する。これにより、基層ガバナンスの効率を高め、市場主体や住民の権利救済コストを下げ、前向きで良好なビジネス環境を構築できるという。「コーヒーのような産業にとっては、時間がそのまま利益であり、金銭でもある。紛争を一日早く解決できれば、市場主体と資源を一日早く運用に投入して収益を生み出せる。これは多方面が得をするやり方だ」と語った。(c)東方新報/AFPBB News